龍に殺されること１０万と５８回、最強へと至った転生者は冒険を望む

　辺境の村に住んでいたカイル・ハーグリーヴズは、十歳の誕生日を迎えたある日、唐突に前世の記憶を思い出した。

　だがその直後、カイルの前に一頭の龍が現れる。
　龍はカイルを攫い、さらにとある試練を課してきた。
　それは最強の生物である龍と並び立ってみせろという無理難題。

　襲い掛かってくる龍に対し、当然の如くあっさりと死を迎えるカイルだが、直後他ならぬその龍によって蘇生される。
　死を繰り返し、抗った末に乗り越えてみせろ、ということであった。

　そうして１０万と５８の死の果てに、カイルはついに試練を果たすことになる。
　それはカイルにとっては不本意な結末ではあったものの、果たしてしまった以上は覆ることはない。

　かくして五年ぶりに故郷へと戻ることになったカイルだが、カイルを運んでいる最中、龍はついうっかり少年のことを落としてしまう。
　人類にとって最も訪れてはならぬ場所――魔王城へと。
　そしてカイルは、そこで一人の少女と出会うことになる。

　これは最強へと至った少年が、冒険を望んだ先にある物語。

「――さあ、冒険を始めようか」