ディザスターVSジークフリート turn0
夜が更ける、
テーブルの上に幾つものカードが並ぶ。
ディザスターはそれ等を纏めて席を立った。
ホテルを出て街頭に照らされた道を歩いて行く、
沈黙の町をディザスターの足音だけが通り過ぎる。
この町が静かな理由は、この異次元世界だから
だけじゃない。
今日はインターバル5日目、あと数時間もすれば
2ndステージが始まる。普通ならば戦いに行くプレイヤー、ましてや出歩く奴なんて居るわけが無い。
しかし、ディザスターには戦いに行く理由があった。
慶次を、そして伊達を倒したプレイヤーとの決着を付ける必要があったからだ。
ディザスターは慶次のスマホの履歴からジークフリートとのコンタクトに成功した、そして、マップに記された座標に向かっていた。
目的地に近づくと、超高層ビルが立ち並ぶ、最低40m、そして100m越えがいくつも聳え立つ。
そして、一際目立つビルの下にジークフリートは待ち構えていた。
摩天楼の下で戦いが繰り広げられる。
「オレがディザスターだ…」
鎧の男ジークフリートに近づきながら言った。
「待っていた」。
ディザスターはデッキホルダーにデッキを装填しながら問いかける
「なぜオレとの戦いに拘る?」
「強者との戦いが俺の望みだ」
「…強い奴なら他にもいた筈だ
だがお前は名指しで俺を指名したんだ、答えて貰うぞ」
「俺はお前と同じカードゲームをプレイしていた」。
「お前は俺の目標だった」
「なに…」
意外な答えにディザスターは驚く。
そしてジークフリートは声を大にする
「だがお前は公式戦から身を引いた!
なぜだそれ程の実力が有りながら」
「ただのタイミングだ」。
ディザスターの答えは単純故にジークフリートは怒る。
「お前は世界大会をも制覇し、プロゲーマーとしてもやっていけた筈だ…」
「ゲームを仕事にするか、、確かにいい話だが
俺にとってモノの見方が変わる」
「それは逃げているだけだ」
「お前とは価値基準が違う」。
ディザスターは眉間に皺を寄せた…
[俺にとってゲームは、仲間と笑いながら楽しむものだった]
慶次や伊達の顔が浮かぶ。
[勝つ事だけが目的になれば、俺が本当に思うゲームは出来ない]。
「俺にはゲームで勝つ事だけが全てだった、
そしてお前を倒す事でその道が開けると信じていた…地球ではその機会は失われた」ジークフリートは拳を強く握り続ける…
「だが、この世界にお前が来た事は運命的だ!
俺の強さが唯一無二という事を証明する
勝つ者だけが絶対のDDT世界でな!!」。
ジークフリートがセリフを言い放った直後、
ディザスターの鋭い雰囲気が刺さる。
[勝つだけにしか価値が無い世界…
そんな独り善がりな世界こそ無価値だ]
「この世界、俺が終わらせる…」
ディザスターがデッキホルダーに手を掛ける
ジークフリートが構える。
両プレイヤーが言い放つ
『「タイムクリスタルセットアップ」』
キンッキンッキンッキンッ
連なり輝きを放つクリスタルが相手に向かい放射される。
『「サバイブ」』。
掛け声と同時にホルダーから展開されたカードを掴む、そして戦いの幕が上がる。