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「ミロードはね、18歳になるまでには天国へ行ってしまうのよ。だからね、それまでは家族と一緒に楽しく過ごしましょうね………」


 頬に触れ笑顔で語りかける母がどこか悲しげだった事を、今でも時々思い出す。

物心がついたあたりから、私は両親にこう言われて育った。生命の生死について理解出来る年齢になると、昔から教えてもらっていた事だったので、すんなりと私の中で受け入れる事が出来た。


 そうか、私は長くは生きられないのか。

 大人になれないのは悲しいな。

 でも、どうする事も出来ないから、しょうがないよね。


 自分でも感情が鈍いのではないかと思うほど、悲愴感はあまりなく泣く事もなかった。

だって、私に与えられた毎日は『楽しい』でいっぱいだったから。


 裕福な商家に産まれたから、欲しい物は何でも買ってもらえた。美味しい物もたくさん食べさせてもらった。学校には行ってないけど、国1番の教師に勉強を学んだ。私が遊園地に行きたいと言えばすぐに連れて行ってもらえたし、家族と旅行へ行き山や海の美しい風景を見てまわった。後に産まれた弟も可愛く利発な子で、私がいなくなった後には良い後継ぎとなってくれるだろう。


 何の不満のない、満たされた日々ーーー


 そう思っていた。そう、思わないといけなかった。


 こんなに、こんなに家族から愛されて良くしてもらっているのに、私は楽しくなかった。幸せを感じられなかった。


 両親は私に訪れるであろうその日まで、楽しく過ごしてほしいのに。私にはそれが、どうしても出来ない。


 両親が想い描く幸せが、私の幸せのはずなのに。


 だから私は毎日()()()()()をして生きている。

幸せに満たされた顔で笑い、明るい声音ではしゃいでみせる。

 家族を(あざむ)小賢(こざか)しい女の子。それが私、ミロード・アンバーセンの本性だ。





読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや評価をいただけると嬉しいです。

この物語は、1時間以内で読み終わるように完結する予定です。

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