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僕の彼女は夢だった

初めて書いた小説なので読みにくいかもしれませんが、ご了承ください

僕と彼女が出会ったのは中学3年の時だ。晩秋の夕方、家に帰る途中だった

僕は一目ぼれをしてしまった。

秋には似合わない暖かい感じに。

吸い込まれそうだった・・・。話かける勇気がなかった僕はそのまま帰宅してしまった。しかし、次の日も、その次の日も彼女は同じ場所に立ち尽くしていた。

(何故だろう?)そう思った僕は、勇気を出して話かけてみた。

「あの〜。最近良く見掛けますけど、誰か待ってるんですか?」

彼女はニコリと微笑んで答えてくれた。

「ううん。私はこの場所で景色を見るのが好きなの・・・。」

「ふうん。」

(こんな殺風景に景色なんてあるのかなぁ。)

これをきっかけに僕と彼女は、よくこの場所で話をするようになった。

彼女と出会ってから一ヶ月が過ぎたころ、季節はもう冬になっていた。

いつものように帰り道に彼女と話をしようと、いつもの場所に向かった。

しかし、彼女はいつものように笑顔ではなかった。そして悲しげに僕に問い掛けた。

「どうして人間の命は何十年もあるのに、他の生き物は数年しかないの?」

僕にはよくわからなかった。が、なにがあったか聞いてみた。

「どうかしたの?」

聞いた話によると、家で飼っていたハムスターが死んでしまったということだった。

その時僕は、彼女にかけてあげれる言葉が見つからず、ただ優しく抱きしめた。

次の日も彼女と話をした。

しかし、なぜかお互いに照れ臭く、なかなか話が出来ずにいた。そんなとき、彼女は唐突に質問した。

「ねぇ。私のこと好き?」

「え・・・?」

ビックリした。彼女はいつもおとなしくて、僕の話を聞いて

「そうなの・・」

と言って笑っているだけだった。

あまり彼女から話してくることはなかったのに、まさかこんなことを聞いてくるとは夢にも思わなかった。

「ねぇ、好き?」

彼女はなお聞いてくる。

僕はあまりの唐突さに混乱していた。

そしてうまく答えられないままでいると、彼女は僕をいじめるように聞いてくる。

「好きなの?嫌いなの?」

僕は震える唇を少しだけ動かして答えた。

「好き・・だよ・・」

恥ずかしかった。今までに告白なんてしたこともなかったし、されたこともなかった。

僕はフラれることよりも、今まで通りに話が出来なくなるのが恐かった。

(どうなるんだろう)不安だった。しかし、彼女はいつもの穏やかな表情で言った。

「私も勝人(僕の名前 本名 吉田 勝人)君のこと好き。」

「えぇ??」

自分の耳を疑った。

僕は今までずっと片思いだと思っていた。

だっていつも話しかけるのは僕だったから。

まだ僕は自分を信じきれていなかったので、冗談じゃないかと思い、彼女をみた。

すると彼女もうつむいて、顔を赤くしている。

僕は生まれて始めて愛する人に想いを伝えた。付き合って欲しいと。

彼女はすぐにうなずいてくれた。こうして僕と彼女は付き合うことになった。

しかし、もうすぐ僕は受験だった。会える時間も少なくなった。それでも彼女は

「受験頑張ってね。」

と励ましてくれた。

彼女の応援があってか僕は高校に受かることが出来た。

そして彼女はお祝いに手づくりのブローチをプレゼントしてくれた。僕は本当に幸せだと思った。

そして時は止まることなく流れ、僕が高校3年の秋。

そう。僕と彼女が出会ってちょうど3年が経った。

僕たちはお祝いしようと、デートをした。

映画を見たり、買い物をしたり、食事をしたりと・・・。

いつものように、いつものデートになるはずだった。

しかし彼女は今から家に来ないかと訪ねてきた。

驚いた。実は今まで僕は彼女の家に行ったことがなかった。

「家に行っても大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。親もいないし。」

こうして僕は彼女の家に向かった。

鼓動が激しく鳴る。僕も男だ。これからなにをするかは予想がつく。冷や汗が、流れた。

しばらくして、彼女の家に着いた。

彼女の部屋に入り、なお緊張した。そんなとき彼女はまたこんなことを聞いてきた。

「勝人君は、まだ私のこと好き?」

驚いたが、今回はすぐに答えることが出来た。

「好きだよ。ずっと一緒にいたい。」

「そう・・・。うれしい。」

そういうとしばらく黙り込んで、また口を開いた。

「私も大好き。今も、これからもずっと。」

そういうと彼女は初めて彼女からキスをしてきた。

しかし、彼女はなぜか泣いていた。

「私は勝人君が好き。勝人君には幸せになってもらいたいの。だから勝人君は私といちゃいけないの。」

「なに言ってるの?」

なにがなんだかわからなかった。しかし、彼女は話を続けた。

「本当はもっと早くに言うべきだったのに、勝人君といると楽しくて、言えなかったの。ごめんなさい。」

「え?ちょっと話が掴めないんだけど・・・」

「実はね、勝人君はここにいちゃいけないの。眼を覚まして。」

そう言うと、眩しいくらいの光りが辺りを包み込んだ。

何も見えないくらいの光の中で、彼女の声が聞こえた。

「勝人君、ありがとう。楽しかったよ・・・私、夢の中でまた会えるのを待ってるから。」

僕は恐怖を感じ、叫んだ。

「嫌だ!ずっと一緒にいたい!!」

しかし彼女は最後に一言だけ言って返事をしなかった。

「さようなら・・・」

気が付くと、僕はベッドの上にいた。

母親が驚いたような顔で見ている。そして狂喜して叫んだ。

「先生!勝人が・・勝人が目を覚ました!!」

そこは病院だった。どうやら僕は交通事故で数年の間昏睡状態だったらしい。

そう。夢だったのだ。なにもかも・・・。

「夢だったのか・・・」

そう呟いて僕は泣いた。

悲しかったからではない。

夢とはいえ、僕を愛してくれた人がいたことに、導いてくれた人がいたことに、感謝して泣いた。

数日が過ぎて、時々彼女のことを思い出した。

もう一度逢いたいと思った。

その時まさに、奇跡が起きた。

僕のベッドの中になにかがあった。

僕はそれを取り出してみた。

それは、たしかにあの時、僕が夢の中で高校に受かった時に彼女からもらったブローチだった。僕はそれをにぎりしめ、彼女に囁いた。

「ありがとう・・・。」

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