3人で遊んでみた!
私たちはメルクさんの家に来た。
綺麗な見た目のマンションの、オシャレで綺麗な部屋だった。さすがメルクさんの部屋だね。
「ソファーにでも座って。」
「はい、失礼しまーす。」
私と舞香は、2人で並んで座った。
「もっとくつろいでよ。自由に過ごしてくれたら大丈夫だし。なんなら2人とも今日泊まってく?」
「あー、泊まっていきたい「結構です。」…舞香がこういうので、次の機会に。」
「残念。またいつでもおいでよ。舞花ちゃんも来ていいしね。」
メルクさんはそう言いながら、私たちに飲み物を出してくれた。
「麦茶でいいんだよね?」
「はい、ありがとうございます。」
「そういえばあまのちゃん。私の事をお姉ちゃんって呼んでくれないね?」
「あー…旅行は終わったので。」
「えー、寂しいなぁ。別に付き合わないからって、そんなに冷たくしなくてもいいじゃん。」
「あ、ちょっと、お姉ちゃんにそんなにくっつかないでください!」
メルクさんは私の隣に座り、腕に抱き付いてきた。舞香はそれに対して怒ってるみたい。
「じゃあ、舞香ちゃんもあまのちゃんに言ってよ。私に冷たくしすぎだって。」
「それは…お姉ちゃんは悪くないです。」
「はぁ…あまのちゃん、舞香ちゃんが私に冷たいんだけど。」
「多分ですけど、メルクさんが私にしたことを知ってるからじゃないですかね?」
「あれはー…したかったから仕方ないじゃん。あまのちゃんも嫌がらなかったし。」
「今はダメですからね?舞香っていう彼女も出来ましたし。」
「それは分かってるって。無理やり奪うほど性格も悪くないしね。とりあえず、2人の時はお姉ちゃんって言うように。
さて、今日は大富豪でもしよっか。」
「大富豪ですか?舞香としたことがあるから大丈夫ですけど…舞香もルール覚えてる?」
「うん。」
「それならルールは、スペードの3だけジョーカーに勝てるスぺ3返し・5スキップ・8切り・10捨てはありで、階段と禁止上がり、縛りとその他は無しで。
結構シンプルだけど、どうかな?」
「大丈夫ですよ。舞香もいいよね?」
「大丈夫だよ。」
「じゃあそれで。スマホとか使ってもいいんだけど、せっかくだから実際にトランプを使うね。
3回勝負で、3回目の勝者が優勝で。」
メルクさんがどこから出したのか、テーブルにトランプを置いた。
「今から配るから、手札を並び替えた後、1回、前のカメラに手札を写してほしいの。後は編集で上手いことしとくからさ。あと、テーブルを撮るためのカメラが目の前にあるから、気を付けてね。あ、位は富豪と平民、貧民で、富豪と貧民のカード交換は1枚ね。」
メルクさんが説明してくれた後にカードを配っていく。
ちなみに今日は、私と舞香は眼鏡をしていない。持ってきてなかったしね。舞香はマスクをしてるから大丈夫だろうし、私も多分大丈夫だよ。マスクしてないけど。
「優勝者には、私から有名店の焼きプリンをプレゼントだよ。じゃあ舞香ちゃんからカメラに写してきてね。」
「分かりました。」
舞香が立ち上がり、私たち3人を写しているカメラに手札を写しに行った。その後残りの2人も写しに行った。
「じゃあ、じゃんけんで順番を決めるね。手を出して。…最初はグー、じゃんけんポン!」
私とメルクさんがグーで、舞香がパーだった。
「お、舞香が勝ったね。じゃあ始めよ~。」
「じゃあこれから。」
舞香がダイヤの3を出した。よし、頑張るかぁ~!
第一試合
富豪:メルクさん 平民:舞香 貧民:私
第二試合
富豪:メルクさん 平民:私 貧民:舞香
「え、メルクさん強くないですか!?」
第二試合を終え、トランプを配っている私は、メルクさんに質問をした。
「たまたま良いカードが来たんだよね。じゃあ、これを舞香ちゃんに。」
「はい…これどうぞ。」
「ありがと。じゃあ私からカメラに手札を写すね。」
富豪と貧民の2人がカードを交換し、カメラに手札を写して、最後の試合が始まった。
「じゃあ舞香ちゃんからね。…はい、次はあまのちゃんだよ。」
「じゃあ、これを出します。」
「お、じゃあこれを出そう。」
3試合目も、メルクさんの優勢で進んでいく。
「え、メルクさんのカードが後2枚しかないんだけど。」
「ふふっ、後は2人次第だね。」
「…じゃあこれで。」
舞香がクローバーの2を1枚出した。
「あ、私出せないんだけど。」
「じゃあ私が出すね。」
私が出せないからパスをすると、メルクさんがジョーカーを出した。
「え、ジョーカーなんか出したら、もう終わりじゃないですか!」
「さぁ、どうだろうね?舞香ちゃん、出せないのかな?」
「出せますよ。」
舞香がそう言って出したカードは、スペードの3だった。
「え、スぺ3返し!?凄いね舞香!」
「あーあ、やられちゃったなぁ。じゃあ舞香ちゃんの番だね。」
「はい。」
舞香の残りのカードは5枚。私は3枚で、メルクさんはあと1枚。
何を出すのだろうか?
「じゃあこれで。」
舞香が出したのは…え!
「7の4枚出し!?革命じゃん!」
「革命返しは誰も出来ないから…これでおしまい。」
舞香は最後に5を1枚出した。…あれ?
「じゃあ、あまのちゃんはスキップされるから、私がこれを出しておしまいだね。」
メルクさんが4を1枚出した。あれ、私以外、誰もカードを持ってないんだけど…?
「じゃあ優勝は舞香ちゃんです。おめでとう!」
メルクさんはそう言って冷蔵庫に向かい、戻ってくるときにはいかにも高そうなお菓子屋さんの箱を持っていた。
「これが優勝商品の、焼きプリンです!」
箱からは、綺麗に焼け色の付いた、美味しそうな焼きプリンが出てきた。
「はい、スプーン。じゃあ一口食べて、感想をお願い。」
「分かりました。」
舞香はカメラから顔を背け、一口プリンを食べた。
「あ、これ美味しい…!」
「それは良かった。じゃあ舞香ちゃんはそのまま食べてていいよ。
あまのちゃん、最下位になった感想は?」
「え?あ、えっと…なんか面白いぐらいに綺麗に負けて、仕組まれてたんじゃないかって疑っちゃいます。」
だって、2の後にジョーカー、スぺ3返し、革命に5スキップ、最後にメルクさんが出して終わったし。最後の流れには、私が干渉出来る要素が全くなかった。
「お姉ちゃん、スペードの3はメルクさんが渡してきたんだよ。」
「…え?」
「お、舞香ちゃんが初めて私の事を呼んでくれたね!」
「ちょっと待ってください。もしかして、これって本当に仕組まれてたんじゃないですか…?」
「私はスペードの3を舞香ちゃんに渡しただけだよ?使い方は舞香ちゃん次第だったし、5スキップも革命も、舞香ちゃんの選択だよ。」
「ん?じゃあ舞香が酷いってこと?」
「でも、わざわざスペードの3を渡すってことは、ジョーカーを出すってことでしょ?メルクさんが出せって言ってきたようなものだよ。」
んーと、つまり…。
「2人で私を嵌めたってことだよね?酷くない?さっきまで舞香はメルクさんの事をよく思ってなかったくせに!」
「別に、今もメルクさんのしたことを許した訳じゃないよ。勝手に渡してきただけだし。」
「でも、その焼きプリンは美味しいでしょ?食べれて良かったね?」
「うん、お姉ちゃんが負けてくれたお陰でね。」
「やっぱり、実は2人とも仲が良いんじゃないですか?」
「ほら一口あげるから、怒らないでよお姉ちゃん。」
「うぅ…あーん。まあ良いですけど~だ!」
「ふふっ、じゃあ動画はここまでね。それじゃあバイバイ~。」
メルクさんが締めて、撮影を終わった。
「この動画は、今日から毎日投稿する旅行動画の、最終回の翌日に出すね。」
「あ、お願いします。」
私とメルクさんは、旅行の動画を交互に投稿することにしている。今日はメルクさんで、明日は私が編集したのを投稿する。
チャンネルもお互いのを使うから、毎日投稿と2つのチャンネル利用で、登録者を増やす作戦である。
結構良い作戦だと思うんだ。
「せっかくだし、もうちょっとゆっくりしていきなよ。お昼ご飯も作るし、帰りは車で送ってあげるからさ。」
「舞香、どうする?」
「えっと…じゃあお願いします。」
「りょーかい。じゃあ今からご飯を作るから、ちょっと待っててね。チャーハンと卵スープと、簡単なサラダで良いかな?アレルギーとかない?」
「2人とも大丈夫ですよ。」
「おっけ。じゃあ自由に過ごして待っててね。トイレはリビングを出て右の扉だよ。ゲームでもなんでもして良いからね。」
メルクさんがキッチンに行った。
それにしても…意外だなぁ。
「舞香なら帰るって言うかと思ったよ。」
「だって…メルクさんはそんなに悪い人じゃなさそうだし、お姉ちゃんももっといたいんでしょ?」
「それは…まあそうだけどね。それでいいの?」
「うん。私の前では、変なことはさせないし。」
「そっか。ありがとね。」
舞香のメルクさんの印象が良くなったのは嬉しいな。でも、私に仲が良い人が少ないせいで、舞香に我慢させてしまって申し訳ない。
「うわぁ、チャーハンはパラパラだし、味付けも凄く良いです!」
「美味しい…。サラダのドレッシングとかも初めて食べた味ですけど、美味しいです。」
「そう?それなら良かった。人に振る舞うのは久しぶりだから、口に合うか心配だったんだよ。あ、ドレッシングは手作りで一杯あるから、ちょっと持って帰る?」
「良いんですか?ぜひお願いします!」
私たちは、メルクさんの料理に舌鼓を打っていた。舞香も喋るぐらいには美味しい。
「またいつでもおいでよ。何か作ってほしいものをリクエストしても良いしね。」
「おー、またお邪魔させて頂きますね。」
「お姉ちゃん、その時は私も呼ぶんだよ?」
「ふふっ、心配性だなぁ。舞香ちゃんもあまのちゃんも、一緒においでよ。別にあまのちゃんだけでも、舞香ちゃんだけでも、変なことはしないしね。」
「だってさ。舞香が一人で来ることなんか、あるのかな?」
「どうだろ?呼ばれたら来るかもね。」
「あ、舞香ちゃんも私とLINE交換しようよ。」
「うーん…まあ良いですけど。食べ終わってからしましょう。」
「ありがと!じゃあ、いっぱい食べてね。」
「はーい。」
私たちはお腹いっぱい食べた後、皆でお喋りしたり、ゲームをしたりした。舞香とメルクさんが仲が良くなってきたのは嬉しい。というより、結構相性が良い気がする。さっきもゲーム中に2人で組んで、私を苛めて楽しんでいた。
2人ともSっぽいし、会わせてはいけなかったのかもしれない。
「メルクさん、今日はありがとうございました。」
「どういたしまして。フラれちゃったけど、遊べて楽しかったよ。」
「あ、それは…ごめんなさい。」
「大丈夫だよ。あ、2人とも、いつでも私の彼女になってくれて良いからね。3人で仲良くしようよ。」
「それはダメです。お姉ちゃんは私のものなので。」
「じゃあ、舞香ちゃんは私のものにしても良いのかな?」
「ダメですよ。舞香は私のものなので。」
「ふふっ、そのまま仲良くね。あ、お母さんかお父さんを呼んできてもらっても良いかな?一応挨拶しておこうと思って。」
「あ、分かりました。それじゃあ呼んできますね。」
「ありがと。2人とも、そのまま家でゆっくりしてよ。わざわざ戻ってこなくて良いからさ。」
「あ、分かりました。それじゃあ、今日はありがとうございました!」
「ありがとうございました。」
私たちはペコッと頭を下げて家に入り、お母さんを呼んだ。旅行前に、お母さんとメルクさんはビデオ通話で話していたから、一度しっかりと会って話そうって事なんだろうな。
「舞香、今日は楽しかった?」
「うん。メルクさんも良い人ってわかったし、美味しいものも食べさせてもらったしね。」
「そっか。また2人で遊びにいこうね。」
「うん。楽しみにしてるね。」
その後、3人でよく遊ぶようになった。メルクさんと舞香が仲良くなってくれたのは、私も嬉しい。友達と彼女が仲が悪いのは嫌だもんね。
ただ…たまに私を誘わずに2人で出掛けることがあるのは、ちょっともやっとする。舞香が取られることはないだろうけど…大丈夫だよね?
とりあえず、次回で1章を終わり、その後不定期更新(最低でも月1)に移行したいと思います。
その間は、前から考えていたお話を更新したいと思ってます。
次回は、最近少なかったYouTuber要素を出したいですね。




