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GOMI

「三階は綺麗ですね。」


 マンドラゴラは結局、傷をつけずに食べる方法も、解毒または毒抜き方法が分からないので、保留となった。

 最悪、アヨニが食べると言った。

 アヨニが包む鎧は揮発性の毒も防いでくれる可能性もあり、体内も鎧で守れるので、トライアンドエラーで食べ方を見つけようとしたのだが、主人にそんな危険のある事をさせれないとこれも3階の植物を見るまで保留となった。


五味花(ごみか)と言う花だそうです。」


 五味花(ごみか)

 花の蜜が甘味、酸味、苦味、旨味、塩味の五味の味がその株ごとにランダムの配分で味がする。

 その為、ものによっては最高の味になるが、大抵の蜜はゴミなので五味蜜(ごみつ)と呼ばれている。

 因みに花弁は辛味、渋みの二味で味が構成されている。

 花弁もものによっては蜜と合わせると最高の香辛料や茶になる。

 でも、基本ゴミである。

 あまりの不味さに食べた瞬間、自ら死んだとの逸話がある。


「これはまた、クセの強い植物が当たりましたね。」


「よし、ここはアーシ、出番よ。」


「え?!私ですか?!!」


 指名された騎士は自分が指名された事が信じられないと言う風にびっくりしていた。


「お前ならどんなハズレを引いても大丈夫だ。」


 安心していけとマルクが肩を叩いて蜜を食べる様に促していた。


「さ、流石に可哀想じゃない?」


 アヨニが必死に嫌がるアーシを見てやめない?と止めようとしていた。


「ア、アヨニ様〜」


「あ、えっと、大丈夫?」


 涙目の女性が自分の名前を呼びながら抱きついてきたのに戸惑ってどうしたらいいのかアヨニは困っていた。


「離れろ。アヨニ様が困っているだろう。」


 抱きつくアーシが他の騎士によって無理矢理引き剥がされた。


「それにアヨニ様もアーシの事を心配する必要はありません。アーシは味音痴なんです。」


 アーシの趣味は料理。

 但し、メシマズ料理を作るのに定評があるタイプの料理女子である。

 しかも、この手の人間にある味見をしないをしないのである。

 つまり、味見をしているのに美味しいと思ってメシマズ料理を提供してくるのである。

 味覚がおかしいのかと言うとそんな事はなく、皆が美味しいと思う料理も美味しく食べれるのである。

 アーシは美味しいのストライクゾーンが広すぎる女なのである。


「なので、アーシに味見させるのです。料理が好きなだけあって感想も正確なので私達に食べれる蜜を選別してもらうのです。」


 味がランダムな蜜があるなら選別して食べれる蜜だけを集めたらいいと言うものだった。


「私、少食だから。そんなに食べれませんよ。」


「大丈夫だ。蜜は高カロリーだ。私達のためにお前をデブにするなんて事はしない。」


 これからの生活は蜜が主体になるかもしれないが、これだけ咲き誇っていてる。

 一つ一つは少なくとも集めたら当分は大丈夫だろう事は分かるが、ハズレがどれくらいあるか分からないのでどれくらいアーシに食べてもらうか分からない。

 少ない蜜でも高カロリーである。

 塵も積もれば山となる。これから食べ続けてもらう事になると考えたら、色々食べる量を制限して、ハズレしか当たらなかった場合は甘んじてハズレを食べようと考えていた。


「それは気にしなくて良いよ。」


「どう言う事ですか?アヨニ様?」


 そんな事を気にしているとアヨニが話しかけてきた。


「少し前に言ったけど、僕には食事は必要ない。それは僕の従者である君たちにも恩恵として作用してる。」


「……つまり?」


「幾ら食べても太らない。」


 胃に入った影響で一時的に腹が出る事はあっても消化したら元通りになるのである。

 これがどんな時でもパフォーマンスを落とさないアヨニのスキルの恩恵である。


「マ、マジですか?」


「マジだよ。」


 衝撃を受けた様に聞くマルクに首を傾げながらアヨニは答えた。何をそんなに驚く事があるのか分かっていないのである。


「や…やったー!!」


「アヨニ様!万歳!!万歳!!」


「貴方は最高の主です!」


「流石!アヨニ様!」


 称賛の嵐が起こり、アヨニはあまりにもうるさかったので耳を塞いで嵐が過ぎるのを待った。


「そ、そんなに喜ぶ事?」


「えぇ!そりゃ女なら一度は願う事ですよ!」


「幾ら食べても太らないなんて最高じゃないですか!!」


 男の、と言うより、前世から痩せ型で太りにくい体質だったアヨニにはそれがどれだけの人が羨む体質なのか価値が理解できていなかった。


「これなら心置きなく食べれるなっ!アーシ!」


「も、もう食べてます!」


 アーシはそれが分かると花畑に突っ込み片っ端から蜜を啜っていた。

 アーシが渋っていたのも本当のところはこんなカロリーが高いのを沢山食べるのなんて太るから嫌と言うものだったのだ。

 その枷が無くなったアーシを止める物は何も無かった。

 蜜を詳細に味わって五味ごとに分けていった。


「これは辛い。こっちは苦酸っぱい。こ、これは!」


「どうした?」


 あまりにも驚くアーシに皆が注目した。


「す、凄いですよ。五味がキッチリ五等分された味になっています。」


「うん。絶対に不味いな。」


 確かに凄い当たりみたいな蜜だが、五味の味が一気に平等に襲ってくる蜜が美味い訳がないのである。


「あっ、これは甘くて酸っぱいですね。」


「よっし、今日はそれを食べるぞ。アーシは引き継いてこれに似た蜜を渡してくれ。」


「わぁ、分かりまぁした。」


 花を咥えたまま喋っているので聞き取りづらくなっているが、ちゃんと返事をしていた。

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