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カードバトル/ダブルディティー  作者: KIRIー
l l l ステージ編
83/91

転移


伏せられたカードの束、その1番上のカードは

"ディザスタープリンセス"

「…これは」

ディザスターが目を見開く

「えっ?!ディザスターデッキ」


カードの束を扇型に広げると、モンスターカード/タイムスペルがほぼディザスター名称だった。


横にあるカードの束に総駕が手を掛ける

「待て 天流寺」

「なに」

「少し気になる事がある」

ディザスターが再びカードの束を握り表紙を観ると"ディザスタープリンセス"


「はっ?!また」

「間違い無いな」

「何がだよ」

「横にあるカード手にとって見ろ」

首を傾げながら総駕がカードに手を掛ける


「トランナイト! ハートフルエースだ」

「やはりな」

「もしかして その人に合ったデッキになってるって言うのかよ」ーー

ーーディザスターが頷く。


「この二つのディザスターデッキ全く内容が同じだ、それどころか初めて貰ったカードとも一緒だな」 


「そうなのか…

俺は…やられちまった人のカードを偶々引き継いで戦ったんだよ」

「…そうか」。


総駕はハッと思い出す

「配布場に行った時 1枚だけカードを拾ったらハートフルエースだった」

「やはり各々と縁があるカードがその手に行くわけか」

「何故なんだ…」

「…だがこれでデッキは手に入った、

後は外に出て表の情勢を確認する」

「あ、あぁ」


建物を行く途中ディザスターは足を止めた

「どうしたんだよ」

「モニタールームが有る」


中に入るとパソコンなどの機材が陳列、そして部屋の奥には劇場のスクリーン程の大画面がある。


ディザスターがパソコンを操作し始める

「何するつもりだよ⁇」

「色々な情報が出てくると思わないか」


ファイルを開いて記録を次々に流すように見て行く。


「なんでログパスとかわかんの?」

「パラパラと戦ったビルもそうだが解除キーが同じだ、ドゥクスが設定したんだろ」


「英語ばっかでわっかんねぇな!!」

「少し黙ってろ」

あるページでピタリと止まるディザスター…


「…これは」

口元に手を当て絶句した。


文章の脇には2つの球体が重なり、一つが消えるGIFが表示されていた。


「なんだよ!なんか分かったのか⁉︎」


総駕を置いてそのままファイルを読み漁って行くーー


ーー直後、館内全体に鳴り響く警報

赤い回転灯が回り出した。


「おい!!やべぇよ!!早く逃げねぇと」

「分かっている もう少し待て」

「はぁ⁉︎悠長な事言うな捕まえに来るぞ」

「それも分かっているコイツでな」

ディザスターの片耳には黒いイヤホンが刺さっていた


「インカム?」

「黒服が何人か向かっている…」


1分、2分…たったか、時が経つのが遅く感じる。


「まだかッ」

「行くぞ走れ」

急にディザスターは立ち上がり走り出す。


部屋を出たが出口とは遠ざかる

「逆だろ オイッ」


「これで良い黒服(ヤツら)の方に突っ込むんだからな」

「はぁあああ⁉︎」

逃げ出したい総駕の正面から黒服5名が現れ鉢合わせる


「此方には居なかった」

すれ違い様に言った

黒服の中央から突破、総駕は俯き気味に走るーー


ーー沈黙…? バレたんじゃ?


「あれ…」

足音が遠ざかる。


「上手く行ったな」

ディザスターが笑った


「おまっ、、めちゃくちゃだろ」

「急がば回れだ」


「何でストレートに出口にいかない?」

「逃走中でもする気か?外にも奴らは居るんだすぐ捕まる」

黒スーツばっかだし…確かに逃走中っぽいな…いやいやそうじゃない


「俺達も同じ姿だし奴らに人物像は特定されていなかったーー

きっと閲覧したファイルがセキュリティに引っ掛かったんだ」


「なるほど…」。


●○○●○○●○○●○○●


事態の収束を見計らい漸く建物から脱出するー


「それであのファイルの事教えてくれるんだろ」

「なら飯でも食いながら話そう」

「飯?…」

「どうした、腹が減って無いのか?」

「なんか変なんだよ」。


「昨日の朝から何も食べてない…なのに腹が減らない」ーー

結衣が消えて夜飯も喉を通らなかった


ーー「それだけじゃ無い、俺はパラパラと戦う前にタイムクリスタルの激突を受けて身体中が痛くてアザもどっかにあったはずなんだ」

それに肉体的な疲労感が少ない。


ディザスターは神妙な顔を見せた

「その訳も含めて説明する」

そして、とりあえず食えと言われ場所を移す。


ディザスターの宿泊するホテルに向かう途中洋服を調達したー

ーようやくパンツが履けてなんだかしっくりくるな。


食料も確保してディザスターの部屋に入る。


どこも変わらず無機質な生活感の無い部屋だ…

テーブルを前に総駕は椅子に腰を掛ける。


さっき手に入れたスマホを操作していると、

ディザスターがコーヒーを手に対面に座る。


「無事ログイン出来そうだな」

買ってきたサンドイッチに手をかける

「ああ。」

ーーパラパラに負けた試合はカウントされてないのか?。


「腑に落ちないか?…」

「まぁ、ラッキーだとは思うけど」。

「敵も理不尽だそれぐらい許されるさ…

次のサードステージは通行手形集めか」

「…カードキーの事か?」

「そうだ」


プレイヤーは試合時にカードキーを指定の枚数賭けて戦う。

両者がルームIDを端末で送信後、電子ホルダーの解除コードが端末に受診される。

 カードキーを持たないプレイヤーは負けた時点でサードステージ敗退となる。

A〜Eのカードキー5種類をx月7日〜12日の6日間で集め関所に提出する事でエリアG.H.Iへの移住が認められる、そして次のフォースステージ進出。


「5枚集められなかった者は敗退、

更にエリアA〜Dは期限後閉鎖される」

総駕は険しい顔をする


「電子ホルダーによって顔を合わせれば即座に戦いが行われる」ーー

「そしてプレイヤーを次の都市エリアに集中させ戦いの加速化」


セカンドステージ終了時点でプレイヤーの総数は1億人前後、広い敷地でどうするかと思えばフィールドを縮小化してきたか…。


サードステージでは負けてもすぐさま失格にはならない、カードキーが1プレイヤーに付き1枚有るからだ。


「キーが無くても戦いを了承する奴っていんのかな?」

「デッキをより強くしたい、又は余ったキーを持つ奴は受けるかもしれないな」

「成る程…」

「更に2戦目では2枚掛けすれば最速3戦でフォースステージ進出だ」

「、、、5分の1のプレイヤーの勝ち抜けかと思ってたけど、カードキーをダブらせて勝ち抜けられたらマズいな」

「試合する相手も見つからずリタイアだ」


「早くいかねぇと」

「よく読めば試合をせずにカードキーの譲渡も出来るらしいな」

「じゃあダブったら交換も可能かラッキーだな」

「ッフ…」

ディザスターが微かに笑う

「その前に、あの場所で何が分かったんだ?」

「忘れかけてたろ?」

「色々あり過ぎて」

総駕は苦笑いをこぼす。


一息置いてディザスターは真剣な面持ちになる

「まず俺達の今の状態、この身体や世界についてーー」

 総駕は息を呑む

「ーー俺達の肉体は創世龍によってトレースされた状態なんだ--この街もな」

なるほど…見た事ある商業施設が多かったのも納得だな。


「ゲームに敗北したプレイヤーが消滅するのも、トレースされた肉体を創世龍の力でデリートしたんだ」


「なら魂は?レルから敗北者は自由意志が失われているって聞いたんだ」


「器を消した事で魂は分離され創世龍に吸収されている」

「本当の身体はどうなってんだ」

「この世界で生命維持措置に繋がれているようだな」

「じゃあ黒服は…」

「魂が分離された本当の肉体だ」

「マジかよ……、、もしかして黒服が滅多に戦えないのは魂が無いからなのかな?」


「どう言う訳だ?」

「黒服に追われた事があったんだーー」


ーー奴らがプレイヤー化したけど、制圧に来たのは一定の時間が置いてからだった。

それは魂を反映するデッキを直ぐには使えなかったからじゃ無いかって。


「あり得るな」

「けど何で本当の肉体で戦わせないんだ」

「魂と肉体の分離が目的だ、そして本体を傷付けさせない為にも必要だったのかも知れない」

トレースした肉体が消えれば魂は捕らわれる。


本当の肉体はワームホールで呼び寄せられた、

そこから肉体、精神をトレースされた

その時、魂はトレースした方に入ったようだ。


「俺達の今の状態は?

またトレースされたのか」


「それは分からない、本体の身体の可能性も有り得る」



「…あの時驚いてただろ地球が2つ重なるページでトレースされた事よりももっと大事な事なんじゃ無いか?」


「無駄に鋭いな」

ディザスターは躊躇いを見せる

「教えてくれよ」

「真実を知ればお前は戦えなくなるかも知れない それでもか」


「…それでも知らないまま戦うのは違う気がする」

「断言出来るが、お前は苦悩する事になる

知らない方が良い事もあるってな」

「知っちまったあんたはどうなんだ」

「俺は物事に常に優劣をつける、先を見据えて第一にしなければならない事を選んで行くつもりだーー」


「ーーだが感情も尊重する、そいつがどう思うかまでは頭で否定しない」


「何だよ…それ」。


…きっと奴の言うように悩んで苦しくなるんだろう、だけどそれで良い

「やっぱり気になって仕方ねぇよ 戦えなくなっても自分で出した答えなら納得するしか無いって思う」

「分かったーー」


「ーーなら教えてやるよ

このゲームが何の為に行われているかを」


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