表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニート、家ごと跳ぶ。  作者: 黒鉄
一章
2/16

第1話 家消失事件。

小説というものを初めて書いてみました。

至らないところばかりだと思うので、ご覧下さっている方からビシバシ意見言っていただけると幸いです。

 ズズーッ――ハフッハフッ――カチカチッ


 ズズーッ――ハフッハフッ――カチカチッ――クルクルクル――カチッ


 特に笑うでもなく、怒るでもなく、無機質に大型掲示板を見ながらカップラーメンをかきこむ。


「やっぱシーフードうまっ!」




 起きてゲームをプレイして掲示板を見て、シーフード味を食って、寝て。


 起きてゲームをプレイして動画を見て、シーフード味を食って、寝て。


 もう3年近く毎日この繰り返しで、今はいわゆるニートというやつだ。


 俺の名前は織田稔、現在の年齢は32歳である。


 これでも以前は会社に勤めていて、就職したてのころは楽しかったものの、もともと他人とのコミュニケーションが苦手だった俺は、年齢を重ねるにつれ毎日が苦行の日々になっていってしまった。


 中堅と聞けば響きはいいが、要は上司に認められ、部下に慕われなければならないという立場だ。


 唯一備わっている能力といえば、基本的には何事にも特に興味はないが、一旦興味を持ってしまうとその事しか考えられなくなって熱中してしまうというところである。


 カップラーメンにしてもそうで、もう10年以上シーフード味ばかりを食べていても一向に飽きがこない。


 いわゆる「非常に熱しにくいが冷めない」体質だ。


 それにしても熱しにくい体質というのは困ったもので、社会で生きるためにはコミュニケーション能力は必須だが、他人に興味を持てない俺にそれが備わっているはずもなく、徐々に居場所をなくしていって3年前に仕事を辞めるという決断をした。


 それからというもの極端に人と関わることが怖くなってしまい、再就職することもないまま今に至ってしまっている。


 幼いころに両親は離婚し、母親のもとで育てられたが、その母親も4年前に亡くなってからは家族と言える関係の人間はほぼおらず、文字通り天涯孤独の身である。


 そんな調子だから一緒に外出する友達も皆無と言っていい。休みの日と言えば家に引きこもってネットばかりやっていたため皮肉にも貯金はかなり貯まっていた。今はその貯金で食いつないでいる。


 今こうして生きているのも、お金があるからであって、無くなってしまえば正直どうなるかは分からない。


 これといって生きる目的もないから、まあ、惰性と言われれば惰性だ。




「それにしても頼んどいたシロネコナデシコおっそいなぁ。なにしてんだろ」

 引きこもってからは食料のほとんどを宅急便で調達するようになり、部屋のカーテンすら開けず、ここ半年ほどは一歩たりとも外に出ていなかったので、外の状況も分からない状態だった。


「まあいいや、レトルト食品とか缶詰はたんまりあるし、死にはしないだろ」

「そういえば最近テレビも見てないな、ネットニュースでも見てみるか」

 特に知りたいという訳でもなかったが、なんとなく気になった。


「ん?何だこれ?」


 Mahoo!のトップページに行くと画像付きで気になる記事を発見した。


 画像はただの住宅街の空き地を写したなんてことはないものだったが、そのタイトルは「怪奇?突如消えた家」というものだった。


 思わず食い気味にクリックする。


――――――――――


 23日未明、埼玉県さいたま市の大野光博さん宅の家屋が突如として消失するという事件が起こりました。


 近隣住民によると「朝起きて大野さんち見たらさあ、無いんだよ。庭から玄関から何からすっかり全部無くなっちまってる。夢でも見てるかと思ったよ。」との事です。


 大野光博さんの長男と長女の所在も分かっておらず、警察は近隣住民に聞き込みを行うとともに、一般市民からの情報提供などの協力を要請しています。


――――――――――


「えっ?」


 その衝撃的な内容に思わず絶句してしまう。


「ちょっと待て、さいたま市っていったら()()じゃないか!」


 ジワリと嫌な汗が滲み出てくるのが分かった。


 しかしいきなり家がまるごと無くなるなんてことありえるのか?なんだ?超常現象か?いやいくらなんでもそれは……


 この家主はなんかやましい事でもあったのか?アルティメット夜逃げか?いやいやそれも現実的じゃないだろ……


 混乱する最中、頭の中でぐるぐると不毛な討論を繰り返したが、結局納得のいく答えは見つからなかった。



 まだ宅急便は届かない。

















毎日投稿を予定していますが、物語自体の展開はゆっくりかもしれません。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ