体育祭で踊ってみた!
今回で駆け足ぎみに体育祭を終わらせ、次からまたYouTuber活動に戻ります。
登場人物は彩未と舞香、恵にモブちゃんです。
「お姉ちゃん!今日は応援しに行くからね!頑張って!」
「じゃあいつもよりもっと頑張らないとね!行ってきます!」
体育祭当日、私は舞香に見送られて家を出た。
あれだけ時間はあると思ってたけど、すぐに過ぎ去り、今日になってしまった。
いやぁ…色々大変だったよ。後輩に教えて、同級生にも教えて、恵にも教えて。
もう曲がなくても完璧なタイミングで、私のパートも1,2年のパートも、恵のパートも出来るようになっちゃった。
『彩未先輩!俺と付き合ってください!』
こんな台詞も何回か言われてしまった。もちろん断ったけど、団長や副団長、ダンス担当になったらモテるっていうのは本当だったんだなぁ。どうせなら女子にモテたかった。
「あ、彩未先輩だ!おはようございます!」
「おはよう。今日は頑張ろうね!」
「はい!頑張りましょう!」
学校の廊下では、女子生徒が挨拶をしてくれるようになった。嬉しいけど、どうせなら誰か告白してきてほしかった…。
「えっと、今日が今までの練習の成果を発揮する日です!俺たちには勝利の女神がついている!出来るだけ怪我をしないように、でも思いっきり楽しんでいこう!青団優勝するぞ~!!!」
「「「おぉぉぉぉぉ!!!!!」」」
選手入場をする前に、団の皆の前で、団長が大声で発破をかけて、皆がそれに応える。私は何故か団長の横で微笑んでおり、勝利の女神と言った瞬間に皆の視線が集まった。さすがにここまでされると恥ずかしい。
「彩未ちゃん、何か一言頼む。」
ほら、すぐこうやって団長は私に喋らせる。
「急にだね…。えっと、何故か勝利の女神にされている野々上彩未です。今日が私にとって最後の体育祭です。良い思い出になるように、皆協力してください!頑張りましょう!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」」」
「え、何でさっきより声が大きいの!?」
私の言葉の方が、団長より皆から大きい声を引き出してしまった。えぇ…団長は悔しがる所なのに、すっごく良い笑顔で一緒に返事してるし…。
「さっきは凄かったね。」
「皆の声を出すタイミングがおかしいんだよ…。」
選手入場やら開会式やらが終わったあと、私と恵は2人で話していた。
「彩未ちゃんは皆に好かれてるんだね。あそこに入ってきたら良いのに。」
恵が見た方向では、団長達が競技中の後輩たちを応援していた。
「いや、あれに入ったら、午前中で私のメンタルが終わっちゃうよ。」
「大丈夫だと思うんだけどなー。あ…。」
「ん?どうした…「だーれだ?」え、なに!?」
急に誰かの声がしたと思ったら、視界が暗くなってしまった。
「ビックリした…。というか、声でバレバレだよ舞香。」
「さすがお姉ちゃんだね。」
私を後ろから目隠ししてきたのは舞香だった。
わざわざ来てくれたみたいで嬉しい。
「何年一緒にいると思ってるの?それに、恵も黙って教えてくれないの酷くない?」
「いや、舞香ちゃんがしーってやってたからさ。」
「えへへ、ビックリさせたくて。あ、お姉ちゃんと恵ちゃん、一緒に写真撮ろうよ。」
そういえばいつの間にか、2人は恵ちゃん、舞香ちゃんと呼ぶ仲になっていた。なんかちょっとモヤモヤする。
「えっと…どうやって撮ろうかな…?」
「私のスマホで撮ろうよ。えっと、すみません、私たちの写真を撮ってもらえませんか?」
「あ、彩未先輩!良いですよ!その代わり、私とも撮ってください!」
「私なんかで良ければね。じゃあお願いするね。」
目の前にいた2年生の女の子に撮ってもらえるか聞いてみたら、OKをしてもらえた。最近、私の事を知っている人が増えたお陰だね。
「うぅ…えっと、じゃあお姉ちゃんが真ん中で、私と恵ちゃんで挟んじゃおう!」
「そうだね!腕なんかも組んじゃおう!」
私の両隣に2人が来て、腕に抱き付かれた。2人とも155cmぐらいだから、私が余計に大きく写っちゃう気がする。
「じゃあ撮りまーす!はい、チーズ!…どうですか?」
女の子がスマホを渡してくる。
「うん、2人とも綺麗に写ってるから大丈夫だよ。ありがとね。じゃあ…撮ろっか。恵、お願いね。」
「はーい。じゃあ撮りまーす。はいチーズ。…ほい。」
「ありがとうございます恵先輩!彩未先輩、後でLINEに写真を送っておきますね!」
「あ、りょうかいです。」
私が団のグループLINEに入った頃から、LINEの友達が急増した。元の5倍ぐらいに増えて、今では誰か分からない人の方が多い。でもこの女の子はたしか…。
「それじゃあ笑里ちゃん、写真ありがとね。」
「わぁ、名前覚えてくれてるんですね!えへ、ありがとうございました!」
笑里ちゃんは頭を下げて、友達のところに走っていった。
いやー、女の子のプロフィールは確認してて良かったよ。
「彩未ちゃん名前覚えてるんだね。」
「たまたまだよ。」
「うぅぅ…もしかしてお姉ちゃん、モテ期だったりしないよね?」
「モテ期…?あー、何人かに告白されたね。断ったけど。」
「そ、そっかー…。お姉ちゃん、誰かと付き合ったりしないよね?」
「今のところは無いかな。男子ばっかに告白されるし。」
「それならよかった~!」
「なんで喜んでるの?」
「あ、えっと、それは…。」
私が舞香に質問していると…。
「すみません彩未先輩!私とも写真お願いします!」
「俺ともお願いします!」
「私も!妹さんも一緒に撮りましょ!」
さっき私が笑里ちゃんと撮っていたのを見ていたのか、急に人がたくさん集まり始めた。
「うわぁ…えっと、並んでくれたら撮ってあげますよ~!」
あまりにも周りを囲まれてしまって、身動きが出来なかったからそう言った。すると喧嘩することもなく、数秒で私の前に長蛇の列が出来た。なにその統一感。何団とか関係なく凄い団結力だった。
「はぁ…じゃあ前の人の写真を撮ってあげてください。そして撮り終わったら、次は後ろの人に自分のスマホを渡して、渡された人が撮ってあげてくださいね。」
「「「はーい!」」」
はぁ…何この団結力…誰も文句言わないじゃん。
「はわわ…お姉ちゃんがモテ期に入ってる…。誰かに取られたりしないよね…?」
私には、舞香の声は聞こえていなかった。
「恵、大丈夫!?」
何事もなく進んでいた体育祭。しかし、遂に事件が起こってしまった。
クラス対抗リレーを走っていた恵が足を挫いてしまい、転けてしまったのだった。
「はぁ、はぁ、はぁ…ごめん、お願い!」
恵はなんとか走りきって次の人にバトンを渡したけど、膝からは血が出ていた。
「ごめんね皆、私のせいで順位落ちちゃった。」
「そんなことどうでも良いの!彩未ちゃん、保健室に連れていってあげて!」
「うん!」
私は既に走り終わっていたから問題ない。綾瀬さんに言われなくても連れていくつもりだった。
「恵、肩に腕を…よし、行くよ。」
「彩未ちゃんごめんね。」
「謝らなくて良いって。」
私は恵を連れて保健室に行った。
「え、足を挫いたのに応援合戦に出るつもり!?」
「だって私が出ないと彩未ちゃんが出れないでしょ?皆が待ってるんだから出るしかないじゃん。それに、捻挫って言っても軽くだから大丈夫だよ。」
クラス対抗リレーは昼休憩前の最後の競技だったから、今から昼休憩になり、その後応援合戦が始まる。
「でも、無理はダメだよ…。」
「大丈夫だって。膝の怪我も大したことないし。よし、行くよ。ごはん食べてる時間も無いぐらい、メイクや着替えに時間がかかるんだから。」
「そんなに言うなら…。恵、絶対に無理はしないでね?」
「大丈夫だって。」
恵はそう言って、椅子から立ち上がり、保健室から出ていった。
「ふー…よし!皆、絶対1番になるぞ!」
「「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」」
応援合戦が始まる前、私の学校ではそれぞれの団で円陣を組む。百人以上で組む円陣は、とっても大きかった。
団長の言葉で皆に気合いが入る。
私たちは最後の演技だから、1番印象に残りやすい分、一番ハードルが上がっている。
「華ペアを綺麗に見せるのが青団の必勝法だ!後ろの俺らは絶対にミスるんじゃねーぞ!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」」」」」
相変わらず、私が絡むと声が大きくなるようだった。
「恵、大丈夫?ヒールも8cmもあるし、痛くない?」
「大丈夫だから心配しないでって。ほら、移動するよ。」
「うん…。」
遂に青団の番になり、皆が入場の準備を始める。
恵は大丈夫って言ってるけど…歩き方も変だし、明らかに嘘をついている顔だった。悪化しなければ良いんだけど…。
遂に私たちの演技の最後の曲になった。ここから2人でのダンスが始まり、華ペアの出番である。
さっきまでは団長が一番前で踊っていたが、ここからは私と恵が先頭で踊る。
「大丈夫?」
「うん、頑張ろう。」
小さな声で恵に聞いてみたが、また大丈夫と言われた。でも、凄く汗も出てるし、顔も少し青白い気がした。
明らかに限界だよね…?
最後のダンスが始まってからはそんなことを考えている暇もなかった。
ほとんどの視線やカメラが私たちに向き、声援や拍手も聞こえる。急に団長より前に出てきた私たちは、かなり注目されているようだった。正直、めっちゃ緊張している。
恵は青いワンピース型のドレスに、白や水色の花のような装飾、肩から先は薄い青のシースルー生地で出来ている。顔もバッチリとメイクをしており、髪も三つ編みをワンテールにしてボリューミーに仕上げている。元から眼鏡を外せば可愛い顔をしていたけど、今日はコンタクトだし、オシャレもバッチリで、この学校で一番お姫様に相応しい容姿だった。
私は青い上着に白のシャツ、白いズボン。そして肩や胸には高そうな装飾がされている、王子様や貴公子を彷彿とさせる衣装だった。髪は切ろうかと思ったけど、舞香に猛反対されたから短髪の黒髪ウィッグをつけている。元から頭が小さいからか、全然頭でっかちにならなかった。軽くメイクもしており、誰が見ても美少年と答える見た目になっている。
私たちは、本当に美しい華になっていた。
「はぁ、はぁ…。」
恵は笑顔でダンスしながらも、時折辛そうな顔をしていた。
頑張って最後まで踊りきったが、事件はその後に起こった。
この応援合戦では、全員が退場して時間計測が終わる。時間も8分に近いほど加点されるから、皆走って退場する。
でも…。
「いてっ。」
曲が終わり、走って退場しようとしたら、隣から恵のそんな声が聞こえた。
パッと横を見ると、恵はその場に崩れ落ちていた。
「はぁ、はぁ…もう力が入らない…痛い…!」
「大丈夫!?」
「彩未ちゃんごめんね。もうちょっと大丈夫なはずだったんだけど…力が入らなくなっちゃった。」
恵はヒールを履いていたから、裸足だった。足首を見てみると、かなり青黒くなっていた。
「バカ!無理すんなって言ったでしょ!ほら、首に腕を回して!」
「え、こう?…きゃっ!」
私は恵に近付き、首に腕を回すよう指示をした。そして、遠心力と筋力で恵をお姫様抱っこしたのだった。
「もっと思いっきりくっついて!走るよ!」
「う、うん!」
正直、筋力が全然足りない。でも、ここまで来て恵を置いていく訳にも、落とす訳にもいかない。
私は必死に力を振り絞り、恵をお姫様抱っこして退場していったのだった。
色々調べていると、彩未が恵をお姫様抱っこするのは非常に難しいことがわかりました。しかし、させたかったのです。
話を思い付いたからには書きたかった…笑
2人の容姿は、
王子様 衣装 青
ドレス 青・三つ編み ワンテール
で調べて想像してくださいませ。
次は舞香回の予定です。