第18章~3人での話し合い
残った3人は、しばらくの間沈黙していましたが、一呼吸置いてはるみさんが口火を切りました。
はるみ「確か、あんた達は幼馴染みなのよね?」
けいすけ「ええ、そうですけど…」
かなえ「小学校と高校は一緒だったわよね」
はるみ「私はてっきり2人が結婚するとばかり思っていたんだけど、何でこんな事になってんのよ?」
かなえ「私もけいちゃんが結婚してくれるもんだと思って信じて疑わなかったわ…」
はるみ「だけど、けい君に彼女が出来たから将来の計画が狂ったのね」
かなえ「でも、それは独身同士だから仕方がない事なんだけどね」
けいすけ「俺は、生命保険会社が主催しているお見合いパーティーに行って今の彼女と知り合ったんですよ」
はるみ「かなっぴがいるのに?」
けいすけ「何でも、女性の参加者が多数って事で“無料でいいからパーティーに出て下さい”って担当者に頼まれたんですよ」
けいすけ「だけど“開始から30分はいて下さいね、そうしたら帰っていいです”って言われてたから、そうするつもりだったんだよ」
はるみ「それは分かったけど、お見合いパーティーでは本当に女性が多かったの?」
けいすけ「大体7:3で女性の方が多かったよ」
けいすけ「それで、開始から30分の間に何があるんだろうと思ったら、お見合い回転寿司が始まったんだよ」
はるみ「まあ、定番よね」
けいすけ「要は、お見合い回転寿司の人数合わせが必要だったから俺は呼ばれた訳なんですよ」
はるみ「そりゃあ、無料なんだから何かはあるでしょうよ」
けいすけ「それで、俺はてっきりお見合い回転寿司が30分掛かるんだと思ってたんだけど、蓋を開けてみたら20分位で終わっちゃったんだよ」
はるみ「それで、律儀にも言われた時間まで残っていたのね」
けいすけ「察しの通りですよ!無料で招待されたこともあったから、あと10分は壁際のテーブルに置かれた焼きそばでも食べていようと思ったんですよ」
けいすけ「そうしたらとんでもない!俺は3人の女性に囲まれてしまったんですよ」
はるみ「そんなに女性が多いならそうなる事は分かるでしょうに!」
けいすけ「それで、とてもじゃないけど帰れる雰囲気じゃなかったから最後まで残る事にしたんですよ」
かなえ「それで、帰るタイミングを逸した訳ね」
はるみ「けい君の彼女はその中の1人って事?」
けいすけ「そうですよ、歳も近かったから話していて楽しかったんですよ」
はるみ「けい君の彼女は何歳なの?」
けいすけ「俺より1つ下で24歳ですよ」
はるみ「男女比を考えるとアプローチは彼女からですか?」
けいすけ「そうです、もう質問責めでしたよ」
けいすけ「それに、会場で溢れている男性はほとんどいなかったと思いますよ」
はるみ「パーティーから何日後に彼女とデートしたんですか?」
けいすけ「4日後にタイ料理を食べに行きましたよ」
はるみ「他にはどこでデートしたんですか?」
けいすけ「あとは、居酒屋が多かったかな、カラオケやボーリングも行きましたよ」
はるみ「でも、交際中もかなっぴと会っていたって事よね?」
けいすけ「かなえちゃんとは腐れ縁だし、お互いの家が自転車で15分位の所にあるから、時々ごはんに行ってたんだよね」
かなえ「そうね、だけどけいちゃんに彼女が出来たから一時期会わなかったのよね」
はるみ「だったら、何でかなっぴがセフレになってんのよ?」
けいすけ「それは、彼女との交際がうまくいかなくなったんで、駅前のファミレスで相談したからなんですよ」
はるみ「かなっぴに何を相談したの?」
けいすけ「それは、彼女と付き合って頻繁に会うようになったのに、3ヵ月経っても手も握らせてくれないっていう事を愚痴ったんだよね」
はるみ「ふ~ん、それって危険水域なんじゃないの?」
けいすけ「俺もそう思ったんですよ、だけど彼女は事ある毎に結婚してくれって迫ってくるんですよ」
けいすけ「結婚前に綺麗な体でいたいっていうのは分かるんだけど、肩にポンと手を乗せただけで“気安く触るんじゃねぇ”って激怒するんですよ…」
けいすけ「腕を組んで歩くなんて以ての外で、いつも1メートル位は離れて歩いていたんですよ」
はるみ「それはおかしいわね、結婚したいと思う相手に一切触れさせないなんて考えられないわ!私だったらベタベタくっ付くわ」
けいすけ「そうなんですよ!好きでもないような振る舞いをするくせに、交際から3ヵ月で何度も求婚してくるんですよ!」
かなえ「それで、けいちゃんは精神的に追い詰められていたのよね」
けいすけ「だから、苦しい胸の内を相談したんですよ」
はるみ「彼女をどう攻略すれば活路を見出せるのか?っていう相談だったのかしら」
けいすけ「それが、そうはならなくて、かなえちゃんからこんな事を提案されたんですよ」
けいすけ「彼女が抱けなくて困っているんなら私が代わりになるよって」
けいすけ「俺は正直驚いたよ!でもそれが率直に嬉しかったんだよね」
かなえ「それで、私からホテルに行こうって誘ったのよ」
けいすけ「葛藤はしたんですよ、だけど、結局は行っちゃったんだよね」
はるみ「それであんた達そんな事になってたの?」
かなえ「けいちゃんが彼女の事で苦悩している姿が見るに堪えなかったからね」
けいすけ「初めは1回だけのつもりだったんだけど、2ヵ月でお互いの体を貪ぼるようになってしまったんですよ」
かなえ「だけど、何度か体を重ねた後に“私だけを愛して”何て言ったもんだから、けいちゃんが“はっ!”って我に返って“このままじゃいけない!”ってなったの」
けいすけ「それで、かなえちゃんに相応しい人を見付けようと思って、5対5の合コンを企画したんですよ」
はるみ「呆れた…、それであんな大掛かりな合コンを組んだのね」
けいすけ「ゴメン、本当にごめんなさい!」
はるみ「私はいいけど、かなっぴはどうするのよ?」
かなえ「うううっ、急にそんな事を言われても分かんないよ…」
はるみ「それにしても、この一件はどうも腑に落ちないわね」
けいすけ「何がですか?」
はるみ「そういう彼女のようなタイプをどっかで聞いたような…?」(しばらく考え込む)
はるみ「やらずぼったくりとも違うし何だっけなぁ?」
けいすけ「あの~、彼女はどんな考えなんでしょうか?」
はるみ「とにかく相手の男の事は何も考えていないって事は確かよね」
はるみ「あ~、ダメだ!もうちょっと待ってね!重要な事がここまで出てきてるんだけど…」
かなえ「まあ、落ち着きましょう、冷たいコーヒーでも頼みますから」
はるみさんは、彼女の違和感に対して必死に何かを思い出そうとしていました。




