第14章~終わらない合コン
合コンのメンバーは、この時間を小休止とばかりに、トイレに行ったり携帯電話を弄っていました。
間延びした感はありありでしたが、注文した料理が挙ってテーブルに運ばれて来ると、いつの間にか皆さんのテンションは高まっていました。
はるみ「さあ、どんどん食べてね!残しちゃうと勿体無いから」
はつのり「そうですね、ちょっと気が引けるけど冷めないうちに食べましょう」
きらり「そうね、1人1個とは言わずに早い者勝ちでいきましょう!」
まさき「あっ、焼き鳥はバラさなくていいからね」
はつのり「唐揚げはレモンをかける前に2個取らせて」
りえ「けい君も何か食べませんか?」(ここでけいすけさんが本を読むのを止める)
けいすけ「俺はいいよ、皆が話している時に結構食べたから」
傍目から見て、隣席の合コンは食事が終わった時点で解散になると思っていました。
食事中は口数も少なく、寝ている2人を時折気に掛ける程度でした。
皆さんは、焦っても仕方が無いと思ったのか、お料理をもりもりと食べていました。
自分は、合コンメンバーのメンタルの強さに感心しました。
その間、合コンに動きがなかったので、自分もテーブルに並んでいたお料理にがっつきました。
それから、15分位経った時にけいすけさんが動きました。
けいすけ「ひで!そろそろ起きろよ」
ひでゆき「フガッ、フガフガ~」
けいすけ「しげ!お前だけでも起きろよ」
しげあき「ズー、ズズズズズ~」
けいすけ「クソっ、全然ダメだな!」
かなえ「合コンが終わる迄寝かせといてあげましょうよ」
けいすけ「そういう訳にはいかないだろ」
りえ「どれどれ、私も起こしてみようかな」
りえさんは、寝ている2人の後ろ側に、軽快な身のこなしで回り込みました。
りえ(2人の肩を揺らしながら)「ねえ、起きて!起きてよ~」
けいすけ「悪い…、こうなったら30分は起きないから」
はるみ「もう、完全に夢の世界に入っちゃってるわね」
りえ「そうなんだ…、じゃあ席に戻ろっかな」(フフーン)(りえさんから漏れた声)
りえ(まさきさんを直視したまま)「あのね、今だから言うけどね、私は最初からまさ君狙いだったんだよ」
まさき「えっ、そうなんですか?全然分かんなかったです…」
りえ「でも、しげ君があまりにもガンガンアプローチしてくるから、ずっと攻めあぐねていたのよね…」
ある「あー、だからどの程度寝入ってるか確かめに行ったのね」
りえ「あっ、バレた?」
ある「そりゃあ分かるでしょう」
はるみ「酔いつぶれて寝ているから、しばらく動かさない方が良さそうね」
りえ「かなっぴ先輩!今更だけどしげ君がフリーになりましたよ」
かなえ「う~ん、でもこんな状態じゃ嬉しくないわね…」
はるみ「りえっちにとっては千載一遇のチャンスね」
きらり「これでまさ君とゆっくり話せるね」
まさき「あの、俺のどの辺が良かったんですか?」
りえ「確か、洋服屋に行く事が好きなのよね、私もファッション系は大好きだから」
まさき「あんな短い自己紹介だったのによく覚えてますね」
りえ「ふふっ、よくお似合いの服装ですよ」
まさき「それは嬉しい事を言うね~」
りえ「あとね~、前髪で隠れた素顔を見たいなって思ってるんだけどダメかな~?」
まさき「そんなに気になります?」
ある「そりゃあ、合コン相手の顔くらいは見たいでしょうよ」
りえ「ねえ、その前髪を上げてみてよ!」
きらり「見たい見たい!隠れイケメンだったりして」
まさき「いいですけど、笑わないで下さいよ」(まさきさんがゆっくりと前髪を掻き上げる)
まさきさんの顔が露わになると、女性陣は色めき立ちました。
りえさんは目を輝かしながらこう言いました。
りえ(赤くなった頬を押えながら)「え~、かわい~、女の子みた~い」
(まさきさんの顔が徐々に赤くなる)
はるみ「へ~、こんなに綺麗な顔だとは思わなかったわ」
かなえ「そうね、本当びっくり」
ある「目が大きくて魅力的ですね」
きらり「それにまつ毛が長くて愛らしいです~」
ある「こんなに綺麗なら、前髪で隠してちゃ勿体無いわよ」
きらり「色白でつやつやなお肌ね、思わず触りたくなっちゃう」
まさき「あの…、もうこの位でいいですか?」
かなえ「あっ、もうちょっとだけいいかな」
ある「これで下げちゃうのは惜しいかも」
きらり「この顔でメイクを決めたら、りえっちはいちころかも~」
りえ「かわい~な、かわい~な~」(りえさんの独り言)
まさき「あの、もうそろそろ…」
かなえ「そうね、ずっとは上げてられないもんね」
りえ「ねえ、私にいい考えがあるわ」(ハンドバックを持ってまさきさんの真後ろに行く)
りえ「前髪が垂れ下がらないように髪留めを付けてあげるね」(りえさんがぱっちん留めを3個付ける)
りえ(女性陣に向かって)「ねえ、これでどうかな?」
(女性陣がうっとりとした眼差しになる)
まさき「へ~、これは便利ですね」
りえ「まだいっぱいあるから何個かあげるね」(まさきさんはお礼を述べて受け取る)
ある「普段前髪はどうしているんですか?」
まさき「帽子を被ったり、ヘアバンドを付けたりですね」
ある「まつ毛を上げてみるのはどうかな?」
まさき「えー、それってまつ毛がブチっと抜けたりしない?」
ある「大丈夫よ、女子は日頃から使い慣れているからね」
まさき「何か怖いなぁ」
りえ「ちょっと動かないでね、ビューラーでギュッと挟み込みむから」(慣れた手付きでまつ毛を挟む)
きらり「お~、目がパッチリになった~」(女性陣が沸き立つ)
りえ「あの、本当に彼女さんいないんですか?」
まさき「もう2年以上はいませんよ」
りえ「何で別れちゃったんですか?」
まさき「それは、当時付き合っていた彼女から“女の子より顔がかわいいと嫌味だからね!”って言われてそれっきりですよ」
りえ「フッ、甘いな!その人はまさ君の良さを何も分かってないのね」
まさき「でも、別れた時は呆気ないもんでしたよ」
りえ「気持ちは察するけど、別れて正解だったんじゃない?」
まさき「他にも女の子と間違われて散々な目に遭った事があるんだけど話してもいい?」
きらり「何があったんですか?」
ある「私は聞きたいで~す」
りえ「当然私も聞くわ!」
はつのり「こういう時に興味深い話をしてくれると助かるよ」
まさき「じゃあ、話が終わった後に感想を聞かせてもらってもいい?」
りえ「ええ、任せといて!」
まさき「じゃあ、少し長くなるけどよろしくね」
まさきさんが話始めると、皆さんは熱心に耳を傾けました。




