魔王のお城
とスタスタと、歩きだしたので、彼女の後をそそくさとついて行く。 とにかく、居心地が悪い空間だった。
何せ死者の香りがプンプンする。
ちょっと前まで生きていたわたしに衝撃がすごい、この感覚にもすぐなれる物なのだろうか?
しばらく、中庭を歩き続けると、アンデット庭師っぽいのが凶悪なハサミで、木の選定をしていたりする。
明らかに、殺人用に作られたそれを操る庭師、墓なり怖かった。
迷路のような、庭園を抜けて、城門前へと到達する。
「ようこそ、七瀬様、ここが、冥府の館、ヘルヘイムの宮殿です」
となんのひねりもない、宮殿名を口にする。
ヘルヘイムーーやはり北欧神話の地獄世界のことである。
おそらく、ヴァルハラシンドローム内で死んだ人間はここに来ることになるのだろう?
ヴァルハラ、と二分される死の世界、それがヘルヘイムだ。
ほかにも妖精の国アルフヘイムなどがあるらしいが?
ただし、すべてのものが来るわけではないらしく、知り合いの気配を感じ取ることはできなかった。
ということはここはヴァルハラシンドロームの中なのだろうか? そういえば私は死んだはずなのに、変身した姿のままだ。 まあこっちの方がかわいいので深い詮索はしないけどね。
お約束というか、謎の力で城門が自動的に、開いていく。
いや、電気でもこういうのは最近あるって聞くけど。 荘厳だなあ。
ゴシック建築バリバリの、豪奢な宮殿はまさに圧巻だが、暗い空と、生気を感じさせないのせいで魔王城ようだ。
実際装飾品も素晴らしくまがまがしさや、悪魔をかたどったガーゴイルの銅像などが所々にあしらわれていて、まさにムード満点。 某なんとかランド、のお化け屋敷ではとても届かないレベルのリアリティだ。
ラスボスの居城? まあ、大差ないところにいるんだけどね。
で、ボス部屋一歩手前にいる。ここに来るまでの実況してもよかったのだが、とにかく長い廊下、屋良階段をいっぱい歩いた。
しかもその調度品の数々が、豪奢なことで、しかも悪趣味なのばかりなので、胃が痛くなってしまった。
まさに魔王の住む城といった感じでちっとも落ち着かないので、あまり思い出したくない。
しかし、準備をする暇もなく、扉は勝手に開いてしまう。
さて、地獄の冥王にはいったいなにをいいわたされるというのだろうか?
流石に自分から踏み込むような、図太さは持ち合わせていないため逡巡していると、エアリスさんが腰に手をあてて、エスコートしてきたので、それに従う形で中へと歩みを進めていく。
コツコツと響く、ヒールの音……
エアリスさんの物だけが絨毯越しにでも、廊下に響く、ちなみにお約束とでも言うように、鮮血のような真っ赤な絨毯である。
その奥に大きく豪奢な玉座に不釣り合いに小さな人影が座っているのが視える。睥睨するようにーー
「よく来たな、人間、私がこの城の主、ヘルだ。 そしてひれ伏すことを緩そう。控えよ」
マントを翻して登場した、城主ヘルが玉座へと腰掛ける。
まさに、魔王城の城主エアリスさんとは違い、異形の姿と人間を混ぜたような、
半分死んでいるような不思議な霊圧をもつ城主は威厳たっぷりに言い放つ。
エアリスさんは、片膝をついて従ったので、なんとなく、それに従う。だって怖いんだもの。
ヘルは、生きてはないアンデットという感じでこそあるのだが、その見た目は人間のそれで、中性的な王というたたずまいだが、確かに女性だと分かる体つきをしているので、性別は女性で良さそうだ。
さしずめ毅然とした某国の王女なのだろうけど、とにかく威圧感があって怖い。
「ふむーー、人間よ面を上げよ」
エアリスさんとは違い冗談の通じそうもない相手なので、素直に従う、顔を上げ目線を首のあたりに固定する。 直接顔をまじまじと見るのは憚られた。
ふむ、ふむ、弱そうだな。いや、潜在力は確かに…… 何やらブツブツと言い出す。
「よかろう、貴様を真のヴァルキリーとして認めよう。
ただし、条件がある。 こちらと取引といこうではないか? 貴様も生き返りたくはないか?
その手で仲間の生をつかみ取りたくはないか!?
ヴァルキリーとしての覚醒度合いが進んでいる貴様なら聞くことができるだろう? 死者達の声が、その中に何人の仲間がいる。 貴様廃棄帰りたくはないか? 仲間を生き返らせたくはないのか?」
突然演説しだしたヘル彼女曰く、このヘルヘイムならば、死者達の声が聞こえるという。
具体的な方法は不明だけど、考えるのではなく感じろとのアドバイスをいただいた。
早速死者の魂と感応してみる。
これ終わったあたりで、エインフェリアの意思の方にいったん続くので、更新が止まります。
ごめんなさい。 まだ数回続くのですが下に続く形を予定しています。




