告白されて
出会って、すぐにプロポーズをされた。
「あんたのことが、大好きや。結婚して」
麻衣子自身、自分がモテなかったのは顔のせいだと思っていたが、実際は違う。
見た目も美人な彼女はしっかり者で頼れる姉御肌と言うのが顔に出ていたからか、今までの男友達からも色々と相談を受ける事はあっても、それ以上の関係に進む事はなかった。
そんな麻衣子にとって、初めて求婚されたのだ。
疑ってしまうのは、普通だ。
麻衣子もそうだ。
麻衣子は、すぐに「オレオレ詐欺」の延長の「結婚詐欺」かと思った。
だからこそ、返事は「No」
同じ大学でも、海外から来た留学生に遊ばれていた人もいたから、私は余計にデリックの言葉が信じられなかった。
それでも、毎日しつこいくらいデリックからの「結婚して」「好きや」「愛してる」そう言われ、流されない人はいないと思う。
私もその口かも。
でもデリックが日本に居れるのは3ヶ月だけだと知った時、きっちり断った。
「出会ってすぐに結婚は無理。でも、友達として付き合って行くならいいよ」
麻衣子は今でも国際結婚した事が信じられない。
19の時に母を亡くして以来、独りぼっちになってしまった父親の側で結婚して、父の老後を看ようと考えていた。
麻衣子には、2人の兄弟がいる。
2人ともそれぞれに結婚し、子供もいる。
週末になると、2人の兄弟は自分達の家族を連れて麻衣子と父が住む実家にやって来るのが、宅間家の週末の過ごし方だった。
そんなアットホームな家庭で育った麻衣子が、国際結婚を決めたのはデリックと出会って3年目の春だった。