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閑話 マシロとの出会い

リン視点です。

 私は、リン。今年で17歳になるわ。


 ラピスが来てから毎日が更に楽しくなって、明日も森の探索をするつもりで早めに寝ていたの。


「リン、ラピス、起きろ! 直ぐに玄関を開けてくれ!」


 エンデが珍しく声をあげている。何があったんだろう? エンデに起こされるなんて初めてだ。私とラピスは目を擦りながら、玄関を開けた。

 そこにいたのは、木の籠に入って寝ていた生後間もない髪の毛が真っ白なエルフの赤ちゃんだった。

 私はそれを見た瞬間に状況を理解した。体中の血液が沸騰した様に熱くなり、頭に血が上って怒りが込み上げてくるのを感じた。

 私は居ても立っても居られず、エルフの赤ちゃんをラピスに任して、全力でエルフの里に向かった。

 エルフの里に着くや否や、大声を出しながらエルフの赤ちゃんの家族を探した。


「私のうちにエルフの赤ちゃんを置き去りにしたやつ出てこい!! 出てこないと暴れてやる!!」


 まず、来たのはエルフの里長だった。その後ろにエルフの赤ちゃんの生みの親だろうか? 若い夫婦がいる。


「独り立ち出来もしない生後間もない赤ちゃんをどうして捨てた!! 私みたいに15歳まで育てればいいだろう!!」


「髪の色や目の色が違う子が、あの時は、リンが初めてだったから15まで育てたのだ…。それに私がこのことを知ったのはつい先ほどのことだ」


 私は里長の後ろに隠れる様にしている夫婦に目をやると、夫婦は全身を震わせていた。どうやら怒りに身を任せて魔力の威圧をしているみたいだった。だが止める気はさらさらない。


「あの子は髪の毛が白いだけじゃなく、眼も灰色なのよ! それに魔力も凄いの! 怖くて、どうしようもなくて、似たような境遇の貴女の家に置いてきたの」


「それなら、なんで何も言わずに捨てた!! 話してくれたら、私だってこんなに怒ることもなかった!!」


「すまない、妻はあの子が生まれたあとパニックになって、精神的に不安定になってしまったんだ。寝ていたところ、気づいたときには、妻が赤ん坊を置き去りにしたあとだったんだ……」


 私は精神的にパニックになったことがないので、全然理解できない!! そう思ったとき、頭からバシャーっと水をかけられた。


「リン、頭を冷やしなさい。あなたが怒っても事態は良くならないわ。」


「ラピス!! あの子はどうしたのよ?」


「あの子、お腹が空いたのか泣き止まないの。それに物凄い魔力だわ。だから、母乳を取りに来たのよ。それくらいはしてもらうはよ? いいわよね?」


 母親が歯の根も合わぬほど、震えながら、了承した。すぐさま母乳を入れたコップを持ってきてくれた。私はコップを手にすると零れない様に家に帰ることにした。


「赤ちゃんは私たちが面倒みるわ!! 朝と夕方に母乳を取りに来るから、それでいいわよね!」


 赤ちゃんの両親はぶんぶんと頭を縦に振って、分かったと言わんばかりだ。私、今そんなに魔力で威圧してるかな? 怒りがまだ収まっていないので、まだ威圧になっているみたいだ。両親だけではなく、遠目で見ているエルフ達も震えている人がちらほらいるのが見える。

 私は、ラピスと一緒にエルフの里を後にした。うちに着くころには、オギャァアアアッオギャァアアアッと赤ちゃんの泣き声が外まで聞こえてきた。それに物凄い魔力だ。うちの外なのに肌にピリピリと威圧感を感じる。赤ちゃんなのに凄い…。


「やっと帰ってきたか…。早く如何にかしてくれないか? ワシでは面倒見れないのだから」


「エンデ、ただいま! あの子の母親から母乳を貰ってきたわ。これで赤ちゃんは泣き止むと思うわ」


 うちに入ると、テーブルの上に赤ちゃんが木の籠に入った状態で待っていた。かなり泣いていたのか、目の周りが赤くなっている。

 私はコップから直接、赤ちゃんの母乳を飲ませようとしたが上手くいかない。ケホッケホッと吐き出してしまうのだ。


「赤ちゃんは乳房から母乳を飲むんだから、似たようなもので代用しないと上手くいかないんじゃない?」

「何を代用するの? うちにそんなものあるわけないじゃない。ラピスなんかないの?」


「待って、植物で似たようなものがあったはずだから、取ってくるわ!」


 ラピスは急いでうちを出ていった。私は赤ちゃんを抱きかかえて、あやしてみる。抱き方はこれで合ってるかな? 赤ちゃんを育てるなんて初めてだ。私は赤ちゃんを抱きかかえ、お尻に手を当てる。空いた手を赤ちゃんの頭の後ろに回し、支える様に持ってみる。

 うん。なんかしっくりくる。その状態で私は軽い屈伸運動を繰り返し行う。


「よ~しよしよし、今ラピスが母乳を飲ませる道具を持ってくるからね~」


 それでも赤ちゃんの泣き声は止まらない。更に大きくなってきている。余程お腹が空いているに違いない。あの両親に私はまた怒りを覚えた。そう思っていると、ラピスが戻ってきた。


「リン、取ってきたわよ! これなら母乳も入れて上手く吸わせれそうよ!」


「ラピス! それって食虫植物の【グラスソウ】じゃなかったっけ? 虫を溶かす溶解液が入っている植物よね?」


「そうよ! 溶解液を出して洗っちゃえば、母乳を入れれるし、底に小さな穴を空ければ乳房に似ていると思わない?」


 なんてものを代用品にするのか驚いたが、赤ちゃんに上手く母乳が飲ませれるならしょうがない。私はグラスソウの底に穴を空け、母乳を注いでいく。

 そして、乳房に似ている底の部分を赤ちゃんの口に持っていく。すると、赤ちゃんはチューチューと母乳を上手く飲んでくれた。これでまずは一安心だ。


「ねぇ、リン。この子の名前はどうするの? あの両親に聞いてくる?」


「それは絶対や!! 私が付ける!!」


 私は赤ちゃんの名前を考えることにする。髪の毛が真っ白で眼も灰色で全身白く見える。決めた!!


「この子の名前は、マシロよ! いいわね?」


「安直過ぎない? 見たまんまじゃない! まあ、リンがそれでいいならいいんだけどね」


 こうして、私たちは一緒に暮らすことになった。そしてマシロが離乳食を取れるくらいまで育つと、私たちはエルフの里と絶交した。

マシロのために、リンとラピスが怒ってます。そしてリンとマシロは姉妹として生活していきます。

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