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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

好きだから。

作者: ひいらぎ

好きだから。

君が好きだから。

だから。

だからだよ。

全部全部。

君が好きだからだよ。

「好きを免罪符にしないで」

どうして?

「好きだからって何をしてもいいと、ほんとに思ってるの?」

君が好きだから僕はこうしてるんだよ。

君が好きで。

そのためにしていることだよ?

好きという気持ちは尊いものだろ?

尊いものに付属するものなんだから、これもまた尊いものだろ?

「あなたの好きと私の好きはちがう」

違わないよ。

君の好きが僕に向いていなくても僕はいい。

君の好きも尊いものだよ。だから君がその感情のために行動することを僕は尊敬するし応援する。

それが僕の好きだからすることだよ。

「なら私をここから出してよ。この足枷をとってよ」

それはできない。

ここから君が出ることは君にとって悪いことだから。君をよくないことから守りたいんだ。

君が好きだから。

好きな君を守りたいんだ。

「どうして悪いっていうの? あなたが決めることじゃないでしょ」

僕が決めることだよ。好きな君のために僕が判断した。

君のことが好きな僕の判断だよ。

「そこに私の考えはないでしょ。私がどう思うかは考えてないでしょ」

うん。

だって僕のしたいことだから。

そこに君の意思はないでしょ。

君が好き。それは僕の感情。その感情ですることは僕のすること。そこに君の考えも意思も思いもないよ。

だから君がいくらここから出たいと言おうとも僕はそれをすることはないよ。

だってそれは僕のしたいことじゃないから。 

「私の好きという感情のために動くことは応援するっていったじゃない」

うん。

応援する。

応援するだけで、手伝わないよ。

君がそうするだけだよ。

君が君の好きという感情のために行動するだけ。

それだけだよ。

「わかった。ならそうする」

うん。

がんばれ。

応援するよ。

そして僕は僕のしたいことをするよ。

だって君が好きだから。

君が好きだからしてるんだ。

だから。

僕は君を檻にいれるよ。

君がここから出ることがないように。僕はする。

君が好きだから。

だから。

君が。

「なっなに?」

君が足枷をはずしてっていったけれど。

とるよ。

「え?」

それがしたいことだから。 

はい。とったよ。

「どうして?」

したいことだから。

君が好きだからだよ。

「ここからでていくよ?」

うん。それが君のしたいこと。

でも僕は君がここから出ることを望まない。

だからね。

「な……え……」

これで足枷はなくても大丈夫だね。

「あ……あああああああああああ……」

ああ痛いね。

大丈夫だよ。

骨は折れてもくっつくから。

ちゃんと手当てするから。

大丈夫だよ。

外の危ないことよりも骨折の方が痛くないよ。怖くないよ。

大丈夫。僕がいるから。僕が全部するよ。

大丈夫。

君は僕が守るよ。

君が好きだから。


「ああ。やっと終わった。やっと出れる」

……。

「何度も何度も繰り返したね。あなたは私が好きだからっていって。骨折と足枷と。それがあなたの好きなんだよね。私の好きじゃない」

……。

「言ったよね。応援するって。私が私の好きのためにがんばることを」

……。

「好きだからするんだって。あなたは言ってたよね」

……。

「だから私も好きだって思いでしたよ。好きだからここを出ていく。私の好きという感情のためにした」

……。

「あなたはまるで免罪符のように繰り返し言っていたよね。好きだからって。だから私もそうするよ。好きだから」

……。

「だから私はここを出る」


ーーーーーーーーー

AA年B月C日。近隣の通報により判明しました。

この部屋で男性の遺体が発見されました。

この部屋はだれか監禁されていたのか、檻があり足枷のようなものも発見されています。

警察は監禁されていた誰による犯行か。誰がいたのか調査中とのことです。

ーーーーーーーーー


「好きだから」


だからなんだってするよ。

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