プロローグ
俺は神影大空、19歳。内気で人見知りな性格であり、その名前にちなんで周りから「空気」と呼ばれることが多かった。
学業よりもゲームやアニメを楽しむことに時間を費やし、学力はあまり高くなかった。一般的な大学に通っていたが、何か特別な才能もなく、ただ日々を過ごしていた。
ある日、世界中に広がった流行り病が日本にも到達した。神影家で一番最初に罹ったのは社交的な姉だった。
姉は無症状であり、家族はその症状に気づけなかった。その後、両親も軽い症状を示したが、俺は重篤な状態に陥った。
今では集中治療室のベッドに横たわり、身体中に電極を貼り付けられ、人工呼吸器をつけられていた。
息ができなくなるほどの苦しみに襲われ、機器がピッピッピと警告音を鳴らす中、俺の意識は次第に薄れ ていった。
「肺が痛い…息が出来ない…苦しい……空気が欲しい……」
突如、意識が暗闇へと誘われる中、俺は絶望の淵に沈んでいくのを感じた。
◇
気が付いたと思ったら、俺は見知らぬ森の中にいた。周囲を見回すも、見知らぬ植物が群生しており、自分の体も確認してみるが全く見えない。幽霊になったのかと考えていると、ふと後ろに生き物の気配を感じ、振り返ってみた。
そこには見たこともない大きな猪のような動物がいた。だが明らかに知らない生物だ。目が三つあり、牙が象の様な大きさだ。
その時、その猪の様な動物が鼻息を荒くしながら息を吸ったところ、体が引き寄せられ、鼻から気管、そして肺へと吸い込まれていく。
うぉぉぉおおおおおお、なんだこれぇぇぇえええ⁉
そして肺から気管、そして鼻から吐き出されるとまた吸われるを繰り返した。牛が食事を反芻するみたいに空気を反吸うされているみたいだ。
何回か繰り返し行われたあと、猪の様な生き物が急にビクッとある方向を向いて怯えるような仕草を見せたと思ったら、その方向とは逆の方向へ逃げていった。
あの猪に吸われたせいか、精神的にどっと疲れるのを感じた。俺は行く当てがないので猪がおびえていた方向へ向かって移動し始めた、何があるか気になったからだ。それに幽霊なら恐れることは何もない。
いや、除霊出来る霊媒師とかは別か…。そうしているうちに途中で水たまりを見つけ、自分の体を確認してみた。だが何も見えないとため息をついたところ、水たまりに波紋が広がった。
そして空気を吸って吐いてを水たまりに向かって試してみた。それでわかった、俺が幽霊ではなく、空気に生まれ変わったことに。
初めて小説を書いてみました。小説書くって難しいね、全然上手く書けない…。
不備も多々あるかと思いますが、大目に見ていただけると幸いです。