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誤入金狂想曲  作者: サエキ タケヒコ(旧 馬鹿之介)
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3 新札の香り

 ATMから吐き出されたお札は新札だった。

 指を切りそうな新札のシャープな手触り、独特のインクの匂い。どれも経験したことのない興奮だった。

 涼介はATMの横に備え付けてある封筒に札を入れた。


 全部で100万円だった。


 これがキャッシュカードで一度に下ろすことのできる限度額だった。

 車に戻ると、もう一度、新札の匂いを嗅いだ。

 現金を手にすると、文字通り力を手にしたような気持ちになった。

 おもわず頬がゆるむ。


「まるで異世界に転移して、さっそくチートな力を手にした主人公みたいだな」

 そんな独り言が思わず出てしまった。


(この力を試しに使ってみたいな)


 もちろん誤振込なので、返さなくてはならないのは分かる。でも悪いのはこんな大金を無造作にケアレスミスで振り込んだ役所や、それをおかしいと思って止めもしない金融機関だ。所詮他人の金だと思っていい加減なのだろう。

 落とした財布を拾って交番に届けると中身の何割かを報労金としてもらえるという。なら、今回の振込だって返す時に自分に対する報労金が出るのはではないか。


 すぐにスマホで検索してみた。

 遺失物法というのがあるらしい。

 落とし物の価値の5%から20%が報労金としてもらえるらしい。


(5000万円の20%といえば1000万円か!!)


 もちろんそれに給付金の50万円もある。


(この5000万円のうち1050万円は自分のものということか!)


 涼介は100万円を握りしめながら、にんまりと笑った。

 

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