12 ミッドナイトラブ
「運転手さん、その先で停めてください」
サユリが指示した。
タクシーが停車した。
涼介は料金を払うとサユリと一緒に降りた。
「中村さんも降りるの?」
「僕の家はこのすぐそばなんだ。だからママさんが一緒に車で送ってほしいと頼んだんだよ」
「そうだったんだ」
「家はそこ?」
「ええ。そこのアパート」
「そうか」
「じゃあ、中村さん、ありがとう」
「サユリ」
「何?」
涼介は思わずサユリを抱きしめた。
自分にそんなことをする勇気があるとは思ってもみなかった。それも大金を持っているという自信がなせるわざなのだろうか。
サユリは抵抗しなかった。
無言で涼介はサユリの身体を抱いた。
服越しに体温が伝わってくる。
サユリが顔を上げた。
涼介はその唇に自分の唇を重ねた。
「あっ」
ため息ともうめきともつかない小さい声をサユリがあげた。
サユリの唇が開いた。
そして舌の先が、涼介の舌を探すように入ってきた。
今度は涼介がうめき声をあげる番だった。
涼介はカチカチになった自分のものをサユリの下半身に押し付けるようにしてサユリの舌を貪った。
乳房に手をやると、サユリは身体を離し涼介の手を自分の胸からはずした。
「だめ」
涼介は我にかえった。
「ごめん」
「謝らなくてもいいの。でも今日はここまで」
「分かった」
「今日も本当にありがとう」
サユリが急に身体を近づけると、唇にチュッというキスをした。
「おやすみのキスよ」
涼介は自分の唇に手をやり、もう一度その感触を味わうかのように唇に指をやった。
「おやすみなさい」
サユリがアパートの中に入って行った。
すぐに手前の部屋の明かりがつくのを確認してから、涼介は自宅に向かった。自宅はサユリの部屋から歩いて5分くらいだった。
家に帰るまでに涼介の気持ちは決まった。
(金は返さない。サユリとこの関係を続ける)
[現在の給付金の残金4965万円]




