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運命の宝玉~悪役令嬢にはなりません~  作者: らんか


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24/61

24. エマの力

 

 

「ねぇ、グレイ。宝玉って、今もアリアが持ってるよね?」

 

「多分?」

 

「グレイも戻ってきたし、一刻も早く宝玉をアリアから取り戻さないといけないでしょ?

 どうすればいいと思う?」

 

「あの宝玉は、下界に来てから姿を変えている。我にはあのお茶会の時には、ただの赤い魔石にしか見えなかった。本物の宝玉だと見分けがつくエマに判断してもらわないと、我一人ではアリアの部屋に入っても探せないからな」

 

 そうなのだ。

 グレイなら姿を消してアリアの部屋に入れる。

 そうすれば簡単に宝玉を取り戻せると思ったのだが、アリアの部屋には似たような赤い魔石がいくつもあったそうで、見分けがつかなかったらしい。

 しかも、盗難防止魔法も掛けられていて、触れた拍子に警報がなったそうで、慌てて逃げ帰ってきたのだ。

 

 グレイ。やはり、どこか抜けてるところは、さすがはラケシス様の御使いといったところか。

 

 

「私はアリアに警戒されてるしなぁ。

 そもそも私は聖属性しか使えないから、魔法で探しに行く事も出来ないし……」

 

 

 私がそう話していると、グレイは微妙な表情で私を見る。

 

 

「なに?」

 

 私がそう聞くと、グレイは呆れた表情をする。

 

 

「まさかとは思ってたんだ。でもそのまさかなのか?」

 

「何が?」

 

 グレイはため息を吐いた後、私に質問してきた。

 

「なぁ。お前、魔力はいくつだ?」

 

「え? ああ、この前の魔力測定では38に上がってたわよね。アリア様は46になってたけど!」

 

「……アリア嬢は聖属性と火属性だよな。お前は?」

 

「何馬鹿な事を今更聞いてくるのよ。私は聖属性……」

 

 

 あれ? なんか私、忘れてない?

 

 

「魔力測定の度に、魔法で改ざんしてきたのだが……まさか、本当にそう思い込むとは……」

 

 

 

 ん……? 改ざん?

 

 

 あ────!!

 

 

 

「初めて魔力測定した時はもっといっぱい魔力と属性があったよね!? あの時はグレイが確かに改ざんしたけど……。

 

 でも、おかしいじゃない!

 グレイが居なくなった後も、学園で何度も測定する機会があったのよ!

 なのに、ちゃんと変更された数値と属性になってたのは、どういう事!?」

 

 慌てる私にもう一度グレイは大きくため息を吐く。

 

 

「俺が戻れない間でもエマの力が無闇にバレないように、測定値を変更出来るように魔法をかけておいたんだよ。

 でも、本当にその数値を信じこんでいたとは思わなかった」

 

 

「じゃあ、今の私の本当の魔力は!? 属性は!?」

 

 そう叫ぶ私に、グレイは仕方ないなというように、首を横に振る。

 

 

「今日の夜、学園内にある魔力測定器に乗れ。夜なら誰もいないからバレないだろう」

 

 

 

 そうして私とグレイは夜遅く、学園に行く事になった。

 

 

 

 

 

 学園から帰宅後、家で父母と弟だけが楽しそうに話している中、黙々と食事を終え、早々に自分の部屋に戻る。

 入浴を終えた後ベッドに入り、みんなが寝静まるのをジッと待つ。

 

 夜も更けて来た頃、久しぶりにケット・シー姿になったグレイが私の部屋に入ってきた。

 

「準備はいいかにゃ?」

 

「ええ、行きましょう!」

 

 私とグレイは静かに屋敷を抜け、予めグレイが用意していた目立たない馬車に乗り込んだ。

 

「グレイ、その姿のまま行くの?」

 

 私が聞くと、グレイは嫌そうな表情で背中を丸めて座席に座っている。

 

「万が一誰かに見られた時、こんな夜更けにお前が男と一緒にいるのはマズイだろにゃ」

 

「あ、そうね。ありがとう、グレイ。余計な心配かけちゃったね」

 

「ふん、今更だにゃ」

 

 グレイはそっぽ向きながらも、しっぽは揺れている。

 分かりやすいグレイの久しぶりのケット・シー姿に癒されるばかりだ。

 

 そうこうしているうちに、学園に辿り着く。

 

 グレイと共にこっそり学園に入り、魔力測定器のある場所に向かう。

 

 

 魔力測定器は、魔法学の教室に置かれている。

 年度末に毎年魔力測定を行ない、実力が上がっているかを確認するのだ。

 

 

 

「さぁ、エマ。乗ってみるにゃ」

 

「うん」

 

 

 そうしてそっと体重計のような魔力測定器に乗ってみる。

 

 

 

 

 【⠀魔力: 206 】

 【⠀属性: 聖  】

 【⠀属性: 光  】

 【⠀属性: 空間 】

 【⠀属性: ?  】

 

 

 

 そこには有り得ない数値と属性が記されていた。

 

 

 

「魔力206!? 属性が4つ!? え…………何これ」

 

 私が驚いていると、グレイが測定器の画面に記された表記を見ながら言う。

 

 

「改ざんしないと、これが表立ってしまうにゃ。

 でも、まさか本気で忘れていたとはにゃ」

 

 

「うっ……。すみません」

 

 

 私はその表記を見ながら、ふと気になる事を聞いた。

 

「ねぇ、12歳の時も思ったんだけど、この? 属性は何?」

 

 

 そういえば、前にも聞いたけど結局答えを聞きそびれてたんだった。

 

 

「それは、ディオーネ様からの贈り物属性だにゃ」

 

 

「ん? この属性だけディオーネ様からなの?」

 

「あぁ。お前、転生する前にお願いしたんだろ? 困らない程度の能力が欲しいってにゃ。でも具体的な希望がなかったからと、お前が必要だと思う魔法が使えるようにって、それを授けたんだにゃ。それはいわゆる、想像魔法だにゃ」

 

 

「想像魔法!?」

 

 

「そうだにゃ」

 

 

 ちょっと待って。まさかそれって、私が考えた事全てが出来る魔法なのでは?

 

 

「凄いじゃない! 何でもっと早く教えてくれなかったの!?」

 

 私が食いつくようにそう言うと、

「忘れてたくせに何を言ってるにゃ」

 と、呆れた目でグレイが言ってくる。

 

 

 でも、これは凄い!

 想像するのは得意よ!

 前世ではベッドの住人をしながら色々と想像していたし、携帯で色々と異世界ものの漫画も楽しんでいた。

 

 

 ここは定番のあれを使う時では!?

 

 

「グレイ。帰りの馬車はいらないわ」

 

「ん? どうやって帰るんだにゃ?」

 

「ふふふ。もちろんテレポートよ!」

 

「テレポートにゃ?」

 

「まぁ、見てて」

 

 初めて使う魔法だ。

 万が一って事もあるから、私はまず、今の位置から魔法学教室のドアまで一瞬でテレポートする事にした。

 

 まずは心の中で行きたい場所を思い浮かべる。

 そこに辿り着いた自分を想像しながら魔力を動かす。

 

 魔力測定器の近くに立っていた私は、次の瞬間、魔法学教室のドアの前まで移動していた。

 

 

「ほぅ! それは凄い便利な魔法だにゃ!」

 

「でしょう? これで家の私の部屋まで飛んでみるわ」

 

「距離があるけど、大丈夫かにゃ?」

 

 そう言われると少し怖いが、夜中にまた馬車に乗って見つからないように戻るほうが恐い。

 

「だ、大丈夫! 何とかなるわ!」

 

 そう言って頭の中で自室を思い浮かべ、そこに戻る自分を想像しながら念じる。

 

 すると次の瞬間には自室に戻っていた。

 

 

「やった。成功だわ!

 これで宝玉も探しやすくなるわ!」

 

 

 

 それに、ヒールの時に放った無詠唱。

 

 あれは本来の私のヒールだ。

 

 そうよ。目立たないようにしていたけど、世界の一大事も懸かってる。

 なら、もう遠慮なく魔法を使ってもいいんじゃない?

 

 

 悪役令嬢、上等だ!

 

 静かな生活はとっくに諦めているもの。

 

 宝玉を回収し、大好きな魔法を色々試しながら面白可笑しく長生きしてやるわ!




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