仲間
空は黒く染まり町の灯りが世界を照らす、
ディザスターの眼差しは走り去った慶次を見るように真っ直ぐ前を見据えている。
伊達がホテルから出るとディザスターと目が合う。
「二手に分かれよう」
伊達が提案するとディザスターは頷き別々の方角へ走り出す。
伊達は少し走りディザスターの視界から消えるとそこから方向転換をする。
建物を1つ2つと通過して行くディザスターはサングラスを外して後先を考えないかのように全力で走っていた。
「何処にいる慶次」。
ビルの曲がり角を曲がるディザスター、
狭い路地には光がなく先がハッキリとしない。
…刹那だった。ディザスターの口元を何者かが布で覆うように塞ぐ。「ッ…⁈。」眼を見開くディザスターの眼光が次第に失われて行く。
数秒して手足の感覚がなくなり膝をつくように地に倒れて行くが痛みはなく伏せられた…
…頭の真横を足音が通り過ぎて行く。
薄れ行く意識の中顔を上げるディザスターは全身を奮い立たせようとする。-目の前を歩く男は振り向かずに去って行った。
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戦いの待つステージでジークフリートが仁王立ちで構えていた。
「…お前を倒しに来た ジークフリート」
その眼に覚悟を宿した慶次がデッキを手に現れる。
「来たか」
ジークフリートのデッキは既にステージにセットされていた。
慶次がデッキを置く為手を運ぶ、その時だった、背後から誰かが自分の名を呼ぶのだ
「慶次ッ!!」
その声は慶次を振り向かせる。
「伊達」…。
背後には息を切らして駆けつけた伊達がいる。
「…俺にも…漸く分かった」
振り払ってきた仲間がそこに居る。
-何も知らない筈の仲間が。