寝顔写真を撮ってみた!
『あまのちゃーん。』
…ん?だれかのこえがする…。
『起きないのー?』
このこえは…おねえちゃんだぁ…。
『もう30分ぐらい寝てるよ~。』
ふぇ?おきてるよー?
『うわぁ、寝言で返事した。』
ちゃんとおきてるもん…。
『卓球しないのー?』
むぅ…あとちょっとだけ…。
『じゃあ今日は無しってツイートしとくね。』
むずかしいことわかんない…。
『難しいこと言ってないけどね?』
もうねる…おやすみ…。
『おやすみ、あまのちゃん。』
おでこになにかあたったきがする…。
ん?あれ、私いつの間に寝たっけ?
確か…あ!
「卓球するの忘れてた!」
忘れていたことを思い出し、大きな声を出しながら起きた。体も起こす勢いだったけど、何かに止められた。
「うぐっ…体が…あ、メルクさんがくっついてる。」
体を起こせないからおかしいと思ったら、メルクさんが私に抱き付いて眠っていた。腕で胴体を抱き締め、足で下半身を押さえられていた。
まるで抱き枕だね。
「というか、部屋が暗い…うっわ、4時じゃん。」
首を動かし、薄暗い部屋の壁にある時計を見ると、針が4時を指していた。発光してたから読めたけど、普通じゃ見えないぐらいには暗い。
「あー、あー、寝落ちしちゃった。ご飯食べ終わった後に一瞬で寝ちゃったなぁ。」
やってしまった。皆怒ってないだろうか…。
スマホを確認したいけど、捕まってるから動けない。
「どうにか抜け出すか…。」
こういう拘束から逃げるのは、舞香でなれてるからね。
起こさないように、ゆっくりと、メルクさんの腕を少しずつ解いていく。
「あともうちょい…よし、取れた。」
解いた腕は、メルクさんの体に乗せた。
「あとは足だけ…。あ、これは抜け出せるのでは?」
このまま手を使って、足から抜け出せそう。
上半身を起こし、腕で少しずつ後ろに下がっては、足をゆっくりとメルクさんの足から抜いていく。
「お、あとちょ「むぅ…まだ暗いじゃん…もうちょっと寝ないとダメだよ。」っと…あ…。」
もうちょっとで脱出できそうだったのに、一瞬起きたメルクさんが、また私を捕まえた。
今回は、足に抱き付いてる…というか、私の足の上で寝ている。足を動かすと、メルクさんの顔を膝で蹴ることになる。
「あー…詰んだ。はぁ…このままでいるかぁ。」
どうしようもなくなり、私はメルクさんの頭を撫でながら過ごすことにした。
どれほど時間が経ったのだろうか。
外が少しずつ明るくなってきて、部屋の中を見渡せるようになってきた。
「あ、こんな近くにスマホあったんだ。」
すぐ後ろに、私のスマホが落ちていた。
「スマホなぁ…あ、そうだ。」
私はカメラを起動し、メルクさんに向けた。
その時、ちょうど日の出が起きた。
「おぉ、綺麗…!」
メルクさんの顔に光が当たり、なんか神々しい感じになっていた。
「よし、良い感じ。」
カシャッ!
私は写真を撮り、それをTwitterにあげた。
朝の5時過ぎに起きてる人は…あ、意外といるみたい。もう数十いいねがきている。
「昨日は寝ちゃいました。ごめんなさいっと。」
一応謝罪ツイートをしておく。
あ、メルクさんも晩のうちにツイートしてる。
『あまのちゃんが寝ちゃったので卓球は中止です。ごめんね。』
という文と共に、私の寝顔写真があった。あー、やっぱり撮ってるよねぇ。
でも、寝てたのは仕方ないしなぁ。これは諦めよう。
「んっ…まぶしっ…あ、おはようあまのちゃん。」
「おはようございます、お姉ちゃん。」
太陽の光が眩しかったようで、メルクさんが起きた。
「あ、ごめんね、枕にしちゃってて。」
「別に良いですけど、2度寝しようとしないでください。」
「ふふっ、バレちゃった。うーん…寝不足だけど起きるかぁ。」
「昨日は寝るの遅かったんですか?」
「そうじゃなくて、いつもは9時間は寝てるから、ちょっと起きるのが早いだけだよ。」
「そうなんですね。あ、私今から歯磨きして、そのあと朝風呂に行こうと思ってるんですけど、どうですか?」
「おー、良いね。昨日とは違う方の温泉なんでしょ?」
「みたいですね。じゃあ歯磨きしてくるので、準備しておいてくださいね。」
私はやっと解放された足で立ち、歯磨きをしに行った。昨日はしないで寝ちゃったから、口の中が気持ち悪かったんだよね。
ここの旅館は毎日男女の温泉が入れ替わる。露天風呂の景色と、水質が違うらしいから、入りたかったんだよね。
「あー、気持ちいい~。」
やっぱり朝の温泉も貸しきりで、2人で色々入った。まあ、途中でメルクさんは上がっちゃったから、今は一人なんだけどね。
「相変わらずスキンシップが多いなぁ。今晩に聞いてみるかぁ。」
今日は志摩スペイン村に行った後、またここに戻ってきて配信をする予定だから、昨日出来なかった卓球配信の後の寝る前の時間に聞いてみよう。
「とりあえず、昨日みたいにのぼせる心配もないし、ゆっくりしていこーっと。」
私は朝日を見ながら、のんびりと温泉を楽しんだ。
お読み頂きありがとうございました!