現実世界における現実的に求められる(と思われる)実用性特化モビリティ
被災された方々に御見舞い申し上げます。そして現地や後方で支援活動に携わっている方々に敬意を表します。
田舎の集落に限らず、歴史ある古い街にも、昔ながらの荷車や荷馬車サイズを想定しているような狭い道は、日本に数多く存在する。また中世からの歴史ある街並みを残しているという点から、ヨーロッパにもそのような狭い道は数多く存在するだろう。「広くするよりも先ずは開通させる」ことに注力しているような発展途上の地域においてもまた、狭い道は多く存在するだろう。
日本国内において、そのような狭い道で何かと活躍するのが軽トラや軽バンなどの軽商用車。農業や漁業関係に限らず、大工さんや庭師さんの移動道具箱になっていたり、お店の仕入れ用だったり郵便局などの配送業者が使用していたり。一方で、趣味の釣りやキャンプ、DIYやスローライフ(!)で薪の調達などに使用していたり。軽商用車の存在無くして現在の日本は存続し得ないのではないか?と思われる程だ。
とはいえ、そんな軽商用車も決して万能ではない。軽バンの弱点は「オープンな荷台が無い」ので濡れ物や土で汚れる物を積載しづらいこと。なので、そういう場合は軽トラが選択肢になる。そんな軽トラの弱点は「定員2名」。3名以上で移動したい場合は車がもう1台必要になってしまう。
この両立が出来る車両となると、まず思いつくのはトヨタのハイラックスや三菱のトライトンなどの「ピックアップトラック」。次いで、「ダブルキャブトラック」。消防車のように2列シートになっているトラックだ。
これらの車種であれば先ほどの要求の両立が可能になるのだが、今度は最初の「狭い道」への対応が問題となる。大き過ぎるのだ。
火災のニュース映像などで、大きめの通りにズラリと何台もの消防車が駐車されて、そこから長く消火ホースが延ばされているのを見たことがないだろうか?消防車のサイズ上あれより先に進入出来ないから起こる状況だ。
それにピックアップトラックもダブルキャブトラックも座席位置が高い。子供や足腰の弱った年寄には、乗り降りが厳しい。その点でも大き過ぎる。
では、他に無いのか。
無いこともない。
4名乗車可能でオープンデッキを備え、なおかつ軽自動車サイズの車両。ダイハツのハイゼット「デッキバン」がそれだ。軽バンの後部をカットしただけ、みたいな見た目の少々マニアックなバリエーション。(元は街の電器屋さんの「冷蔵庫も運べるバンが欲しい」という要望からできた車種なんだとか。)
ただ、軽バンの後部を荷台にしたものなので、当然荷台は狭い。軽トラの荷台とは比較にならない。消防団の車両として利用されているケースも見受けられるが、消防ホースのリールしか積載出来ていない。軽トラを利用している人からすれば「使えない」。軽トラユーザーとしては、コンパネや運搬用パレットや乗用草刈機やバイクや除雪機などを積めるようでなければ荷台の価値が無い。
そういう理由で「デッキバン」は「おしい」。
なので作って欲しいのだ。
「ロングデッキバン」を。
車高や車幅はそのままに、車長だけ延長して軽トラに迫る荷台を備えれば、軽量コンパクトなピックアップトラックとして活躍の場を得られるのではないか?
内装等も敢えてそのまま軽トラ等と同様に。ガシガシ水拭き出来るよう樹脂パーツだらけで。手袋のままでもエアコンなど操作可能なツマミを備えたスイッチ類で。
「軽自動車規格」から外れてしまいはするが、サイズ感そのままで車長も5m弱に収めれば取廻しに不安も持たれず、需要は確実に存在するだろう。
「内装が〜」「装備が〜」とか色々言う(評論家とかの)輩には「高級乗用車じゃねぇんだ。バリバリの実用車なんだよ。不満があるならカスタムしろ。イジり甲斐があってよかろ?」くらい言っとけばいい。
想定される用途としては、現在の軽トラや軽バンの代替の他に、小型消防車両の素体、道路維持作業や交通誘導など班編成での人員と機材の輸送、後席をガンロッカーに改造して狩猟に、軽トラ用のキャンパーシェルを載せて家族連れ用のキャンピングカーに、などが考えられる。
「ロングデッキバン」は日本国内の道路事情にジャストフィットなだけではなく、世界の様々な場所で有用なものになるのではないだろうか。
正直この話は投稿しようか迷っていました。年末までは。でもやっぱり平時だけじゃなく、こんな非常時においても軽トラは有用なわけで。
ダイハツさん頑張って立ち直ってくれ。スズキさんとダイハツさんが軽トラ軽バンを作ってくれないと困るんだよ。