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お題スレ投稿作品集

忍者の仕事

 4月1日、今日は言わずと知れたエイプリルフールである。年に一日にある嘘を付いてもいいとされる日、そして新年度でもある日だ。


 だが、油断してはならないこともある。新年度というのは時にサービスの改悪や、ルールの改悪、そういう不利益を被る可能性のある真実も共に含まれていることがある事を。

 そして本当に困っている真実もあるという事を。


 まぁ忍者である私はそんな真偽などすぐに見抜く目を持っている。情報の正確さを見抜けないようでは忍者など務まりはしない。日本という社会を裏で支える巨大な組織に所属する者としては必須技能である。


 今の情報社会では真偽の判断は特に重要な事だ。

 そして、あらゆる企業がエイプリルフールというお遊びを大々的に行っているのには理由がある。この日ばかりは真実すらも嘘として隠し通せる事もあるからだ。だがそれも一種の博打である。いや、我ら現代の忍者が博打にさせていると言い換えてもいいだろう。


 どさくさに紛れた極小の文字で書かれたサービス規約の改悪、おふざけの度合いを超えたやり過ぎ、そして本当のことなのに信じてもらえない苦痛の叫びなど、それらを解決するのが新年度初の現代の忍者の使命なのだ。


「さぁ! 今年もあらゆる情報の真偽を確かめてやろうじゃないか!」


 俺はそう宣言し、目の前にあるパソコンであらゆる情報に目を通していく。照明を消した薄暗い部屋で黙々とパソコンを操作して情報を集めていくのだ。現代の忍者とて電子機器の扱いなどお手の物だ。これも真偽を見抜く目と共に必須なスキルである。


 すると部屋の照明がいきなり点く。何奴か!?


「……何やってんの? 兄貴?」

「なんだ、妹よ。何って忍者の仕事に決まっているだろう!」


 そこにいたのは我が妹であり、同じく忍者である妹がーー


「いってぇ!? 何すんだよ!?」

「中二病うざい! 兄貴のどこが忍者だ! ただの高校生でしょうが!」

「デタラメを言うんじゃない! エイプリルフールだからといって言っていい事と悪い事がーー」


 思いっきり蹴飛ばされ、キレている妹の目が怖い。はい、ごめんなさい。全部嘘です。俺の極小の心が冷たい妹の目線で砕け散りました。

 エイプリルフールなら大目に見てくれるだろうと博打のつもりでやってみたが許してくれないらしい。この妹は兄に厳しいのだ。たまにはサービスしてくれたっていいじゃないか!?


 え? ダメ……? ほんと厳しいね。


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