舞香の気持ち
すみません、今回は凄く短いです。
また、まるごと舞香視点です。
舞香side
私は見ていた。お姉ちゃんが恵ちゃんをお姫様抱っこしたところを。
「「おぉー!」」
見学席にいた保護者や先生たちは、それを見て感心していた。
お姉ちゃんが無理をしていることは、私にしか分からないだろうな。
抱き上げたタイミングは前を向いていたから、一瞬だけ顔が見えた。抱き上げる勢いで体を反転させて、奥に走っていったその時の顔は、私が初めて見るような、凄く真剣な顔だった。
あぁ、お姉ちゃんは私が見たことのないような顔を、恵ちゃんのためにするんだね。中学の部活の時の顔よりも、普段勉強している時の顔よりも、もっともっと真剣な顔だった。
なんだか、凄くモヤモヤした気持ちになった。
周りの人がお姉ちゃんを凄いって誉めてたけど、私はそう思えなかった。
なんであんな無理をしてまで恵ちゃんをお姫様抱っこしたの?体を痛めたりするかもしれないのに。なんで?どうして?
「お姉ちゃん!」
「え?あ、舞香!どうしたの?」
お姉ちゃんは退場した後、そのまま恵ちゃんをお姫様抱っこして保健室に運んでいった。
ずっと無理してたくせに、恵ちゃんには笑顔で大丈夫って言ってた。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「え?あ、恵のこと?なんか一応病院に行くらしいよ。」
「そうじゃなくて!お姉ちゃんは大丈夫なの?」
「私?別に怪我とかしてないよ?」
「だから、ちがう!ずっと無理してたのに大丈夫かって言ってるの!」
「そんな大きな声出さなくても…。確かに無理はしてたけど大丈夫だよ。明日筋肉痛になればいいだけだしね。」
「お姉ちゃんが無理をしてたの分かってたんだからね?隠そうと思って誤魔化してたつもりかもしれないけど、全然隠せてないし。」
「あ…やっぱり分かっちゃう?誰にもバレてないつもりだったんだけど。」
お姉ちゃんはそういって、えへへって笑った。
「ずっと一緒にいるんだから、分かるに決まってるじゃん。ねぇ、どうしてあんな無理したの?腰を痛めたりしたら、大変なんだよ?」
「確かに腰はヤバイよね。んー…だって恵を運動場に一人置いていけないじゃん。」
「肩を貸すとかでもいいじゃん!私はお姉ちゃんに何かある方が嫌なの!これからはあんな無理しないでね!」
「うん。ごめんね舞香。心配してくれてありがと。」
お姉ちゃんは私に近づいてきて、ぎゅっと抱き締めてくれた。
「バカ…お姉ちゃんは優しすぎるんだよ…。」
「そんなことないよ。舞香の方が優しいしね。」
「ねぇ、お姉ちゃん。」
「ん?どうしたの?」
「今日は配信するんでしょ?私も一緒にやる。」
「え!?一緒にやるって、出るってこと?」
「うん。良いでしょ?」
「えー、でもなぁ…。」
「私もお姉ちゃんみたいに眼鏡して、ツインテールにして、マスクもするよ。これなら良いでしょ?」
「うーん…わかった。じゃあ今日は一緒にしよう!」
「お姉ちゃんありがと!じゃあ、今からの競技も頑張ってね!」
「ありがとね。頑張ってくるよ。」
お姉ちゃんはそう言って、着替えに行った。
お姉ちゃんは、最近ずっとダンスの練習をしてたから、忙しそうだった。
もしかしたら、私は寂しかったのかも。
…今日と明日はずっと一緒にいようかな。
ずっと、私と一緒にいてほしいな。
次は2人でライブ配信をすると思います。
もちろん、暗い話にはなりませんよ。
舞香は、最近ずっと恵といたお姉ちゃんが恋しくなったのです。