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66.ご褒美


「咲矢~」


 シャワーを浴び終えた弓花は、俺の部屋に入ってくるなり抱き着いてくる。


 先ほどのゲーム対決で勝利したため、俺との添い寝が家族に認知された状態でできる。


「優勝おめでとうございます」


 弓花を褒め称えながら抱き返す。


 好きな人と一緒に寝ることができるなんて、俺にとってもご褒美のようなものだ。


「王者の私にキスを捧げなさい」


「大袈裟だな」


「うるさい。ご褒美はたくさん欲しいの」


 結局、弓花は自ら俺にキスをしてきた。

 もちろん、拒否することなく受け入れる。


 勝利の喜びを分かち合うように、弓花は熱いキスをする。

 求められている気がして俺の心は満たされ、幸せな気持ちになる。


「ふふふっ、興奮しちゃったみたいね」


 キスを終えた弓花は俺を妖艶な目で見つめてくる。


 わざと露出の多い寝間着を選んでおり、俺に一線越えさせようとする気は満々のようだ。


「大人しく寝るぞ」


「我慢できるの?」


「一緒に寝るとはいえ他の部屋には家族がいるんだ。声とか音を響かせるわけにはいかんだろ」


「私の口に無理やりタオルでも巻けば声を殺せると思うわよ」


「よくそんな手法を思いつくな」


「自慢じゃないけど毎日、色んなシチュエーションで咲矢との妄想を楽しんでるから」


 本当に手に負えないな弓花は……


 可愛いし、ちょっとエッチなところが男的には最高。


「手錠でもして拘束する? 目隠しでもつけて視界を塞ぐ?」


「俺はそんなドS野郎じゃない」


「そうかしら? いざとなったらとんでもないこと私にさせそうな気もするけど」


 俺の心を見抜いているのか、何でもお見通しといった様子の弓花。


「もう寝るぞ、電気も消す」


「待って、その前にキスして」


「電気点いてなくてもできるだろ」


「咲矢の顔をはっきりと見てからキスしたいの。誰でもキスしたいわけじゃなくて、咲矢とキスがしたいんだもの」


「仕方ないな……」


 甘え上手の弓花の要望に応えてから、電気を消した。


 布団に入り、弓花とべったり抱き合いながら寝る姿勢に入る。


「咲矢って、私が夢に出てきたりしないの?」


「するよ。三日に一回ぐらい」


「どういう夢?」


「二人で知らない国に行って、そこでのんびり暮らしてる夢とか」


「あら、咲矢も心のどこかで私と添い遂げる覚悟はできているみたいね」


 弓花に叶わない夢だからこそ夢に見ていると思うと説明しようとしたが、俺はその言葉をどこかに捨てた。


「他にも小学生の頃に戻っていて、まだ出会っていないはずの弓花と仲良く遊んでいる夢とか見たな」


「何よそれ、そういう人生もあったな的なやつ?」


 弓花が出てくる夢は、何かほんわかしたものが多い気がする。

 幸せな気分で目覚められるので、その日の朝は嬉しい気持ちになる。


「弓花は俺との夢を見たりするのか?」


「ええ、もちろん。あんなことやこんなことする夢ね」


「ちょっと恐いから詳細は聞かないようにする」


「ぜんぜん普通よ。学校での授業中に時間が止まってしまって、私と咲矢がみんなのいる教室の中で裸になって色々する夢とか」


「めっちゃ異常だからその夢! どんな変態プレイだよ」


 弓花の夢の話に俺は頭を抱える。

 ちょっと俺も想像してみたが、めっちゃ興奮するな。


「でも辛い夢も見るわね」


「そっちは気になるな」


「ある日、咲矢の部屋に入ったら咲矢と華菜ちゃんが裸で色々しているところを見てしまって泣きじゃくる夢とか」


「色々とヤバすぎるだろその夢!? しかも何で俺大抵裸になってんだよ」


 弓花は常に俺とあれやこれや妄想しているため、変な夢を見まくってしまっているようだ。

 そんなところも可愛いのだが、ちょっと心配になるレベルの夢たちだ。


「今日は良い夢が見られるといいな」


「そうね。辛くても隣には咲矢がいるし、すぐに回復できる」


 俺と弓花はおでこを合わせる。

 そして、数秒見つめ合ってからキスをした。


 もう完全にキスへの躊躇が無くなってしまっている。

 慣れというのは恐いな……


 その後も弓花が俺の身体にちょっかいを出してくるため、俺もやり返してくすぐり合いをする。


 やがてイチャつき過ぎて疲れ果てた二人は、静かに眠りについた――


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