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運命の宝玉~悪役令嬢にはなりません~  作者: らんか


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53/61

53. 誰のせい?

 

 その爆発の勢いは凄まじく、突然の突風で至る所の屋根や建物が崩壊し、サンタベルグ王国内を包むように黒煙が舞い落ちる。

 その後、黒い雨が降りはじめた。

 

 王宮も半壊状態となり、王宮内は大騒ぎとなっている。

 今やサンタベルグ王国内は、何処も甚大な被害が出ている事だろう。

 

 

 

 

「すぐに国内の被害状況を確認しろ! 人命救助が最優先だ! これは王命である! 騎士団長、指揮を頼んだぞ!」

 

 

「しかと承りました!」

 

 

 

 陛下が慌ただしく指示を出し、宰相や騎士団長が動き出す。

 王妃様も、王宮内の侍女やメイド達に指示を出しに退出した。

 

 

 

「衛兵! すぐにアリアを捕縛しろ! 地下牢へ連れて行け!」

 

 陛下がそう命令し、衛兵達がアリアに近づく。

 

 しかしアリアは微動だにせず、レイラを見ていた。

 

 

 

「違う……そうじゃない……。

 さやかちゃんを助けたくて……」

 

 アリアがレイラに向かって、小さな声で呟いている。

 

 

「結局貴女は壊すのですね。

 また他人を巻き込んで、犠牲にして……」

 

 

 レイラは大粒の涙を浮かべながら、それでも泣くまいと必死でアリアを睨んでいた。

 

 

 衛兵によってアリアは捕縛され連れて行かれる。

 

 部屋から連れ出されるまで、その様子をレイラはジッと見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

「グレイ……?」

 

 

 そして私も頭の中が真っ白だ。

 周りを見渡しても、心の中でグレイを呼んでも返事もなく、姿が見えない。

 

 

 

「グレイ? 何処?」

 

 

 

 え? これはどういう事?

 グレイ?

 嘘よ……ね?

 

 

 私は立って居られなくなり、その場に座り込んでしまった。

 

 

 

「エマ様!」

 

 

 

 私の様子に気付いたレイラが駆け寄って来る。

 

 

「申し訳ございません! あの人のせいで、グレイ様が犠牲に……!」

 

 レイラは私に必死で頭を下げて謝ってくる。

 

 ううん、レイラは悪くない。

 だから謝らなくていいよ。

 

 そう言ってあげたいのに、声が出ない。

 身体に力が入らなくなり、私はとうとう意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『恵美。起きて下さい』

 

『エマ? 聞こえますか?』

 

 

 綺麗な声が聴こえてきて、私は目を開ける。

 

 

『良かった。気が付きましたか?』

 

 

 え? この声はもしかしてディオーネ様?

 

 

「ディオーネ様ですか?」

 

 

『ええ、そうです。

 恵美、貴女はあの爆発の後、気を失ったの。

 覚えていますか?』

 

 

「……はい。あ、あの! お聞きしたい事が!」

 

 

『分かっています。あの幻獣の事ですね?』

 

 

「そうです! グレイはどうなったんですか!?

 まさか、死んだりしませんよね!? 幻獣だし、女神様の御使い様だから、ちゃんと加護をもらってますよね!?」

 

 

 私の必死の問いかけにも、ディオーネ様は返事をしてくれない。

 

 

「ディオーネ様!? 何とか言って下さい! お願いします!」

 

 

 姿は元々見えない上に、しばらく返事がない為、私はどんどん不安になっていく。

 

 

 

「ラケシス様は!? ラケシス様はどうなっていますか!? ラケシス様ならグレイの事、分かるのではないですか!?」

 

 

 その私の質問に、ようやくディオーネ様からの返事が聞こえた。

 

 

 

『ラケシスはあの世界が壊れなかった事で、何とか神界からの追放は免れたわ。

 でも、当分は監視付きで世界を回す事になります』

 

 

「ラケシス様とはお話出来ますか? グレイの事が聞きたいのです!」

 

 

 私は必死にそう伝えた。

 ディオーネ様は、またしばらく黙り込んでしまったが、ようやく返事をしてくれる。

 

 

『ラケシスと話しなさい。今からラケシスのいる所に意識を飛ばします』

 

 

 ディオーネ様がそう言った途端に、目の前がグラつく。

 しっかりと目が開けられるようになると、そこはディオーネ様の呼び出された場所とは違って、辺りが色んな物で溢れており、何だか神々しさのない場所だった。

 

 

 

『エマ~!!』

 

 

 突然ラケシス様の声がした。

 周りを見渡すと、物と物の隙間からラケシス様の姿が見える。

 

 

「ラケシス様!」

 

 

『エマ、久しぶりですね。元気にしていましたか?』

 

 

 呑気にそう聞いてくるラケシス様に無性に腹が立つ。

 

 

「ラケシス様! 何を呑気な事を! グレイが大変なんですよ! グレイは何処ですか!?」

 

 

 そう言ってラケシス様に詰め寄る。

 

 

『エマ、痛い痛い。そんなに襟を絞めないで~』

 

 

 私は襟首から手を離すと、ホッとした表情になる。

 

 

『エマ、凄い力ですね』

 

「そんな感想いらないんです! グレイはどうなってしまったんですか!?」

 

 

 そう叫んだ私に、ラケシス様は悲しげな表情をする。

 

 

『あのケット・シー……。グレイと名付けたんでしたね。

 グレイは、あの爆発を最小限に抑えようと宝玉を自分の身体の中に飲み込みました。

 あの程度の爆発で済んだのは、グレイが身体を張って抑えてくれたからです』

 

 

 

 その言葉を聞いて、また頭の中が真っ白になる。

 

 

 

「そ……れは……。グレイの身体ごと爆発したって事……ですか?」

 

 

 途切れ途切れで何とか言葉を紡ぎ、ラケシス様に問う。

 

 

『そうです』

 

 

 

 

 ラケシス様の無情な声が、頭の中でこだました。

 

 

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