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第2話 母さんの仕事

 ばーちゃんが亡くなってからは少し大変だった。母さんは僕たちの面倒を見ながら仕事しなければいけなくなったからだ。

 幸いなことに母さんの書いたミステリー小説が売れ行きがよかったので、出版社の人たちも母さんがヒットを出したミステリー物から家でも執筆しやすい恋愛物を次回作に書くことに反対しなかった。



 でも次作の恋愛小説は全くというほど評価されなかった。前作のヒットの影響でそれなりに売れたが、母さんの小説家としての名声は失墜した。

 まだ幼かった僕でも母さんが焦っていることは分かった。母さんが良い物が書けないのは僕たちのせいだとその時知った。

 


 だから僕は母さんに代わって家の家事をすべてするようになった。その時僕はまだ7歳だったけどこの家を守るのは僕なんだと自覚していたからできた。

 お姉ちゃんは年上だけどまだ9歳の、普通の女の子だった。家事なんて出来やしない。

妹の栗は頭がよかったから僕の手伝いをしてくれていたんだけど、頭はいいんだけど不器用だったからあんまり役には立っていなかった。



 小説が売れ悩んでいた母さんは、生活のためまたミステリーを書くようになった。そのためには全国を取材し、題材を手に入れる必要があった。

 だから母さんは家のことは僕と雇ったホームシッターさんに任せ、また全国津々浦々をめぐるミステリー作家に戻った。


 

 母さんが恋愛小説の次に執筆した、滋賀県に取材に行ったときに書いたミステリー「琵琶湖クルーズ殺人事件」は発行部数25万部の母さん最大のヒット作となった。

この本のおかけで苦しかった経済状況からも脱却し、母さんはミステリー作家の売れっ子作家となったのだ。今は僕たちを養うため母さんは全国あちこちを旅し、取材をし本を書く。

 


 そんな母さんを、蒼井家を支えるため、僕は今も家の家事を行っている。

17歳になったお姉ちゃんは、17歳になるもっと前からだけど僕と一緒に家事をやってくれる。妹の栗は手伝ってはくれるんだけどやっぱり不器用だ。

 僕がさりげなく手伝わなくてもいいよというと、拗ねてしまう。プライドの高さと頭の良さは父さんに似たんだろう。でも手伝おうとしてくれる優しさは母さんから引き継いたんだ。だったら何も問題ないよ。

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