第20章~合コンから1週間後
隣席で合コンをしていた飲み会から1週間が経ちました。
その時から、自分はどうも引っ掛かっている事がありました。
それは、先週居酒屋の入店待ちで東京大神宮の休憩所を利用した事でした。
それで、次の休みの日にお詫びを兼ねてもう1度お参りに行く事にしたのです。
お参りが終わったら、数km歩いて水道橋にあるWINS後楽園(場外馬券売場)に行こうと思っていました。
昼過ぎに自宅を出ると、寄り道をしないで駅に向かいました。
そして、JR錦糸町駅に着くと、総武線各停ホームの両国駅寄りの階段を上りました。
それで、両国駅に一番近いベンチに座ろうと思って歩いて行きました。
何せ、そこのベンチは空いている事が多くて穴場だったからです。
5人掛けのベンチが視界に入ってくると、そこには若い女性が1人だけ居て、緊張した感じで座っていました。
その女性は、ベンチの一番端に座っていたので、自分は反対側の端の席に座りました。
自分は、空き時間を利用して競馬の予想をしようと思い、スポーツ新聞を広げました。
早速、メインレースから予想を始めましたが、どうも引っ掛かる事がありました。
それは、ベンチの端に座っている女性に見覚えがあったからです。
天野「あれ?あの人どっかで見た事があるような…、どこで見たんだっけな?」
それに気を取られてしまった為、競馬の予想も上の空で女性の横顔を眺めていました。
天野「あっ!もしかしたらあの時の合コンの人じゃないのか?」
突如、そう閃いたものの、確信はありませんでした。
何せ、合コンの時とはかなり感じが変わっていたからでした。
天野「よく似た人なのかな?」
とも思いましたが、数秒後にその謎が解けたのです。
「あれ?錦糸町各停ホームの両国寄りってこの辺だよな…」
そう言って、近付いて来た男性がはつのりさんだったからです。
自分は、競馬の予想をしているふりをしてスポーツ新聞で顔を隠しました。
天野「ということは、あの人がきらりさんか!こんな所で再会するとは!」
はつのり「あの、間違っていたらすいませんがきらりさんですか?」
きらり「はい、そうです」
きらり「だけど、きらりさんはやめて!“きーちゃん”って呼んで」
はつのり「うん、分かったよ」
はつのり「もしかして待ちました?」
きらり「いえ、そうでもないです」
きらり(立ち上がって)「今日は来てくれてありがとうございます」
はつのり「本当に来てくれたんだ!俺はてっきり来ないもんかと思っていたよ」
きらり「私そんなに薄情じゃないですから!」
はつのり「悪い悪い、でも、占いはちゃんとやってきたから」(折り畳んだ紙を渡す)
きらり(紙をじっと見ながら)「今度は、はっちゃんと私の相性も占ってよね」
はつのり「いいよ、近いうちにメールするからさ」
きらり「楽しみに待ってるね」
はつのり「あれさ、先週のカラオケでの事なんだけど、結局はるみさんが全部喋っちゃったから緊急避難した意味がなかったよね」
きらり「そうね、主にりえっちが秘密を吐かせたのよね」
はつのり「2人が乱入してからは歌どころじゃなかったからね」
きらり「結局、1人1曲しか歌わなかったよね」(2人で笑う)
はつのり「合コンではエロい事を言い合ってた記憶しかないよね」
きらり「あはははは~」
きらり「でも、あの合コンがなかったらここにいないよね」
はつのり「そうだね、幹事の2人には感謝しないとね」
きらり「はるにゃん先輩にもね」
はつのり「ところでさ、今日は映画を観るっていうプランでいいんだよね」
きらり「でも、映画が始まる迄あと1時間位ありますよ」
はつのり「それは、けいすけ君の事で報告があるからですよ」
きらり「何だ、そういう事か~」
はつのり「だから、映画館の近くにある喫茶店に行きませんか?」
きらり「え~、それだったらここでいいじゃん!今すぐに聞かせて下さいよ~」
はつのり「仕方がないな~」(きらりさんと一緒に座る)
はつのり「じゃあ、話すけどいい?」
きらり「うん、早く聞かせて」
(ここからは、はつのりさんの話しになります)
「けいすけ君は、先週の合コンの後にお酒の勢いに任せて彼女に電話をしたんですよ」
「俺とはもう別れてくれってね」
「彼女は突然別れを告げられて混乱していたんだけど、けいすけ君は言いたい事だけ言ってさっさと電話を切っちゃったんだよね」
「そうしたら、次の日の早朝にアパートの呼び鈴が、“ピンポンピンポンピンポンピンポン”ってずっと鳴り続けていたんだって」
「けいすけ君は、早朝から飛び起きる羽目になったんだけど、どうしていいか分からずに途方に暮れていたんだって」
「そのうち、もの凄い勢いで“ドンドンドンドン!”って扉を叩かれたんで、近所迷惑になると思って仕方なく開けたんだって」
「そうしたら、そこには鬼の様な形相をした彼女が立っていて、起き抜けのけいすけ君に強烈なビンタを食らわしたんだよ」
「そして、彼女はこう言ったんだって」
「これで終わりと思うなよ!一生恨んでやるからな!ってね」
「けいすけ君は仕返しに備える為、4日間実家に身を隠していたんだけど、それからは何もなかったって言ってたよ」
「浮気をした代償は大きかったって事だね」
「これで、けいすけ君についての報告は終わりです」
きらり「へ~、いろいろあったみたいだけど何とか縁を切ったんだね」
はつのり「そうみたいだね、じゃあ、まだ早いから錦糸公園でも寄ってから映画館に行きますか~」
きらり「あの、今日は映画に行くって事だけは分かってるんだけど、終わってからはどうするんですか?」
はつのり「特には考えてこなかったけど、どこか行きたい所とかあるんですか?」
きらり「私ね、この街についていろいろ調べてきたんだけどね、首都高のガード下には何軒もホテルが並んでいるんだけどそこに行こうって考えてたりする?」
はつのり「いや、それは考えてなかったけど」
きらり「本当に?」
はつのり「うん」
きらり「本当の本当に?」(ここでしばらく間があく)
はつのり「あっ!もしかしてエッチなパンツ履いてきちゃったとか?」
きらり「なっはっはっはっは~」
はつのり「どうやらその様子だと図星かな」
きらり「なっはっはっはっは~、って笑って誤魔化す」
はつのり「ヤバっ!映画が終わったら速攻で帰ろうかな」
きらり「チッチッチ、甘いな!はるにゃんルールを忘れたとは言わせないわ」
はつのり「いや、それはカップル成立で終わったじゃん」
きらり「それがね、昨日はるにゃん先輩に電話で確認したのよ」
きらり「そうしたら、1回目のデートだけはルールが有効なんだってさ」
はつのり「ってことは、俺に拒否権はないって事?」
きらり「やっと気付いたか~!だから、映画の後はホテルに直行だからね!」
はつのり「マジか、俺は普段から履いているパンツで来ちゃったよ」
きらり「私も普通のパンツで来ちゃったよ」
はつのり「また、嘘ばっかり」
きらり「へへへっ」
きらり「いいのいいの、デートの縛りは1回だけなんだから肉食系はパクパクってしちゃうでしょ」
はつのり「それだったら、デートは1回だけで終了してもいいって事?」
きらり「そういう意地悪言わないの!異性運が悪い者同士で仲良くしましょうよ~」
はつのり「でも、俺は失恋のショックで未だに立ち直れていないんだけど」
きらり「前の女の事は私が忘れさせてあげる!」
きらり「映画が終わったらすぐにトイレに行くから、ヌルヌルになるまで濡らしてくる感じでいいよね、ちょっとズラしたらすぐに出来るから」
はつのり「きーちゃんにとって俺のイメージってそんな感じなの?」
きらり「AVでそういうのをやってたから、はっちゃんも好きなのかな?って思ったんだけど」
はつのり「何だ、その発想はAVからだったのか」
きらり「服を着たままやるってやつだけどね」(2人で笑う)
はつのり「行ったところでちゃんと出来るかなぁ?何か緊張するな~」
きらり「大丈夫よ、腹式呼吸が大事なんでしょ!」
はつのり「そういう事だけは覚えているんだね」
きらり「あはははは~」
きらり「ねえ、終わったらキスマークを付けてもいい?」
はつのり「君ら本当にキスマークを付けるのが好きだよね」
きらり「あるる先輩は付けないみたいだけど、腕に歯形を付けるって」
はつのり「う~ん、それはどうなんだろうね…」
きらり「ねえ、付けてもいいでしょう?」
はつのり「え~、汚いよ~」
きらり「大丈夫でちゅよ~、汚くないでちゅよ~」
はつのり「ぷっ!何それ?何で急に赤ちゃん言葉になったの?」
きらり「私、こう見えても幼稚園の先生なんだよ」
はつのり「マジで!幼稚園にこんなエロい先生いるの?」
きらり「エロくないでちゅよ~、普通でちゅよ~」
はつのり「分かったから、それ止めて~」
きらり「あはははは~」
はつのり「何か今ので緊張がほぐれたよ」
きらり「じゃあ、そろそろ映画に行きましょうか」(2人が立ち上がる)
はつのり「うちらも、けいすけ君の彼女の時みたいに1メートル以上離れて歩くの?」
きらり「そんな訳ないじゃん!」(きらりさんがガシっと腕を組む)
きらり「錦糸町のラブホは休憩時間が長めだから、終わってから1時間位寝られるよ」
はつのり「普通の昼寝だけじゃダメ?」
きらり「え~、そんなご無体な~」
はつのり「あはははは~」(2人が遠ざかっていく)
初デートの2人は、とても楽しそうに笑っていました。
その後、自分は東京大神宮に向かう為、錦糸町駅から飯田橋駅迄乗車しました。




