表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命の宝玉~悪役令嬢にはなりません~  作者: らんか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/61

45. 教皇様

 

「そ、そんな……」

 

 大司教様が教皇様に叱責され、怯んでいる。

 そんな大司教様を教皇様は、更に呆れた目で見ていた。

 

 

「君はもう下がりなさい。後は私が引き継ぎましょう」

 

 そう言って、大司教様を下がらせた教皇様は、私に向き直り、改めて謝罪する。

 

「申し訳ございません。よりにもよって女神様の愛し子である貴方様に、悪魔などと発言すること自体が罪でございます。

 これはひとえに私の不徳の致すところ。

 どんな処罰でも甘んじて受けましょう」

 

 

 そう言って教皇様が私に頭を垂れる。

 

「いえ! 教皇様は何も悪くありません! どうか頭をお上げ下さいませ!」

 

 私は慌てて教皇様に駆け寄って、教皇様にそう伝えた。

 

「ありがとうございます。さすがは女神様の愛し子であらせられる」

 

 そう言って、にっこりと私に微笑む。

 

 その教皇様をよく見ると、その地位に値するにはずいぶんと若い。

 銀髪の長い髪は腰近くまであり、黄金色の目は神秘的でかなりの美形だ。

 攻略対象者でないのが不思議なくらい。

 

 

 そう思っていると、後方からアリアの声が聞こえた。

 

「あっ! 隠れキャラの教皇様!? 聖女になってからしか会えないのに何で!?」

 

 

 

 やっぱり攻略対象者でしたか。

 分かりやすく教えてくれてありがとう。

 

 

 心の中でそう思いながら、改めて教皇様を見る。

 うん、これは正統派の攻略対象者だわ。

 

 

 

「教皇よ、ずいぶんと遅い帰りであったな」

 

 

 私がしょうもない事を考えていると、陛下が教皇様に話しかける。

 

 

「これは陛下。ごぶさた致しております。

 つい先程、この国に戻ってきたばかりですが、何やら強い魔力を感知致しましたので、慌てて参上させて頂きました」

 

 

「そうか。

 で、そなたの見立てでは、エマ嬢が女神の愛し子であると?

 そう思ったのは何故であるのか?」

 

 

 陛下はそう質問する。

 教皇様は笑顔で私を見たあと、こっそりと部屋の中に紛れ込んでいたグレイを見た。

 

 

「愛し子様のお近くには、常に幻獣様が付き添われていらっしゃるようです。

 既にこの部屋の中に幻獣様がいらっしゃいますよ」

 

 

 教皇様のその発言に、陛下や周りの人達も驚きを隠せない。

 周りを見回しながら、幻獣の姿をみようと躍起になっている。

 

 

 (グレイ。この状況で出て来れる? )

 

 私が念じると、グレイも念話して来た。

 

『逆にこの状況で、はーい、それは俺でーす! って出て行けるとでも?』

 

 不機嫌そうなグレイの声に、この状況にも関わらず吹き出しそうになる。

 ちょっと、それ、見てみたい。

 

 

 またもや私が思考を飛ばしていると、陛下が教皇様に尋ねた。

 

 

「幻獣様は姿を現してはくれるのか? この目で見ない事には、とても信じられぬ。

 それに、仮に出て来ても、本当にそれが幻獣様であるのか、我々に見分けられるのかも疑問だ」

 

 

「大丈夫ですよ。一目見れば、自分の心が感じ取ってくれます。前ベルイヤ侯爵様や、その屋敷に住む者達もすぐに信じたというではないですか」

 

 

 教皇様の説明に陛下は、頷く。

 

「確かにそうであったな。

 しかし、幻獣様が傍にいるということだけで女神様の愛し子であると証明されるのか?」

 

「一番の証拠はやはり、持っている属性でしょうか。愛し子様は多属性に加えて必ず聖属性もお持ちになっている」

 

 

 教皇様のその言葉を聞いた途端、アリアが叫んだ。

 

 

「わたくしもそうです! ならば、わたくしが女神様の愛し子であるのではないでしょうか!?」

 

 

 人混みを掻き分けながら、教皇様に近づいてくるアリアの目は真剣だ。

 

 運命の軌跡を辿ると、小説のヒロインが女神様の愛し子であると、中盤で発覚される。

 

 

 多分アリアはその事を知っているのだろう。

 

 なのに、悪役令嬢役の私が、よりによって女神様の愛し子と騒がれたのが我慢ならなかったようだ。

 

 

「君は?」

 

 

 教皇様の質問に、先程下がったはずの大司教様が気まずそうに答える。

 

 

「このアリア様は、聖属性と火属性の2属性持ちでございます。また、12歳のおりにすでに魔力が42でありました。

 今は魔力ももっと上がっている事と思います」

 

 

「へぇ。2属性ね。それで?」

 

 

 冷たい視線のまま教皇は大司教様を見て言い放つ。

 

 

「ですので、12歳の頃よりアリア様を聖女候補とし、教会で過ごしてもらう事としまし、……た」

 

 

 

 大司教様は教皇様に睨まれるように見られて、徐々に怖気付いたのか、語尾が弱くなっていく。

 

 

 教皇様はため息を1つ吐いて、陛下を見た。

 

 

「陛下、どうやら私がいなかった時間は短くはなかったようで……大司教に聖女候補を任命する権限は無かったと記憶しております」

 

「そなたは知らなかったのか?」

 

 陛下の問いに、忌々しげに教皇様は大司教様を見て言う。

 

 

「ええ。報告にはなかったですね」

 

 その言葉を受けて陛下が大司教様を見る。

 

「そなた、教皇には報告しなかったのか?」

 

 陛下の質問に、大司教様は気まずげに頷いた。

 

 陛下は大司教を、冷たい目でひと睨みしてから教皇様に謝る。

 

 

「悪かったな、教皇。てっきり大司教がそなたに報告して指示をもらっていると思い込んでおった」

 

 

「いえ、陛下のせいではありません。勝手な事をした大司教には、あとでゆっくりと話を聞かせてもらいましょう」

 

 

 教皇様の言葉に、大司教様の顔色が悪くなる。

 

 

「それに、陛下ならご存知でしょう。私の能力を。私の見立てでは、このエマ嬢はとても素晴らしい女神様の御加護を頂いていらっしゃる。

 ……そして。不思議な事に、アリア嬢にも微弱ながら女神様の力を感じるのもまた事実です」

 

 

 

 アリアを見ながら、教皇様はそう仰った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ