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78.相性


 弓花と二人でリビングのソファでまったりとしている。


 俺の肩を枕にしている弓花はスマホで何か調べ物をしているようだ。


「今から少し真面目な話をしたいのだけど」


「聞きます」


 弓花は落ち着いた真面目なトーンで話し始める。


「恋人が長続きするには、それぞれの身体の相性が大事となるみたい」


「まぁ、そうだろうな。そういう行為も一つの愛情表現だし、相性が悪くてできないとなると好きな気持ちだけでは乗り越えられない部分もある」


 少し刺激の強い話だったが、弓花にとっては大事なことなのだろう。


「……私と咲矢の相性はどうかしらね?」


「そりゃ双子だから良さそうな気はするけど」


 双子は似ている。

 だから自然と相性も抜群な気はする。


「あなたの言う良さそうとはどういう状態を意味しているの?」


「なんだろう……充電コードをスマホへ挿す時みたいにフィットする感じか?」


「ああ、あの、先っぽは軽く入って、最後は押し込む感じの。素晴らしい例えね」


 しょうもないことで弓花に絶賛されてしまった。


「私達もそんな感じかしら?」


「そうだと良いな」


「充電、試してみる?」


 弓花は少し股を広げながら聞いてきた。


「……今は冷静過ぎて無理だな。大人になってお酒に酔ったら勢い余って試しちゃうかもしれないけど」


「私もお酒に酔ったらあなたを拘束してでもしちゃうでしょうね」


 大人はお酒を言い訳にして色んなことをしているので、俺達もきっとお酒を言い訳にして色んなことをしてしまうのだろう。


「お酒は二十歳からだから後三年は我慢か……無理ゲーじゃん」


「あなたも諦めムードね」


 流石に三年は我慢できそうにない。

 もって三ヶ月が限界だ。


「それで、身体の相性が心配なのか?」


 俺は脱線した話を戻す。

 弓花は真剣に悩んでいたようだからな。


「当たり前じゃない。大好きな人のこと、しっかりと受け止めたいし」


 俺の頬を手で撫でながら、優しくそう答えた弓花。


「……弓花ってまじで良い女だよな」


 こんなに思いやりを持ってくれる女性が目の前に現れてくれるなんて思ってもいなかった。

 改めて弓花は理想の相手なんだなと思う。


「大好きになった?」


「かなり前から大好きだけど」


「ふふっ、あなたも素直になってきたわね」


 嬉しそうに頬を指でツンツンとしてくる弓花。


「何か大きなきっかけがあれば、今の私達ならスムーズに一つになれると思うの」


「大きなきっかけか……」


「もうこうなったら仕方ないよねっていうきっかけね」


 俺達は一歩踏み出すしかないようなきっかけを一緒に考える。


「そういえば何か前にネットで見たんだけど、天井から女性が落ちてきて、そのまま男に跨って行為がスタートするという漫画があったわ」


「能力者かよ」


「もしそうなったらスムーズよね」


「そんな初体験とか嫌だわ」


「……めっちゃ痛くてトラウマになりそうね」


 きっかけが必要とはいえ、ムードとかは大事にしたい。

 絶対に忘れられない時間になるし、人生で一番満たされると思うしな。


「エッチしなきゃ絶対に抜け出せない部屋に閉じ込められてしまうというのは?」


「デスゲームかよ」


「もしそうなったら流石の咲矢もするしかないわよね?」


「だな。その時は優しくする」


「も~」


 手で顔を隠しながら嬉しそうに足をばたつかせる弓花。

 仕草までも可愛いな弓花は……


「心春に変なマスコットキャラクターに扮してもらって、閉じ込めてもらいましょうか?」


「誰かに見られるのは恥ずかしいな」


「……確かにそうね。私ぜったいに大きな声が出ちゃうから恥ずかしいわ」


 弓花の高い声を聞いたら、きっと俺はその声をもっと聞くために張り切ってしまうのだろう。


「そんな派手なきっかけはいらないよ」


「じゃあどーするのよ」


「俺達の誕生日とかは? 双子だから同じ誕生日な訳だし、ロマンチックだろ?」


「……最高。というかそれしかないじゃない!」


 俺のアイデアに賛同する弓花。


 双子だから生まれた日は同じであり、二人にとっての大切な日だ。


「私達の誕生日は十二月十日。来月ね」


「そ、そうだな」


 や、やべぇ、猶予が後一ヶ月しか無かった。

 一ヶ月後にはもう俺は一線を越えてしまっているかもしれない。


「きっと、素敵な一日になるわよ」


 十二月十日の誕生日……


 その日、俺達は遂に一つになってしまうみたいだ――


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― 新着の感想 ―
[一言] 例えが、全部同人誌の内容っていうww 面白かったです! 投稿頑張ってください!
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