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ロケットガール・いぐにっしょん!!  作者: ぽんじ・フレデリック・空太郎Jr
~第三幕~
10/18

突撃!お宅のろけっとがーる! ~003~

ラスト!

瑞姫おねーちゃんご紹介!の巻。



「……瑞姫(みずき)……姉さん? どうしてここに!」

 怒ってる。なんかオーラが見える。これは怒りの笑顔だ。

 ひな子が背後で、へー、『怒髪天(どはつてん)()く』っていうのはこういう事なんですねー。すごいですー!などと、懸命(けんめい)に火に油をそそぐがごとき行為を行っていたが、カケルは何とか一言、それをひねり出すのがやっとだった。

 目の前の、瑞姫と呼ばれた少女は、先ほどから玄関先でドーンと、毛ほども揺るがぬ様な仁王立ちで、カケルのあっけにとられた弱々しい問いかけに(こた)える。

「ふふっ……。今日はカケルが一人でお留守番だと聞いていたから、かしら? もうすぐあなたの誕生日でもある事だし」

 ――これはまずい。絶対にまずいっ!

 カケルの勘がレッドアラートを全力で鳴らしている。

 注意深く相手を()るまでもない。

 これは絶体絶命のピンチだ。

「いやいや! こんな時期に大学はどうしたんだよ。特待(とくたい)(あつか)いで進学したはずだろう?」

 ここで相手に飲まれては完全に終わる、と()んだカケルは、相手の機先を制するために自分から攻撃に出た。

「もう修了した(おわった)わ。今は昇官(しょうかん)してその先で自分の研究をしているの。」

 しかしあっさり返す瑞姫。

「相変わらずでたらめな……。そんな話、全っ然聞いてないぞ」

 浅すぎた先制攻撃を後悔(こうかい)しながら、残ったわずかなこちらの優位(ゆうい)情報伝達(じょうほうでんたつ)の不備を問うと、

「あら、連絡しておくように『あの子』に伝えてあったのに……。これは帰ったら『おしおき』が必要かしらね?」

 ……こわい。目が全っ然笑ってない。

 いったい何を『あの子』に何をする気なんだ姉さん。

 カケルは、名も知らぬあの子への同情を禁じ得なかった。

  

 ――カケルの目の前に立つ、彼女の名は『天ノ原瑞姫(あまのはらみずき)』。

 天ノ原家の長女であり、カケルの世界でただ一人の姉である。

 容姿淡麗(ようしたんれい)眉目秀麗(びもくしゅうれい)、クールビューティー、You’re(アンタ) so() amazing(すごい)!!

 カケルもそれに関してはまったく同感だ。

 むしろ家族として誇らしくもあるし、いつかは並び立ちたいと思う目標のひとつでもある。

 数々の賛辞(さんじ)をほしいままに受けてきた彼女は、カケルにとって絶対に頭の上がらない人間の一人である。

 トレードマークである輝く銀色の長い髪を、白く透き通る彫像(ちょうぞう)のような造形の腕で、乱暴にばさりと自分の銀糸(ぎんし)()き上げ、(あや)しく光る宝石に見間違えそうな赤い瞳は、こちらを(のぞ)き込むように見つめてくる。

 この瞳に見つめられると、カケルは幼い頃から、この人にはまるで隠し事などできる気がしなかった。

 周囲の評価として、カケルが物心ついた時には、姉は(すで)神童(しんどう)と呼ばれていた。

 そして自国の機械工学(きかいこうがく)権威(けんい)である母親の名をもって、

 『未完の天ノ原月子(あまのはらつきこ)

 と評され、母は「あら、さすが私の娘」と喜び、姉はとても嫌そうな顔をしていた。

 弟に対しては基本的に優しく、カケル本人が覚えている限り、何事かあれば必ず力になってくれた。

 お菓子があれば自分の分を分けてくれ、姉自身、不在がちな両親の愛情を恵んでうけた訳でもないのに、勉強に遊びにと、出来の悪い弟にほんとうによく面倒を見てくれた、とカケルは思う。

 時折、愛情が深過ぎることもあるようで、こういった家庭環境のせいか、弟に対して嫌がらせをしていたクラスメイト数人が、ある日、なぜか突然転校していくなど、不思議な出来事もあった。

 今でも鮮明に思い出せる、その時の姉のセリフ。

「あら、意外と『粘った』じゃない。キジも鳴かずば撃たれまいに。」

 当時の記憶と姉の笑顔を夢見(ゆめみ)にするたび、カケルは背筋に冷たいものが走った。

 ――この人のような手合いに逆らってはいけない。

 両親に変わり『人生の教訓』というものを、初めて学んだのも、この姉からかもしれない――

 

 

 瑞姫は、カケルと同じ高校の制服姿に身を包み、胸のリボンを風もないのにはためかせ、

「それで?」

 と瑞樹はずずぃと、カケルに一歩踏みより問うてきた。

「それで……って?」

 カケルが卒業するまでは脱がないわ、と謎のこだわりを見せている格好で、瑞樹がずぃずぃと近づくと、さすがにカケルの方が目線も身長も高く。

 懐かしい姉の髪の香りに昔を思い出しながら、もはや時間稼ぎにもならない返事をする。

 瑞樹はふむ、と(あご)に手をあて小首をかしげると、

「おかえりなさいカケル。どうしたの?こんな遅くに女の子と二人で?」

 一言一句(いちごんいっく)、口調も、トーンも、まったくさっきと同じ内容で、カケルに再度問いかけてきた。

 ただし、今度は満面の女神のような笑顔。

 ――だめだ、これはごまかせない。

 この人に嘘をつこうとするだけ無駄だ。

 これ以上の保留は俺にとってまずいことになる――

 カケルは後ろでのーてんきに、庭の飛び石の上をぴょんぴょん跳ねているひな子を恨めしそうに一瞥すると、観念して瑞姫にこれまでの経緯を素直に白状することにした。

「実は……」

 カケルは判事にたいして必死の供述する容疑者のような気持ちで、言い訳を始めた。



ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

新キャラ『天ノ原 瑞姫』ねーさん。いかがでしたでしょうか?


ようやく三幕目の冒頭ですが、個人的には『姉』というキャラクター。

非常に憧れの存在でもあります。

僕もこんなねーちゃんがほしかtt(ry


そんなどうでもいいことを、つらつら書き連ねたところで。

それでは、また次のお話で。


2015/01/12

ぽんじ・フレデリック・空太郎Jr.

@今年の成人式もなかなかアグレッシブ!

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