突撃!お宅のろけっとがーる! ~001~
今回は連続更新に挑戦。
ショートショート形式でお送りしますよ~"φ(・ェ・o)~
「それゆけ、おいらはロケットだー、イカリをーあげろ出発だ!」
先ほどの雰囲気はどこへやら。
ひな子はご機嫌で、両手を大きく振りながら、てっくてくと、カケルの前を歩いている。
カケルはその少し後ろで自分の自転車をおしながら、黙ってひな子について歩く。
ひな子は構わないといったが、十二月の寒空の下、裸足で歩かせるのは色々とつらかったので、道すがらの店で女の子用のモコモコのついたスリッパを買ってやった。
「血道を~洗う旅にでるぅー」
――あいつ、道分かってんのかな?――
そんなことを考えながら、黙ってひな子の歌を聴いていた。
「こちとら八九三な快速船っ♪」
なんだか穏やかじゃない単語が混ざっている気がするが、先ほどまでの様子よりは、はるかにましと、カケルは何も言わずそのままにしておいた。
そうこうすると、何やら歌はBメロに入った模様。
「こぎだす宇宙の荒波にー」
ほうほう。
「迫る苦難をのりこえて、仲間に告げる涙の別れ、星と交わせ、盃をーっ!」
おー力が入って来たなー。
なんだかロケットというより『荒くれ者たちの歌』という気もするが、一体どこで覚えてきたんだろう。
そんな感想をカケルが持っていると、ひな子の表情もクライマックスに差し掛かる。
「今だっ! 必殺っ! スターダストプリズムブラスター!」
おぉ……必殺技の名前がありえない程ダサい! てかうるせぇ! ポーズをつけるな!
カケルは思わず、心の中でツッコミを入れてしまう。
「哀れ砕けた星々に~ ささやく脳裏にあの人の声~」
そしてひな子は少し間をあけ、カケルに向き直り、神妙な顔でこちらに向かって言う。
その雰囲気とひな子の表情に、カケルは少しどきっとして――
「――あんた、もうキセノン吸うのはやめなはれ――」
「語りが入るんだな」
結局、冷静にツッコミを入れた。
まぁとりあえずあれだ、そろそろ止めておかないと二番に突入されるのは色々きつい。
時間帯的にもご近所様に迷惑なはずだ。
「何言ってるんです。二番からがいい感じなんですよ!」
やはり二番は存在したか。
間髪入れずひな子が反論してくるが、
「おまえさ、どこでそういうの覚えてきたの? 宇宙海賊か何かの歌?」
カケルはそれには同意せず、問い返した。
するとひな子は、怪訝そうな表情でこちらを見返し、
「何をいっているのかよくわかりませんが、これは私たち『ロケット』のご先祖さまの、旅路に敬意を表した歌で、とっても由緒正しい歌なのです!」
なるほどね、あ、そこ右に曲がるから、とひな子を誘導する。
ひとまずカケルはひな子が示した、『自分はロケットである』ことを信じることにした。
『信じざるを得ないもの』も見てしまったし、少なくとも自分のした『決断』に後悔はなかった。
あともう一本くらい今日はあげるよー!
それではまた、次のお話で。
2015/01/11
ぽんじ・フレデリック・空太郎Jr
@ポッキーの日が待ち遠しい。