アメリカで生活すると言う事1
誰も知り合いのいないカルフォルニアでの生活は、今まで麻衣子が味わったことのない経験ばかり。
優しいデリックのおばあちゃんと義父母たちに囲まれて、楽しく過ごした。
広いカリフォルニアでの生活は、麻衣子が想像を遥かに超えていた。
日本では車の免許も持っていなかった麻衣子は、何処に行くにしてもデリックの家族に頼んで連れて行ってもらわなきゃならない。
結婚式は、デリックたちが通っている教会で式を挙げた。
アメリカで生活するには、麻衣子に何も記録がなかった。
これでは、アパートだって借りれない。
将来、家を買うにしてもローンも…。
車の免許を取ったとしても、車のローンさえも組めない。
ま、そんなに高い車を買う訳ではないけど。
中古でも出来れば、日本車が欲しいからな…。
デリックの勧めもあって、この国で生活をするためにクレジットカードを作った。
使うのは、ちょっとした日用品をヂョコヂョコと買った。
デリックたちの支えもあって、麻衣子は車の免許を手にした。
少しずつだけど、一歩一歩麻衣子は自分の脚で立ち始めた。
「デリック…私ね、仕事をしたいんやけど」
「仕事?」
「うん。いつまでも、デリックのおばあちゃんの家に居候している訳にはいかんやろ?」
いつまでもおばあちゃんに、夫婦でオンブに抱っこじゃダメだよ…ね…。