雪蟻殲滅
クーリアは『星霜の蒼』を戦闘モードで起動、『蒼の憧憬』を杖にして構える。
(クーリア、お前は『星霜の蒼』の扱いはほぼ無意識レベルで操作できているが、『蒼の憧憬』はまだあまり馴染んでいないだろう。無理にモードを意識せず、ただの補助デバイスとして活用しろ)
(わかりました!)
「……えい!」
そしてなんと、あろう事か『蒼の憧憬』を振り回し、叩き付けて怯んだ雪蟻の関節部分にその尖った先端を突き刺す。
(……おいおい、いくら『蒼の憧憬』先端が三つ叉の槍に似ているからといって、本当に槍として使うのか……まあ、かなり頑丈に作ってあるから、壊れたりはしないだろうが……)
クーリアは『蒼の憧憬』を、本来の演算補助モードではなく、物理的な打撃武器として振るっていた。先端の三つ叉が雪蟻の頭部を捉え、その外骨格を無慈悲に粉砕する。
(……ふん。精密な魔力増幅器を「ただの棒」として扱うとはな。お前の運用思想には時折、俺の予測を軽々と飛び越える野蛮さがある)
ガィィン! と硬質な音が響く。
(ひゃ、ひゃあ! この杖、意外と重みがあって、叩くと「ガツッ」ていい手応えがします! 魔法を使うより、こう……直接ボコボコにしたほうが早いかも!)
(……おいおい。それは『星霜の蒼』による身体強化が効きすぎているだけだ。いいか、ストラトスは高級な触媒なんだぞ。それを土木作業のツルハシみたいに使う奴があるか……。まあ、壊れないのは確かだが、デバイスが泣いている気がするぞ)
俺は脳内で、ストラトスの先端部分をより殺傷能力の高い穂先に設計変更する図面を書き始めた。根元には、岩場でも滑らない鋭い石突きを。もはや「杖」ではなく「三つ叉槍」に近い何かになりそうだが。
(あ、また来ました! 今度は三匹いっぺんに!)
(……チッ、贅沢な使い方をしやがって)
クーリアは関節の隙間を狙い撃ちにして突き立てる。確かにそこなら抵抗も少ない。そのまま右に旋回、遠心力を出力に乗せる。
クーリアは「はっ!」と短く、返り血(透明な体液)を浴びるのも構わず、『蒼の憧憬』を豪快に薙ぎ払った。
魔力を通された杖の軌道が、空中で蒼い残光を描く。
一匹の首を撥ね、二匹目の腹を貫き、三匹目をその勢いで岩壁に釘付けにする。
(……ふん。お前、案外こっちの適性があるんじゃないか? 魔法使いというよりは、魔法騎士、あるいは……ただの脳筋か)
(もう! 乙女に向かって脳筋だなんて失礼ですよ! 私、必死なんですらっ!)
言いながらも、彼女の動きは次第に最適化されていく。
泥臭い棒振りが、徐々に無駄のない処刑の舞へと変質していくのを、俺は共有視界の端で冷徹に、かつ少しの驚きを持って眺めていた。
追加の雪蟻が次々と飛びかかってくる。
俺ならここで足元の魔素を操作し、重力場を歪曲させて一掃するだろう。だが、クーリアの選んだ解法は、やはり俺の想像の斜め上を行くものだった。
「はっ……!」
短く鋭い呼気とともに、彼女は『蒼の憧憬』の重みを逆に利用し、流れるような旋回運動へと入る。
教えた覚えのない、それでいて驚くほど理にかなった重心移動。
一匹目の関節を正確に突き通し、その死骸を盾にしながら二匹目の突進をいなし、三匹目を岩壁へと豪快に叩きつける。
杖を「振る」のではなく、遠心力と身体強化を乗せて「叩き込み、薙ぐ」。
(……ほう。教えた生活魔法の応用すら使わず、純粋な物理演算だけで押し切るか。……面白いな。お前の中に眠るその野生的なセンスは、俺の精密な魔術回路とは正反対の輝きだ)
透明な体液を浴び、琥珀色の瞳を鋭く光らせる彼女の横顔を、俺は内側から静かに見守る。
俺が指示を出してなぞらせるより、こうしてお前自身の最適化が進んでいく様を見る方が、よほど収穫があるというものだ。
(……いいぞ、クーリア。その調子で、お前なりの掃討手順を完遂してみせろ。俺はただ、お前の背後に牙が届かないことだけを、この星屑の目で保証してやる)
俺は彼女の鼓動と『星霜の蒼』が奏でる戦いの旋律に耳を傾けながら、『蒼の憧憬』の改造案を脳内で最適化していく。
やがて気付けば働き蟻は全滅、兵隊蟻も動いているものは僅かとなった頃。
(……これは、女王様のお出ましだぞ)
俺は彼女の鼓動と『星霜の蒼』が奏でる戦いの旋律に耳を傾けながら、『蒼の憧憬』の改造案を脳内で最適化していく。
やがて気付けば働き蟻は全滅、兵隊蟻も動いているものは僅かとなった頃。
(……これは、女王様のお出ましだな。……ふん。ようやく親玉の登場か。待ちくたびれたぞ)
俺は脳内で走らせていた『蒼の憧憬』の改造パッチを一旦保存し、意識のリソースを前方の地響きへと切り替えた。
ズゥゥゥン……!
崖の奥、蟻たちが掘り進めていた空洞が内側から弾け、雪と土砂を撒き散らしながら「それ」が姿を現す。
体長五メートル。働き蟻とは比較にならない巨躯、クリスタルのように硬質化した白銀の外殻を震わせ、雪蟻女王が咆哮を上げた。
(ひ、ひぇぇぇっ! さっきの蟻さんの何倍ですか!? お、大きい、大きすぎますよミコトさん!)
クーリアの心拍数が跳ね上がり、手に持った『蒼の憧憬』が微かに震える。無理もない、ただの雑用のつもりが、文字通りのボス・エンカウントに化けたのだから。
(女王蟻の周りに魔素が集まっている? 一丁前に魔法を使うのか。ただの大型個体かと思ったが)
俺は『星屑の目』の観測データを、クーリアの網膜に強調表示して投影した。女王蟻の頭部に突き出た、ねじれた角のような触角。そこへ大気中の魔素が渦を巻いて収束し、冷却励起が開始されている。
(クーリア、怯むな! 『星霜の蒼』の防御性能なら生半可な魔法など逆に吸収する)
(わ、わかりましたっ! ……えいっ!)
(今日の勉強の総まとめだ。ちゃんとやればお前だけでも対処可能だろう、ま、知恵くらいなら貸してやっても良いけどな?)
(わ。私、今、凄く馬鹿にされてます?)
(……いい顔になったな。よし、共有視界に女王蟻の術式展開予測を投影する。このパターンは……共振? なるほど、女王はまだ動ける兵隊蟻と魔力的に接続して連係を取るつもりだ。個別の演算を捨てて、一つの巨大な群体知能としてお前を圧殺しに来るぞ)
地中から噴き上がる冷気と、巨大な顎を鳴らす不協和音。
雪蟻女王は、その巨体に似合わぬ速度で兵隊蟻たちの魔力を吸い上げし、崖の上のクーリアを見据えた。
(……ひ、一つになったって、やることは変わりません! まとめてボコボコにしてやるんだから!)
クーリアは『蒼の憧憬』をぎゅっと握り直すと、女王が放つ氷結放射の予備動作に対し、あえて正面から加速を踏んだ。
(……ほう、突っ込むか。予測ラインを外して、わざと懐に飛び込むその蛮勇……。いいだろう、お前のその不確定要素に、俺の最適化を上乗せしてやる)
俺は彼女の四肢にかかる重力負荷を魔法的に軽減し、雪面を滑るような超低空の姿勢制御をサポートする。
女王の氷息が頭上を通り過ぎ、周囲の岩を瞬時に凍らせていく中、クーリアは最短距離で女王の急所へと肉薄した。
「いっけぇぇーーっ!!」
突き出された『蒼の憧憬』の先端が、女王の眉間に広がる魔導神経節を捉える。
それは魔法的な一撃ではなく、身体強化のすべてを一点に集中させた、純粋な物理的インパクト。
しかし。
クーリアの未熟な槍術を、そもそも槍として設計されていない『蒼の憧憬』で公使したところで、足の一本が関の山だった。
(……チッ、やはりそうなるか。演算上の破壊力は十分でも、デバイスの形状と使い手の習熟度が噛み合わなければ、実行結果はこうも目減りする)
渾身の力で突き立てた『蒼の憧憬』は、女王蟻の急所を僅かに逸れ、強固な外骨格に弾かれながら、その巨大な脚の一本を損壊させるに留まった。
「あぅっ……!? か、硬いっ! 手が……手がジーンってしますっ!」
脳内に響く彼女の悲鳴には、衝撃による痺れが混じっている。
女王蟻は一本の脚を失った怒りで暴走状態へと移行。残された脚を激しく叩きつけ、周囲の岩石を無差別に撒き散らし始めた。
(……当然だ。『蒼の憧憬』は魔素を整流するための精密機械であって、物理的な装甲貫通を目的とした重質量兵器じゃない。おまけにお前の突きの角度が甘いんだよ。……だが、いい経験になっただろう?)
(そんなこと言ってる場合じゃないですよぉ! 怒ってます、すっごく怒ってますよアイツ!)
女王蟻の巨大な顎が、クーリアの華奢な身体を捕食せんと迫る。
(だが、だからといって諦めるな。俺はお前でも1人で対処可能と言った。その言葉に嘘はない)
俺の冷徹な、けれど絶対的な信頼が混じった声が、パニック寸前だった彼女の意識を再起動させる。
(……ミコト、さん。……はい、そうですよね。私ができないことを、ミコトさんがやれなんて言うはずないもん!)
琥珀色の瞳から迷いが消える。
脚の一本を潰された女王蟻が、不快な金属音のような咆哮を上げ、残された五本の脚で大地を穿ちながら突進してくる。
(女王様の足が少しだけ遅くなってる……! これなら、すれ違い様に反撃を入れられるかも!)
ピンチをチャンスに変えようとする思考が、魂越しに伝わってくる。
(……ほう。機動力の低下と、重心の偏りを見抜いたか。いい観察眼だ、クーリア)
俺は彼女の思考を邪魔しないよう、あえてそれ以上の最適解は口にせず、ただ彼女の感覚を極限まで鋭敏にするサポートに徹した。
女王蟻の突進。重戦車のような質量が雪を巻き上げ、地響きと共に迫る。だが、左側の脚を一本失ったことで、その軌道は僅かに右へと蛇行している。
(……今です! 『生活魔法:潤滑』、私の右足の下に!)
(……! なるほど、摩擦をゼロにするか)
彼女は突進してくる女王の牙を避けるのではなく、あえてその懐、死角となる左側へと滑り込んだ。氷の地面をスケートのように滑走し、すれ違いざまに『蒼の憧憬』を逆手に持ち替える。
(さっきは「点」で突いたからダメだったんです。だったら、次は「線」で……っ!)
彼女は杖の先端を女王蟻の剥き出しになった関節の軟部へ引っ掛けると、自身の滑走エネルギーをすべて「引き裂く力」へと変換した。
ガリガリッ、と嫌な感触が手に伝わる。だが、彼女は怯まない。『星霜の蒼』が彼女の腕の筋肉を強制補強し、強引に杖を引ききった。
――。
一瞬の静寂の後、女王蟻の左側の脚、残っていた二本が根元から切断され、雪の上に転がった。
(……やったぁ! ミコトさん、見ました!? 私、やりましたよ!)
(……ああ。慣性を利用した見事なカウンターだ。お前のその「ヤケクソな勝負強さ」、もはや確定事項として俺の計算に組み込んでおこう)
バランスを完全に失った女王蟻は、その巨体を支えきれず、激しく雪原に転倒した。
もはや、その牙がクーリアに届くことはない。
(全く。出鱈目な使い方をした割には、きちんと結果は出したな。だが、まだ生きているぞ。トドメを刺さないと奴にはまだ、魔法がある。見ろ、奴の魔導神経に、高濃度の魔素が再充填されている)
俺の警告に、クーリアの肩がビクリと跳ねた。
倒れ伏した女王蟻の触角が、不気味な蒼い光を放ち始める。脚を失い物理的な機動力を封じられたことで、奴は全リソースを自己修復へと振り向けたのだ。
(えっ!? あ、あの光……まさか、自爆!? それとも、この辺り一帯を凍らせるつもり!?)
(いや、これは……驚いたな、この魔力パターンは回復魔法だ。奴は再生しようとしているぞ。このままでは泥仕合だな。どうする、クーリア?)
問い掛ける俺の声は、もしかしたら少し浮かれているかもしれない。
だが、仕方がないのだ。クーリアにこんな才能が有ったなんて、想定外も良いところなのだから。
脚を失い物理的な機動力を封じられたことで、奴は全リソースを自己修復へと振り向けたのだ。
(えっ!? あ、あの光……まさか、自爆!? それとも、この辺り一帯を凍らせるつもり!?)
(いや、これは……驚いたな、この魔力パターンは回復魔法だ。奴は再生しようとしているぞ。このままでは泥仕合だな。どうする、クーリア?)
問い掛ける俺の声は、もしかしたら少し浮かれているかもしれない。
だが、仕方がないのだ。クーリアにこんな才能が有ったなんて、想定外も良いところなのだから。
(えっ!? さいせ……再生!? あんなにバラバラにしたのに!? そんなの反則ですよぉ!)
彼女の驚愕が伝わってくるが、俺の意識はその再生プロセスの美しさに、不覚にも少し見惚れていた。
欠損した部位を魔力で補い、細胞レベルで再構築していくその術式。ルナリア教の『奇跡』などより、よほど洗練された生命プログラムだ。
……だが、感心している場合じゃないか。
(クーリア、奴の『核』が露出している。再生が完了する前の、今この瞬間だけ、防御障壁が無効化されているぞ)
俺の声には、隠しきれない昂揚感が混じっていた。
未知のデータに出会った喜びと、それを「彼女」がどう料理するのかという期待。
(どうする、と言われても……。ミコトさん、さっきの『線』で斬るの、もう一回やれって言ってます? 私の腕、もうパンパンなんですけど!)
(ふん。なら、次は『点』でも『線』でもなく――『質量』で叩き潰せ)
(し、質量!?)
(ああ。俺がこの『蒼の憧憬』の全魔力回路を、一瞬だけ重量増加に全振りしてやる。お前はそれを、奴の剥き出しの核に向けて『落とす』だけでいい)
俺は彼女の腕の疲労感を一時的に遮断し、杖の先端に高密度の魔素を凝縮させた。
今、この杖は一本の大樹に匹敵する重量を、その仮想的な質量として保持している。
(……いきますよ、ミコトさん! 私たちの……とっておき、食らえぇぇー!)
クーリアはフラつく足取りを無理やり固定し、天高く掲げた『蒼の憧憬』を、修復中の女王蟻の眉間へと振り下ろした。
――ズ、ドォォォォォン!!
爆音というよりは、地鳴りに近い衝撃。
物理的な重さと、俺が流し込んだ崩壊術式が混ざり合い、辺りの雪が舞い上がって視界がホワイトアウトする。
やがてそれらが収まった時、女王蟻はその核を微塵に粉砕された姿で完全に沈黙していた。
「……ぷはぁっ! や、やった……。今度こそ、本当に動かないですよね?」
(……ああ。完全沈黙だ。お疲れ様、クーリア。お前のその『ヤケクソな一撃』……俺のライブラリに、最高ランクの戦闘ログとして保存しておいたぞ)
とは言え。
(……ただ、『蒼の憧憬』をお前仕様に改造するのは、色々考えさせられることになったがな……)
刺突、打撃、リーチ、屋内、屋外、取り回し、重さ……衝撃吸収能力は組み込むべきか? 質量変化機能は使いこなせれば化けそうだ……様々な要素を組み合わせ、尚且つクーリアに最適化した設計。
(……ふむ。魔力伝導率を犠牲にせずに、あの物理的衝撃に耐えうる剛性をどう確保するか。先端を三叉の槍状にするだけでは能がない。いっそ、お前の意志に反応して質量を可変させる重力制御機構を組み込むべきか……)
俺の脳内では、既に次世代型『蒼の憧憬』の設計図が高速演算されていた。
宙に浮かぶ青い火花のような火線が、複雑な術式と物理構造を編み上げ、更新していく。
(お前のあの、繊細な魔法使いのイメージを自ら粉砕していくような戦い方を考慮すると、中途半端な杖ではお前のポテンシャルを殺してしまう……)
(あ、あの……ミコトさん? 脳内で凄い勢いで火花が散ってるような、怖い音が聞こえてくるんですけど。私のストラトス、変なトゲトゲとか付いちゃいませんよね……?)
思考の海に浸る俺の意識を、クーリアの不安げな声が引き戻す。彼女は自分の愛杖が、俺の趣味で物騒なトゲ付き鉄球にでも改造されるのを危惧しているらしい。
(……安心しろ。お前の審美眼に反するような不細工な真似はしない。……だが、次回のアップデート後は、もう「ただの杖」とは呼べない代物になるだろうな)
俺は満足げに思考を締めくくると、ようやく彼女の肉体にかかっていた全リミッターを解除した。
魔力による強制的な支柱が消失した瞬間、溜まっていた疲労物質が一気に神経を駆け巡る。
(わわっ!? 抜けた、力が一気に抜けました……! ぁ、ぅ、足が……本当に子ジカみたいに……)
(普段使わない筋肉をオーバーリミットで駆使したんだ、当然の結果だな)
緊張の糸が切れた途端、身体強化で無理やり持たせていた筋肉の悲鳴が、感覚共有を通じて俺の意識にも流れ込んでくる。
クーリアはそのまま、整理されたばかりの綺麗な地面に「ぷすん」と座り込んでしまった。泥と透明な体液にまみれたドレスの裾を気に留める余裕すら、今の彼女にはない。
(いや、当然の結果と言われましても……これ、どうやって街まで帰ったら良いんですかぁ……)
(自然治癒を高める魔法を使えば良いだろう?)
俺が提示した合理的な解決策に、彼女の意識が拒絶反応を示す。
(それ、滅茶苦茶お腹減るんですけど!?)
(それは何より。空腹は最高のスパイスだ)
(おにー!)
脳内で叫ぶ彼女の声は、疲れている割には元気なものだ。
俺はふっと意識の深度を切り替え、彼女の筋肉の緊張を魔力で解きほぐしながら、主導権を確保する。
(……ふん。まあ、よくやった。ギルドへの報告と、お前の報酬の交渉は、俺が主導権を握ってやってやる。お前はただ、俺の制御に身を任せておけ)
(うぅ、お願いします……。あ、お菓子は絶対に、生クリームがたっぷりのやつで……あと、ルイベも……追加で……むにゃ……)
言い終わる前に、彼女の意識がスリープモードへと移行し始める。
完全に脱力した彼女の身体を、俺は姿勢制御を完全に引き継ぐことで、糸に引かれる操り人形のように不自然なほど滑らかに立ち上がらせた。
さて、これほどの追加実績を上げたのだ。ギルドの受付には、相応の対価を用意してもらわなければ。




