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神祓ノ使~源平争乱絵巻~  作者: 森岸 真鳴
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7.逢坂の姫神

八幡丸の無茶を浅間たちは見逃してくれているようだった。その変わり身が焼けるような塗り薬を塗っていく。この時代、薬はあるものの、ほとんどは個人の自然完治だけが頼りであった。その点で八幡丸は優れていた。第一に田舎育ちであったために、体を鍛えていたことがあげられる。それに加え、毎日のように神との戦いを通しているからか、衰えというものを知らない。

「奈良に荒御霊らしい。今度は大物だぞ」

「奈良って、あたしの実家を通らなきゃダメかしら」

「都は大丈夫か?」

 うーん、と出雲が筆の先で頭を掻いた。

「清盛様が亡き後の平氏を守ることも大事だが、こうして民の暮らしを守るのも立派な役割だぞ。それに、そう簡単に源氏が雪崩来ることもあるまい」

「確かに……」

「八幡丸だけじゃ心配だからあたしもついていくわ」

「頼めるか、浅間」

「まかしておいてよ、あの辺りはあたしの……」

 不自然に、浅間の言葉が止まった。

「浅間?」

「いや、何でもないの。とにかく、一刻も早く立ちましょう」

「あぁ」

 浅間に追い立てられるように、八幡丸は寮を後にした。


「またただ働き持ち込むんじゃないでしょうね」

「いや、それはない」

 八幡丸は、浅間にどやされつつまた旅路を急いだ。先ほどまでは東だったが、今度は南だ。

「そういえば、あんたの村の話って聞いたことないわね」

「俺か?」

「そうよ、ここまで世間知らずだと逆に気になるわ」

 そういわれても、答えようがない。

「俺は、近江の出だ」

「近江! 近江って、あの琵琶湖の!」

 浅間が急に眼を輝かせてこちらを見てきた。近江というと、みなが一斉にそんなことを言う。八幡丸はお決まりの言葉に渋面を作った。

「だが、俺は琵琶湖を知らん。見たこともないからな」

「えー、そうなの? 近江って琵琶湖が全部を占めてるとばかり思っていたわ」

「あぁ、みんなそういう」

「でもでも、見たことないっていうけど、どんなものかは知っているんでしょう?」

 なぜここまで掘り下げてくるのかよくわからない。商家だからか?

「俺の家は普通の小作人だ。俺が長男で、弟が2人、妹が3人いる。親父はまじめだが気の弱い性分で、いつもお袋の尻にひかれていた」

「めずらしいね」

「親父は人の縁談なんかが好きで、よく縁談の仲人を務めていた。近江の大黒様と呼ばれていた」

「大黒様ねぇ、あんたとは似ても似つかないわ」

「うるさい」

 そういって八幡丸は話を強引にまとめた。気づけば、あれから文を出していない。都のごたごたは村にも伝わっているだろう。もしかしたら親が心配しているかもしれない。とはいえ、村に戻らないと決めた以上、伝えることはない。それに、都どころか各地の関所の取り締まりも厳しくなっていると聞く。文など出したところで、村まで付くかどうかわからない。それに、村に行こうとしても関所で止められてしまうかもしれない。下手をすれば患者か何かと思われはしないだろうか。

 八幡丸はそう考えた。面倒ごとは避けるに限るのだ。

「さぁ、着いたわよ」

 変にもったいぶって浅間が八幡丸の先頭に立っていたのを、道を開けた。小高い丘から見下ろす町並みは、一瞬大きな長屋が連なっているのかと思った。

「ここが、逢坂の関よ」

「なるほど」

「で、どうよ」

「ひとが、いっぱいだ」

 感想がそれしか出てこなかった。それにはわけがある。なぜなら、夕暮れ時の都ならもう人っ子一人通りもしないのに、この逢坂の関というところには、ひっきりなしに人が通っているからだ。遠目からでも十分にわかる。

 都も人が多いと思っていたが、ここはそれ以上だ。

「都より人がいるんじゃないか?」

「そうね、都に商品を卸す商家が連なっているからそう思うんでしょうね」

 浅間はまるで実家に帰るというような口ぶりで歩いていく。慌てて八幡丸もついていこうとする。

「商家っていうのは、一人でやるものじゃない。番頭がいて、手代がいて、使い走りの小僧がいて、それらにも家族がいるからこんなに増えるのよ」

 都とはまるで違う生活に、八幡丸は目を丸くした。村から出ると、こんなにも違うものなのかと驚かされることばかりだ。

「町中に降りたらもっとすごいわよ」

 そうにやにやと笑う浅間にからかわれた気がして、八幡丸はむっとした。5つの村が持ち回りで行う祭りだったら、これくらい人は集まると言ってやりたかったが、浅間のことだ、きっと爆笑して返すに違いない。これ以上、田舎者と笑われるのもしゃくだ。


 町に降りてみると、確かに人が多い。歌の世界では、人々が集まってくる場所と言っているらしい。

「そういえば、宿はどうするんだ?」

 八幡丸はふとそんなことを口にした。宿は自分たちで探さないといけない。国守がいる場合はそこに伝令が行くが、ここにはそんなものはないと聞く。日が完全に沈む前に宿に入らなければいけないだろう。

「あたしの実家があるわ」

「でも、お前は実家が嫌いだと言っていなかったか?」

「誰が嫌いって。出雲ね。いいのよ、これくらいなら何とでもなるわ」

 すたすたと人の波を避けるように浅間の長い髪が揺れる。そこだけが切り取られたようにゆっくりと時間が流れていく。都でも思ったが、ここは時間の流れが速いように思えた。村の時間に慣れている八幡丸にとって、少し居心地の悪いものと感じた。

 しばらく歩いていくと、浅間は一見の商家の前で止まった。なるほど、かなりの大店に見えた。こんなところで生まれたのならば、一生食うに困らないだろうに、と八幡丸は思った。少し店の中を覗いてみると、色とりどりの衣装がかけられていた。帯に使う布や、小物なども置いてあった。

 浅間の実家は、衣屋なのか。八幡丸はふと思った。だから、八幡丸の服を見てさんざん悪口を言ってくるのだなと思った。目が肥えているのだろう。

 店の広さはかなりのもので、もしかしたら八幡丸が暮らしている長屋ほどの大きさはあるのではないだろうか。10間はあると思った。店の中には客と、それに話しかけている男が一人いた。客は見るからに金持ちそうだ。どこかの蔵持の旦那だろうか。

「ごめんください」

「おじょうさん! 旦那様! お嬢さんがお帰りになりましたよ!」

 店の中で客と話し込んでいた男がぱっと顔を上げていった。その声に店の雰囲気ががらりと変わる。

 ざわざわと。

 まるで水を打ったように静まり返る店内に八幡丸は身震いした。

「違ったみたいね」

 ふい、と浅間が出ていこうとする。

「あ、お嬢さん!」

 あっけにとられる八幡丸を、店にいた男が追いかけていく。

「お嬢さん! ここまで店が大きくなったのも、お嬢さんのおかげです! 旦那様も、大旦那様も本心から言ったわけではありません! ですから!」

 大通りで声を張り上げる男に浅間は振り返っていった。

「そんなことに縛られているから、私は使になったのよ!」

「お嬢さんが出ていかれて、旦那様がふさぎがちになりました。せめて元気であると文をくださるだけでも」

「だから、家には帰らないって言ったでしょう。これは、使としての役割のために利用させてもらうだけ、実家に帰るなんて一言も言ってないわ」

「お嬢さん、旦那様に一目会われてください。あたしたしも、お嬢さんに帰ってきてもらったらどんなにうれしいか」

「知らないわ。私は名前を捨てたの。もう関わり合いのない話だわ」

 浅間が目だけで、八幡丸について来いといった。だが、八幡丸には納得のいかないことばかりだった。

「浅間、これはいったいどういう意味なんだ?」

「…………」

「この子はいったい、誰なんです、お嬢さん」

「使の相棒よ」

「答えろ、浅間」

「……」

 浅間は下を向いたまま黙りこくった。町ゆく人々は何事かと足を止めて成り行きを見届けている。浅間が実家と仲が良くないのは使いを追い返していたことからも、なんとなくわかっていた。だが、それよりも、何か決定的なことがあるのではないかと八幡丸は思った。

「久しぶりに、顔を見せたと思ったら、何ですか、その恰好は」

 りんと、鶴の鳴き声を思わせるような威厳のある声が響き渡り、店のほうの人垣が割れた。そこから現れた女性は、鮮やかな二藍の衣をまとっていた。八幡丸には金持ちの人の装飾などわからないが、かなり裕福な格好をしているのだけはわかった。紅を引いた口をゆるりとほどき、女性は浅間を見た。

「よう、お帰りになりましたなぁ。“浅間”はん」

 浅間の衣をつかむ手が強くなった。いつも八幡丸を投げ飛ばしたり、蹴飛ばしたりする浅間の姿とは打って変わったしおらしい姿に、八幡丸はどう声を掛けたらよいのかわからなかった。

「今、戻りました……おっかさん」

 蚊の鳴くような、小さな声だった。母、と呼ばれた女性は鼻を鳴らした。

「あんたさんにおっかさんと呼ばれるいわれはないどすけど、ここは往来。そこの若いお人もまずはうちの店に入んなさい」

 いることを気づかれた八幡丸は一瞬どきりとした。隙のない女だな、と八幡丸は思った。八幡丸はしずしずとついていく浅間をかばうように隣に立った。

「あれが、お前のおっかさんなのか?」

 浅間は八幡丸の言葉にすぐに答えなかったが、しばらくすると声を上げた。

「あたしの二番目のおっかさんだよ」

 八幡丸にはその意味がよくわからなかった。


 店の奥の住まいになっている場所に八幡丸は通された。そして、なぜか歓迎のもてなしを受けた。使は都の役人、それをもてなすのが何よりの名誉なのだと、店の者たちが言っていた。八幡丸は着物を新しいものに変えてもらい、ふろに入らせてもらった。初めて入る風呂というものに八幡丸は驚き半分、面白半分で入った。この時代の風呂は蒸し風呂で、蒸気で体を濡らし、体の垢を流すのである。置けなどに湯を貼り、入浴する方法が主流になったのは、これからもっと先の時代である。また、まだ陰陽道がさかんだったこの時代においては、毎日風呂に入るという風習がなく、逆に風呂に入ると不吉になる日があると信じられていた。八幡丸にはそれらの事情は知ったことではないので、旅の疲れをいやすのに使った。

「さすが、堺! うまいな!」

 漁港であり、いくつもの海産物が入ってくる堺の贅を凝らした食べ物に、八幡丸は満足した。生の魚など、生まれてこの方一度も食べたことがない。これは何の魚だろうか、魚なんて皆同じような白い身で、見た目では違いが分からない。だが、喉を通っていく時につるりとした触感が面白い。しょうゆも故郷とは違って少し濃いような感じがしたが、都と同じような感じがした。都にもしょうゆを下ろしているのだろうか。故郷では大豆を育てている家があって、そこから米や酒と交換でもらってくるのが一般だった。故郷にはまだまだ通貨という概念が浸透しておらず、物々交換で手に入れることが多かった。だから、都に来てお金というものを知った。便利だと思う反面、使いづらさも感じた。だが、故郷に送る時に米や酒だとかさばるし、その分お金もかかる。だから、かさばらないように布や紙などを買ってきて、その中に金を忍ばせて送るようにしている。最近では村の住人からの依頼で干物などを買ってくることもあった。都に住んでいるのが自分しかいないので、都のものというだけで村が湧くのは何となく想像がついた。

 浅間はどうしているだろうか、と八幡丸は思った。

 舌鼓を打っている八幡丸の向かいで、浅間は青菜のようにしょぼくれて飯をつついている。何か困ったことでもあるのだろうか。

「浅間、もう少し詳しいことを話してくれないか」

「戻ってくるんじゃなかった……」

 そう何度も口にされても、八幡丸には何のことだかさっぱりわからない。それでもしつこく聞く事にすると、とうとう観念したように浅間が切り出した。

「あたしは、この店の旦那の前のおかみさんとの子」

「やもめになった夫が再婚したってわけか」

「あんた、能無しのくせに難しい言葉知ってるのね」

 山菜を炊き込んだ煮物に手を伸ばしながら、八幡丸は答えた。

「なに、俺の村じゃ当たり前だったからな。冬になれば子どもや老人がぱたぱた死んでいく。やもめがあちらこちらにいる。村では普通のことだ。そんな時は余所の村から嫁や婿を取る。俺のばっちゃんの一人は余所の村の人間だった」

 それは真実だ。特に不作の年は悲惨だった。隣の村ではその年に生まれた赤子が全員死んだと聞いた。八幡丸だって、危なかった時が一度や二度だけではなかった。子供は7歳までが神の子、とはよく言ったものだ。事実、八幡丸も7つを超えたぐらいで、体が丈夫になった。幼いころに味わった飢えの感覚は、消えはしないだろう。出雲にその細い体のどこに飯が入るんだと感心されるほど食えるのは、その時の感覚が残っているからだろう。

「俺の兄貴も一人死んでる。だから、俺は本当は次男だ。弟だったか妹だったかは知らんが、俺のすぐ後に一人死んだっておとうが言ってた」

 飯を書き込みながら言う話ではないような気がしたが、八幡丸はつい口を滑らせてしまった。浅間はこのことを初めて知ったようで、目を丸くしている。

「え、そう、なの」

「あぁ、ここでは違うのか?」

「ええ、そうよ。堺じゃそんなに人死にはないわ。そう、あんた次男だったの」

 あまりにも違うのか、浅間の表情が固まって元に戻らない。八幡丸は別に、変なことを言ったつもりはないし、冗談でもなかった。さすがの話題に、浅間も言葉をなくしたようだ。

「本当だぞ」

 念を押すように八幡丸が言った。なんだか嘘つきと思われているようできまりが悪い。

「いや、あんたが嘘をつくような人間じゃないってことはわかってる。本当なんでしょう」

 こくりとうなずくと、八幡丸は米に手を伸ばした。磨き上げられた白米を食べるのは本当にまれで八幡丸は祭りにでも来たような気分になった。祭りでもこんなに豪勢なものは出ない。まさか、村長にでもなったのではないかと思ったぐらいだ。

「あたしのおっかさんはね。あたしを生んですぐ亡くなったの。で、あたしは珍しく生まれた時から紋を持ってたの」

 そういう人間がまれに生まれるとは聞いていた。八幡丸は都で修業した果てにもらったものではあるが、中にはそういう人間もいるらしかった。その子供には見えないはずの神々の姿が見えるともいわれていた。浅間がその一人だとは思いもしなかったが。

「あたしの浅間様は今も酒蔵にいるよ」

「だから、浅間の名を借りたのか」

 こくり、と浅間がうなずいた。浅間の神、コノハナサクヤヒメは酒造りで有名な神だった。オオヤマヅミが酒造りの神としてまつられ、その子である姫も一緒にまつられたのが始まりなのである。

「うちの浅間様は、気さくであたしにいろんなことを教えてくれた」

 酒造りはもちろん、手習いや珠算まで教えてくれたのだという。浅間だけに見えていた神のことをはじめは信じられなかった祖父である大旦那は気味悪がっていたようだが、父親である旦那様は信じてくれていたのだという。

「でも、あの人が来てから変わったの」

 ひとり身になってしまった息子を気遣ってか、大旦那が三重のほうから娘を一人連れてきたのだという。それが、先ほどの女性らしい。彼女もまた大店の娘で、お伊勢参りの客相手の商売で一山あてたらしい。

「あの人が、私の力を気味悪がったの」

 確かに、常人には見えないその姿が見えるといえば、たいていの人間は狂人と思うだろう。それを見て見ぬふりをし続けていたのが、この店というわけだ。可愛い娘のためを思い、無理をしてきたのだろう。

「おっかさんは、あたしを蔵に閉じ込めたの。浅間様と一緒に」

 浅間様を祭っていた神棚を取り外し、別の神の神棚へと変えてしまった。その神とは縁がないのか、浅間には見えなかった。そんなに仲がいいなら、一緒にいるといい、と言って蔵に閉じ込められ、浅間の心は揺らいだだろう。

 浅間は食べる手を止めて、まっすぐに前を向いた。

「浅間様は、おっかさんのことを許しているようだった。でも、あたしは許さない。だって、この店はあたしとおとっちゃんのものだ」

 ざぁ、と紅に染まりつつあるもみじの木々がやさしく揺れた。

「それから、新しいおっかさんにやや子が生まれた。男の子だった」

「だから、寮に来たのか」

「ええ。男の子が生まれれば、あたしはいらない。あたしにできることは何もなくなっていたのよ」

 ぽとぽと、と浅間の目から涙がこぼれた。

「でも、あたしが、あたしが!」

 泣き崩れていく浅間の姿を八幡丸は初めて見た。こんな浅間を見たことがなかったからだ。いつも人を馬鹿にする女などそこにはいなかった。

 そこには、家を追われてもがく一人の少女だけがいた。

「あたしが男に生まれていれば、こんなことにならなかったのに!」

「それは仕方のない事だ」

「わかってる! 弟は今や若旦那ってことで、方々の会合に出てるっていうし、あたしなんかと違って出来がいいっておじい様も言ってる!」

「聞いたのか」

「手紙だけならね」

「そうか、親子というに、不思議なものだな。村じゃ、そんなことはなかった」

 親が子を見捨てるというのは、たいてい育てられない時か子どもが神の子どもだった時ぐらいなものだ。神の子はさっさと返さねばならないと、産婆から聞いたことがあった。思うに、浅間は神が見えるだけで、神の子というわけでもなさそうだ。もし、神の子であるならば、生きているわけがない。

「村と余所は違うのよ」

「それは知っている。俺も、都に来てあまりの違いに驚いた」

「この話、やめにしない。むなしくなるだけだわ」

「そうだな。あまり食事時にするほどでもなかったな」

「まったくよ」

 そういうと、浅間は飯を食べ始めた。切り替えの早い事だな、と八幡丸は思った。そうでなければ使は務まらないと思った。時に神を見送らなければならないものでもあるからだ。全てがすべて信仰され、守られる神ではないからだ。神上がりをし、神々の住まうところへ行ける神はまだよいが、たいていの場合は自然に帰ってしまう。二度と神として顕現することはなくなる。自然から生まれた神々が多いこの国において、それは仕方のない事だと八幡丸は思った。

 食事が終わると、八幡丸は地図とにらめっこしていた。

「なに、珍しいわね」

「奈良まであとどれくらいかかるのだろうと思ってな。あまり長いをするわけにはいくまい。源氏が挙兵した噂はまだ流れてはこないが、俺達が奈良に行ったときに都に来られても困るだろう」

「あんたにしてはよく考えてるわね。大丈夫よ」

「なにを悠長な」

「都には千を越える兵が常に帝をお守りしているわ。それに、帝に刃を向けたなんて、恥もいいところ。源氏が都を攻めるなんてことはあり得ないわ」

「それならばいいが」

「なに、何か気になることでも?」

「……いや、何でもない」

 八幡丸は二階から外を見た。二階建ての建物というのも初めて見た。都と違って狭い堺では二階建ての建物もあるのだと浅間が言っていた。もう夜も遅い頃だというのに、まだあちらこちらで明かりが漏れている。人の往来が多いのだろう。そして、道沿いには宿屋が客引きをしている声がする。

「そんなに珍しいわけ?」

「あぁ、まるで鳥になったようだ」

「大げさな」

「村の物見台はそう簡単に登れなかったからな」

「あんたって、本当に田舎ものね」

 ズバリ言われてしまい、八幡丸は返す小言葉がなかった。仕方ないだろうと噛みついてもよかったが、浅間の事だ笑って返すに違いない。なんとなく不毛なので、八幡丸はそっぽを向いた。

「星は、村の方がよく見えるな」

「そうなんだ」

「あそこの星、ここじゃ2つしか見えない。故郷じゃもっといっぱい見えた」

 八幡丸は見上げた星空をなぞるように指を振った。故郷の方が星がよく見えた。陰陽道においては星は重要なものだと聞いていたが、八幡丸には何のことだかさっぱりわからない。とりあえず、北斗が分かればいいだろう、という感じだ。占い師ではないからだ。

「八幡丸、星好きなの?」

「いや、そうでもない。ただ、故郷より見えないな、と思ってな」

「あんたでも故郷が恋しくなることあるんだね」

「いずれは帰っていかないといけないからな」

「そうなの?」

「女ならいざ知らず、俺は長男だ。いずれおっとうの畑を継がなきゃならない。嫁だって迎えなきゃならない、弟たちに任せるのは気が引ける」

「変なところで真面目ね」

「ほっとけ。放蕩で出ているわけじゃないんだ。故郷に帰らなきゃならない。だから、俺は戦なんてまっぴらごめんだ」

「私だってごめんよ」

 ふと八幡丸の鼻に、焦げるようなにおいがついた。八幡丸は、身を乗り出して窓から外を見まわたした。

「浅間、そう言えばお前は浅間様が見えると言っていたな」

「ええ」

「浅間様は今も家の蔵の中か?」

「ええ、もしかしたら壊されているかもしれないけれど」

「いや、そこまで罰当たりなことをするわけがないだろう」

 八幡丸は思い切って窓から体を出し、かやぶき屋根の上に立ち、辺りを見渡した。

「なにしてんのよ、ついに猿にでもなったわけ?」

 浅間の貶す声を聞き流し、八幡丸は落ちないように気をつけながら浅間の家の隅々まで見渡した。

「浅間、すぐに家の人間に知らせてくれ!」

「なによ?」

 浅間が窓から顔を出した。

「付け火だ!」

「なんですって!」

 八幡丸はすぐさま、小太刀を取りに部屋に戻り、足を洗うためにつかった桶に手ぬぐいをつけた。硬く絞り、頭に乗せた。

「何かが燃えてる臭いがするんだ!」

「まさか、それって!」

 八幡丸の紋が輝きだした。それと同時に浅間のものも、ほのかに光り出した。

「浅間様!」

 浅間が悲鳴を上げて走り出す。

「ついてきて!」

 浅間の先導で、八幡丸は駆け出した。

「こんな時に付け火なんて!」

「もしかしたら、浅間さまが荒御魂になったのかもしれないな」

「なんで!?」

 振り返らずに浅間が走っていく。長い廊下に時折足をとられそうになりながら、八幡丸はついて行く。主の異変を察した太郎坊と二郎坊が庭先で鳴いている。庭に出てくると、ここからでも分かるように、庭の奥の方が明るくなっている。

 八幡丸が庭先に躍り出て、足を進めようとしたところ、八幡丸の歩を阻むように短剣が飛んできてつ突き刺さった。とっさに顔を上げると、炎を上げる蔵の前で一人の男が立っていた。八幡丸と違わないか、少し上くらいの青年に見えた。

「神を閉じ込めるなど、思い上がりも甚だしい事。そう思わないか、少年」

「誰だ!」

「そう威嚇しないでくれるか、お前も私と同じ目的を持つもの、違うかね」

 ぱちぱちと火を上げて夜を明るく照らす蔵を前に、青年が八幡丸に問いかけた。どこか歌のような響きに、八幡丸はふざけるな、と一喝した。

「その蔵は、浅間の家の大事なものなんだぞ!」

 村でも蔵は大事なものだった。その年の村人が食べる米が蓄えてある。それに火を放つなど、正気の沙汰じゃない。この家の人間が飢え死にしてもかまわないと言っているようなものだ。

「神を敬わない、この家の人間の物など大切にする義理がどこにありますか」

「何を言っている!」

「少年、使であるならば、この女人を見ることができるでしょう」

 そういって青年が足元に転がっていた女性を無理やり立たせた。都で見かけるような鮮やかな衣を何枚も重ねていて、神は地面まで流れるようだった。女性は大分弱っているようだった。こちらからでも分かるように、ずいぶんと生気のない顔をこちらに向けていた。女性は浅間を見かけるとはっと目を見開いた。

「あ、あ……」

 じゃり、と浅間が後ろへ下がったのを感じた。足元の太郎坊と二郎坊がうなり声を上げている。

「浅間様!」

「なんだと!」

「そうとも、この女人こそ、富士の山の神であらせられる。姫神。だが、この家の者はこの姫神を長い間閉じ込めていた。長い間信仰していたのにもかかわらずにね」

 青年はぞんざいに姫神を八幡丸の方へと押しやった。

「浅間様!」

「誰が動いていいと言いましたか?」

 青年が浅間に向かって何か放った。石弓のようなもので、浅間の頭に拳ほどの石が当たった。衝撃で浅間があおむけで倒れこむ。額が切れたのか、たらりと細い血が流れだした。

「お前、何がしたい!」

「それは、我らが主のみ心のまま」

「答えになってない!」

 八幡丸は小太刀を抜いて、青年に向かって駆けだした。おそらく、あの少年が前に八幡丸に毒矢を放った者かもしれない。

「真っ向勝負、なるほど、君は武士によく似ている」

「俺は武士じゃない!」

 小太刀を下段に構え、走ってくる八幡丸に青年はやれやれと言うように、腰に佩いている刀に手をかけた。

 がちん。

 八幡丸と青年は、その場で刃をぶつけ合った。八幡丸の刀を受け流し、青年はどこか余裕があるように見えた。それは、前回言葉を発さなかった武士によく似た型だった。

 太郎坊が八幡丸の代わりに体当たりを食らわせると、青年は少しよろけた。

「うるさい犬ですね」

 青年は刀を持ち直した。すると、一瞬で刀の色が変わった。薄紫色の煙のような物をまとったそれを太郎坊に切りつけた。

 ぎゃん、と転がった太郎坊に八幡丸は気をとられた。

「私は武士であって武士にあらず! しかるに、名乗る義理など無し!」

 その隙を狙われ、八幡丸の小太刀を弾き飛ばされた。大きくのけぞった八幡丸に青年の刃の峯が飛んできた。棒で殴られたように、八幡丸が飛ばされた。

「使がいるとは思わなかったけれど、この程度ではまだまだ殺す価値もない。今夜の所は、この姫神をもらっていきましょう」

「させないわ!」

 ぴゅい、と大きな指笛が響き渡った。

 その音に反応した太郎坊と二郎坊が、己の紋を輝かせ、大きくなった。

「浅間様を返してもらうわ!」

「狗使いか。面白い」

 刀の気配をそのままに、青年が二郎坊たちに向き合った。

「荒御魂になるにはまだ時間がある。それまでしばし付き合ってもらいましょう」

「なにわけわかんない事言ってんの! 浅間様にはこれ以上、指一本でも触れさせないわ!」

 また指笛を吹く浅間に指揮され、犬たちはたっと駆けだした。八幡丸はなんとか身を起こした。すると、おかしなことに気が付いた。

「服が溶けている?」

 まるで飴細工のように、八幡丸の服が溶けていた。それはちょうど青年の紫色の気に触れたところでもあった。

「浅間、気をつけろ! 毒使いだ!」

「なんて卑怯な!」

「言ったでしょう、私は武士にあって武士にあらずと!」

 青年がにやりと笑った。先日の武士とは違い、犬の速さについていけるようでもあった。

「浅間様になにをしたの!」

「なにもしていないよ。ただ、この神にここにいることの是非を問うただけだよ」

 近づきつつあった八幡丸に短剣を投げてけん制しつつ、青年は答えた。二郎坊にも一太刀浴びさせ、犬たちを少し遠ざけさせた青年は高らかに言った。

「さて、荒御魂! そなたを閉じ込めてきた愚かなる人間に裁きを!」

 むくり、と姫神が立ち上がった。長い髪が顔を覆い、表情が窺えない。ただ、生気を失ったかのように立ち尽くす姫神はすすす、と流れるような足さばきで庭を歩いてきた。

「さて、私はこれで去りましょう。姫神、あなたの和魂は私が壊さぬよう、腹の中にてお守りしましょう」

 いつの間にか持っていたのだろう、青年が白く輝く珠を手に持っていた。

「それ、返しなさい!」

 太郎坊をけしかけると、青年は太刀で軽く払った。

「この姫神を閉じ込め、祀りもしなかったあなた方の罪ですよ」

 青年はそういうと、姫神を置いて出ていった。

「荒御魂……」

「あれが、浅間さまの荒魂?」

 まるで幽鬼のようなその姿に、八幡丸はどう扱えばよいか分からなかった。

「 」

 ふと、姫神が両手を広げた。そこから地面から花が咲き始めた。その花は八幡丸が見たことないような形をしていた。大きな花弁は百合の花のようではあるが、その中央には蛇の頭のような物がついていた。

「  」

 姫神が指で八幡丸をさした。すると、百合の花の怪物は、八幡丸に狙いを定めた。

「やめてください、浅間様!」

 浅間が叫んでいるものだから、なんだか不思議な感じがする。八幡丸は小太刀を握りしめると、百合の花に向かって縦に切りつけた。ひるんだすきに横に切り裂くと、腐った卵のようなにおいがした。

「  」

 突然、切ったところが火を上げて爆発した。

「そうか、硫黄か!」

 煙で左目をやられ、八幡丸は目をおさえた。もう一匹の化け物には身をひるがえして避けた。

「浅間様は、富士の山の化身。だからか」

「  」

 何度か瞬きをすることで煙の害を洗い流した八幡丸は呼吸を整えた。そもそも、この姫神には戦いに関する権能はないはずだ。ならば、有名どころであっても、対抗しゆることができるはずだ。

 八幡丸は飛んでくる怪物たちの首をあしらいながら、隙はないかと伺った。太郎坊と二郎坊ももう一体の怪物に噛みつくなどして、動きを封じてくれている。後はこれを切り落とせば、本体までたどり着くことができる。この神は浅間にとって大切なものだったのならば、救わなければ、と八幡丸は思った。

「八幡丸! 後ろ!」

「あぁ!」

 とっさに後ろに振り向きざまに刃を突き立て、八幡丸は怪物の頭に乗った。振り落そうと何度も化け物は頭を振るが、八幡丸は構わず短剣で突き刺した。

 ぎゃぁ、と鴉の鳴くような声が夜闇に響き渡った。劈くような声に、見せの人間たちも気づいたようで、なんだなんだと駆け寄ってくる。

「来るんじゃねぇ!」

 振り回されつつも、八幡丸は叫んだ。普通の人間に荒魂が何をするかは分かったものではない。それに、人々は神は純粋なるもの、不可侵なもの、というのを信じている。そんな人々の前に、荒御魂を見せれば、あまりの景色におののくに違いない。

「みんな、家の中に入って!」

 耳をすませば、火消しの鐘の音がなっているのが聞こえた。蔵は幸いなことに、隣家とは遠く、延焼することはなさそうだ。だが、時間をかけるのはよくない。

 振り回されているうちに、八幡丸はだんだんと平衡感覚を失いつつあった。軽い吐き気まで起き始めた。八幡丸は少し霞んで見える闇の中で、小太刀を握り直した。

「せぇいや!」

 八幡丸はバケモノを踏み台にして飛び跳ねると、その勢いのまま化け物に刀を突き立てた。使の力を最大限にまで高めて切りつけたその刃は、白い光を放ち、化け物を裁断した。

「太郎坊! こい!」

 わん、と太郎坊が八幡丸の方へかけてくる。八幡丸はその背に乗って、駆け出した。馬には乗れないが、太郎坊には乗ることができる。

「行くぞ!」

 片方を失った怪物がこちらへ向かってくる、右、左へとよけていく。それは八幡丸の指示ではなく、後ろで指笛を拭いている浅間のお陰だ。細かい指示は浅間でないと出せない。だからだ。

 太郎坊が十分に近づいたところで、八幡丸はその背を台にして跳び上がった。眼窩に怪物が見える。怪物は八幡丸を飲み込もうと頭を伸ばしてくる。

「そうはさせない!」

 八幡丸は体をひねり、その眉間に刀を突き立てた。すると、怪物は光となってかき消えていく。二郎坊に受け止めてもらい、八幡丸は叫んだ。

「いけ浅間!」

「ええ!」

 浅間は懐から鈴を取り出すと、姫神の前で2、3と振った。すると、その場がぱっと明るく輝き始めた。

「祓いたもう!」

 浅間の凛とした声が響き渡り、姫神はゆっくりとその顔を上げた。

「  」

 姫神が浅間に何か伝えたようだ。浅間は更に鈴の音を響かせた。しゃらん、しゃらん、と音が響くたび、その場の空気が澄んでいくようだった。

「  」

 姫神が八幡丸の方を見た。記紀あるように見たことないような美しい娘の姿をしていた。姫神はお詫びするように深く深く頭を下げるとそのまま小さな光となってかき消えてしまった。

「浅間様!」

 浅間が手を伸ばそうとするも、そのかけら一つ掴むことはできずに宙へと消えてしまった。

「何が起こったんだ?」

「浅間様が……。消えたの」

「消えた?」

「荒御魂だけでは存在することはできないの。だから、あの男が持っていった和魂の方に行ったんだわ」

 八幡丸はそう説明され、そうか、とつぶやいた。紋の力をほどき、八幡丸は深く息をついた。八幡丸はまだ経験が浅いため、使の力をそう長く保つことができない。そのせいか、まだ浅い息を繰り返している。

「浅間……」

 二人の前に一人の壮年の男が声をかけてきた。どちらかといえば細く、柳のような男だった。ひとたび強い風が吹けば倒れるのではないかと心配するような男に、浅間は声をかけた。

「おとっさん」

「この人が、浅間のおとう」

 浅間と正反対の性格をしていそうだと八幡丸は思った。浅間が父を守ろうと言っていたのは、そのせいか、と八幡丸は思った。この外見では大店を任せるなど難しいだろう。つぶれやしないかと、はらはらしてしまう。

「浅間、先程が使の仕事かい?」

「そうだよ。おとっさん、寝ていなくていいのかい?」

「蔵が燃えたのに、悠々と寝られるものではないだろう。あの姫神様は、浅間様だったんだね」

「…………」

「浅間様はあたしたちを許しはしないだろうね。なにせ、ずっと閉じ込めていたのだから」

「ちがうよ、おとっさん! 浅間さまはそんなことしないよ」

「だが、こうしてあたしたちを襲ってきたではないか。怒っていらっしゃるんだろう。だから、お前達が祓ったんだろう。だったら、このまま今の神を祀ってもいいんだろう」

「あれは荒御魂だから、浅間さまの本心じゃないはずだよ。おとっさん、ねぇ。浅間さまは……」

 浅間の言葉を聞き流すように、浅間の父親は八幡丸の方へと歩み寄った。背が高い分、余計に柳のように見える男だ、と八幡丸は思った。

「このたびはうちの神を祓ってもらって感謝します。あたしは、浅間の父です。使の戦いを見るのは初めてで、あたしは少し驚いております。明日の朝には発たれるのであれば、早くおやすみになってくださいな」

「あぁ、そうします」

「ん? なんでしょう」

「あんたが、旦那様でいいんだな。大旦那様はどこにいる?」

 困ったように父親が眉根を寄せた。

「大旦那は今病に臥せっております。ですが、この件に関して大旦那はとても感謝していらっしゃいます」

「いえ、それならいいんですが」

 八幡丸が言葉を上げようとした時、使い走りだと思われる少年が走ってきた。

「なんですか、平吉」

「旦那様、店の入口にこんなものがありました!」

「見せてみぃ」

 少年から紙を受け取った父親は斜め読むと、顔を青ざめた。

「そんな、でも、まさか」

「なんてかいてあるんだ?」

「あんた、八幡丸ゆうお方ですか?」

「あぁ、そうだが」

「古都に参られよと、書かれております。あの、何かあったのではないですか?」

 文を見せてくれるようだったが、八幡丸は字を読めないので辞退する。なぜ、わざわざ書いてきたのだろう。

「相手は?」

「いえ、見てないんです。ただ、置かれていて」

 少年は申し訳なさそうにうなだれた。

「分からなければ、それでいいんだ」

 八幡丸はとりあえず、文を受け取ると元の部屋へと戻ってきた。浅間とは言葉を交わしていない。浅間の言葉を遮るような父親の態度が少し気になった。だが、あえて踏み入れることではないな、と八幡丸は思った。


 それから数日、八幡丸は浅間とともに旅路についた。その間何一つ言葉を交わしていない。あるとしても、休憩や相談といったところで、確信めいたことは何も話していない。どこか壁ができたような気がして、八幡丸はやりづらさを感じたが、それはいつもの事かと思うようにした。そうでなければ、いつ浅間から怒られるか分からない。触らぬ神に祟りなし、という言葉あるように、八幡丸はあまり踏み入れないようにした。

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