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第8話 お姉ちゃんと勉強会

「おかえりお姉ちゃん」


「近江、もう勉強会の準備始めてくれたのね。ありがとう、私もすぐ準備するから」



 お姉ちゃんは着替えに、自室に上がっていった。



 お姉ちゃんは僕から見ても美人で、見た目から頭が悪そうには到底思えない。身長170㎝、栗色の髪のこざっぱりしたショートボブ、一見とてもできる女性風だ。

 この見た目とは裏腹に、優しくて思いやりのある人でしかも勉強ができないなんていうギャップで、めちゃくちゃモテる。



 僕が知る限りでも、高校に上がってから30回は告白されてるはずだ。お姉ちゃんから聞く話ではその誰もがすごい人だ。地元でも名が知れ渡っているイケメンや、大会社の社長の御曹司、医学部の大学生などだ。 

 でもお姉ちゃんは全部告白を断ったそうだ。彼女が欲しい僕としては、もったいないように感じるが、お姉ちゃんが決めたことにケチをつけるほど野暮じゃない。



「お待たせ近江、今日は何の勉強を教えてくれるの?」



 ぼーっとお姉ちゃんのことを考えていたら、いつの間にかお姉ちゃんは着替えを済ませ僕の隣に座っていた。この人はいつも距離が近いんだよなぁ。家族とはいえ、男女なんだからあんまり近いのはどうかと思うんだけど。



 そんなことを考えつつ英語の参考書を開き



「今日は英語をやるよ」



と答える。



「昨日は数学だったしね。今日は文系科目をやろうか」


「はーい、先生よろしくお願いしまーす」


「うん今日はとりあえず英単語50語と、過去形を勉強しよう」


「先生、私単語50個も覚えられませーん」


「うん、真面目にやらないともう勉強教えてあげないよ」


「ちょっと冗談じゃん。そんな怖い顔しないで」


「卒業できるか怪しいいんだから怖い顔にもなるよ。とりあえず30分その単語帳の線引いた単語覚えて。テスト頻出単語だから。30分後テストするから」


「近江はその間何してるの?」


「夜ご飯の準備だよ」


「今日の献立は何なの?」


「ハンバーグ。チーズインにしようと思ってる」


「いいねぇ、近江のハンバーグはおいしいからな」


「お褒めの言葉ありがとう。ちゃんと勉強するんだよ」


「分かってまーす」



 ほんとにわかってるのかね、勉強以外では頼りになるお姉ちゃんなんだけど。



 僕は台所に向かいハンバーグを作る。今日も母さんは帰ってこない。今回は長崎に長期取材中だ。帰ってくるのは2週間後くらいだろう。



 3人前のハンバーグくらいチャチャッと作れるだけの料理スキルは身に着けている。

冷蔵庫から玉ねぎを取り出しみじん切りにする。最初のころは涙がドバドバこぼれたけど、郷子さんに教えてもらった鼻呼吸を止める方法で少し目が染みるくらいだ。



 粗みじんにした玉ねぎはあめ色になるまで炒める。急速冷凍庫で一気に冷やしている間に、ひき肉をボウルに移す。少しおいてから、玉ねぎを冷凍庫から取り出す。うん粗熱は大体取れている。

 ボウルに玉ねぎ、パン粉、卵を入れ箸でこねる。手でこねるより箸で混ぜたがおいしくなると郷子さんから教えてもらったからだ。



 俵型に形成し、チーズを詰めバットに並べる。ここまで20分、慣れたものだ。ハンバーグの種は一旦冷蔵庫に入れ付け合わせのサラダを作っていく。

 サニーレタス、ヤングコーン、海藻を食べやすい大きさに切り和風ドレッシングでさっと和える。



 ハンバーグがガッツリだから付け合わせはあっさりしたものが良い。あとは味噌汁を作って完成だ。ピッタリ30分。お米を炊飯器に入れ炊きあがるころには夕飯に適した時間だ。



 ご飯が炊けるまでの間、またお姉ちゃんに勉強を教える。単語は10個くらいしか覚えていなかった。過去形文法も、動詞の最後がedに変化するのは分かってくれたけど、不規則動詞は分からないと言われてしまった。

 不規則動詞が何で存在するのかは僕も知らない。でも覚えなきゃ話にならないんだけど、やっぱり理屈が伴わないと覚えられないらしい。



「お姉ちゃん今日はここまでにして少し休憩しようか」


「賛成です・・・」



ふむ、だいぶ疲れたようだ。ちょっとマッサージでもしてあげるか。

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