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豪華な夕飯を食べてみた!

短めです。

部屋に夕飯が運ばれてくる。


「え、めっちゃ豪華だし、めっちゃ多いじゃん!」

「これで2人分だってさー。」


私の前に、どんどん運び込まれてくる料理。

大きな船の形をした器に、様々な種類の魚の刺身が乗っている。それに小さな一人用の鍋に、小さい器に入った煮物や和え物、茶碗蒸しとかがそれぞれに準備されていた。


「やっぱり多いですよね?」

「客が今日は少ないから、仕入れたものが余っちゃうんだって。従業員も食べるけど、それでも余っちゃうから、普段より多めらしいよ。」

「どれだけ仕入れたんですか…。」

「まあ食べれるだけ食べよ。よし、じゃあ冷める前に配信を始めよう!」


メルクさんが準備しておいた機材を使い、配信を始める。機材は事前に旅館に送っていたらしい。




「はーい、こんばんは!メルクです。」

「皆さんこんばんは~。あまのです。」

「今日は2人で旅行に来てまーす!さっきのツイートが凄く伸びてて驚きました!」

「私しか写ってないのに伸びすぎです!まあそれは置いといて、見てくださいこの豪華な料理を!」


私は固定していたカメラを動かし、料理を撮る。



チャット

:すげぇ豪華!

:うまそう!

:飯テロじゃねぇか!



「凄いですよね。美味しそうな料理なので、冷めたりしちゃう前に食べていきたいと思います。」

「あまのちゃん、カメラを置いてきてね。」

「あ、はーい。」


私はカメラを再び固定する。


「あ、これ、めっちゃ至近距離で顔が写ってるじゃん。」


レンズの正面に顔をもってきて設置してたから、ずっと私の顔が写っていたことになる。

恥ずかしい。


「あまのちゃんの顔がドアップで写ったところで、早速食べていきまーす!いただきます。」

「いただきます!」


私も席に戻り、料理を食べ始める。

今はカメラを正面にして、2人で並んで座り、料理と上半身が写るように撮っている。


「まずはこのお刺身を…おー!美味しい!」

「イカとか、これは…車海老かな?他にもウニとかも全部美味しい!」

「ホタテもありますね!」

「だね。旬のやつも多いしね。あまのちゃん、どんどん食べてね。」

「お姉ちゃんも食べてくださいね!」

「若いんだから、食べれるうちに食べてほしいの。」

「その発言は…まあ、それなら頂きますね。」




「お姉ちゃん、ビールは飲まないの?」

「んー…配信してるしなぁ。」

「でもこんなに美味しい料理があるんだよ?飲まないと勿体無いじゃん。」

「それもそっかー…じゃあちょっとだけ飲もうかな。」

「持ってきてあげるね。」


ここの旅館では、市販とほとんど変わらない値段で様々な種類のお酒が提供されている。既にお風呂上がりに売り場で多めに買ってきて、冷蔵庫で冷やしてあるのだ。


私はコップと缶ビールを持っていき、メルクさんの近くに座り、コップにビールを注いであげた。


「おぉ、あまのちゃん、注ぐの上手だね。」

「家で親とかにやってるので慣れてます。」

「そっかー。ありがとね。」

「どういたしまして。」





「あまのちゃん、あーん。」

「…急にどうしたんですか?」


メルクさんが刺身を箸でつまみ上げ、私の方に近付けてきた。


「ほら、食べないと醤油が落ちちゃう。」

「もうっ…あ、あーん。」


何これ、めっちゃ恥ずかしいんですけど!

そこらのカップルはよくこんなの出来るなぁ…。


「美味しい?」

「美味しいですよ…。」

「それなら良かった。」


メルクさんはニコッと笑った。

んー…この気持ちを味あわせたい…私だけは嫌だ。


私は自分用の鍋から豆腐をつまみ、メルクさんの口に近づけた。


「お姉ちゃん、あーん!」

「お、してくれるの?でもなぁ、それを食べたら火傷しちゃうから冷ましてほしいなぁ。」


うぅ、仕方ない。同じ気持ちを味あわせたいし。


「ふー、ふー、ふー!はい、あーん!」

「あーん。…うん、あまのちゃんのお陰でもっと美味しくなったよ!」

「そ、それは良かったです。」


うぅ、メルクさんはすっごく良い笑顔をしてる…。逆に私は、した側なのに恥ずかしくなってしまった。

なんか負けた気分。



チャット

:あまメル良いぞ!

:メルあま良いぞ!

:↑はぁ?あまメル一択だろ

:↑メルあましか無いんだよなぁ

:とりあえずてぇてぇから良い

:もっと百合百合しやがれ!



この時のチャットの流れは、見たことないような速度だったらしい。








「うっぷ…うぅ、食べ過ぎた…。」

「残ってたのも全部食べてたもんね。」


私は食べ過ぎてしまい、お腹に手をそえて、ぐてっとしていた。


「残すのが勿体無いぐらい美味しかったのが悪いんです…。」

「そっかぁ。でも、その感じだと卓球出来なさそうだね?」

「あ、忘れてた…。」

「私の不戦勝ってことで、罰ゲームする?」

「それは嫌なので、やります。ちょっと休憩してから。」

「ふふっ、無理しなくて良いのに。というわけで、これで一旦配信を終わって、また1時間後ぐらいに配信をします。それではー!」


メルクさんは配信を終わってしまったようだった。

うぅ…苦しい…ちょっとだけ寝る…。


私は、料理が下げられた後に敷かれた布団の上に寝転がる。


「お姉ちゃん、ちょっとだけ寝転がってるので、もし寝ちゃってたらすぐに起こしてください。

「はーい。おやすみなさい。」


メルクさんの声と共に、私は意識を手放した。

お読み頂きありがとうございました!

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