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カードバトル/ダブルディティー  作者: KIRIー
絶対装甲の王 編
25/91

Atomic Burn LIGER Dragon turn1

インターバル二日目、天流寺総駕(てんりゅうじそうが)はシフトなる男と出会う、彼に連れられて深い霧が漂う中をしばらく歩いていた。


「…おい何処に向かってるんだ?」

特に会話もなく、ついて来いと言われるがままここまで歩いているのだがさっきから景色が変わらない。

「やれやれ最近の若者は」

シフトは頭に片手を当てワザとらしく頭を左右に振る、そして後ろに続く総駕をちらっと見る

「ふふ…もう少しで着きますよ」

「…」。


そして…シフトが立ち止まる。

「此処です」

辺りを見渡すと霧がいつの間に晴れている、

足元を見ると砂漠の様な砂で包まれていて少し動きづらい

「…何も無いじゃないか」。


 目的地のようにシフトは言ったが辺りは砂ばかりだ。

てっきり街がある場所に戻るかと思っていたのだが。

「ふふ、そう焦る事も無いでしょう…此処に寄ったのはしっかり理由がありますから」

「ここに寄った理由?」

「ええ、出会い頭に申し上げた通り私は貴方のカードを復元させる役割の元参りました」

俄かに信じ難い話ではあったが、この場所の雰囲気からして何だか嘘じゃなさそうだ。

この何もない場所のサラサラした砂で遊ぼうって訳で来た訳じゃないだろうし。


「カードを戻すのとこの場所が何か関係してるって言うのか」

「そうです、、貴方は薄々ながらも気づいて居るのでは有りませんか?DDTのカードが

タダのカードではないコトに」


「ああ。」

流石パラパラの仲間と言うのか、俺が知っている事を知っている。以前、紫宴もこのカードが普通のカードじゃないと言った事で俺も再認識してはいた。


「なら話は早い。DDTのカードはタダのカードじゃない、、」

シフトの言い方は何か含んだような感じがする

怪しさのある事かも知れないがそれ以上に知らなくてはならなかった

「何だって言うんだ…」

自分が聞かなくてもシフトは続きを話しただろう、それでも聞く前に引き下がりたいような感覚が自分の中にあった、だが此処まで来たら許されない…このカードが何かを知らされる


「生きているんですよ、このカード達は…」


生きている…カードが⁉︎…この世界に順応して来たとは言っても驚くような話だった。


「生きているって…カードに命があるって言うのか?」


「ええ、、そういう事になります

まぁ生きていたが正しい表現かも知れませんがね」

「生きているとか、生きていたって言うのは、まるでこいつらが現実に存在していた様な言い方してるな」

焼け焦げたライガードラゴンをシフトに見せながら話すと奴は頷いた

「まるでその通りですよ」

自分で言い出した事だがこのモンスター達が戦っている世界はぶるっと震えた。


「ライガードラゴン達はこのパラレルワールドに住まう住民だった、そして今はこうしてカードに宿っている」

カードに宿る前は生きていたそれなのに突然カードの中で生きる何て可笑しな話だ、過程が重要な気がする。

「何故こいつらはカードになったんだ?」

「それは1人の人間に負けたからです」

「たった1人の人間がモンスター相手に勝ったていうのか?」


「勝負の条件が存在しそれによってこの世界を勝ち取ったのですよ、まぁ大方大事な部分は話しましたし次に進ませて貰いますよ。」


「1人の人間と言うのはパラパラの事なのか?

その勝負がきっかけでモンスターはカードになったって事なのか?」


「さぁ、、その辺りは本人しか知らないですから」


これ以上追求してもシフトは知らないか答え無いだろう。

「まぁなんとなく分かったとは思うんですがカードには魂が宿っている、そこが重要だったんですが歳のせいか無駄話してしまいました」

笑いながらシフトはそう言うが、この無駄話は無駄では無かった。

「カードに魂があるのが復元に関係してるってことなんだな」

「はい、アトミックバーンライガードラゴンのカードは焼け焦げてカードとしては使えませんがそれを別の物に移すのです」


「そんな事が出来るのか⁉︎」

「この白紙のカードがあれば」

シフトが取り出したカードは裏面は普通のDDTのカードで表面は何も描かれていない白紙の物だった。


「一体どうやって」

「この場所に来たのはモンスターの魂が漂流しているからです」

「じゃあこのライガードラゴンのカードにはもう魂は無いのか…?」

「まぁ完全に無いわけでは無いのですが殆ど、

そのカードはベストの状態じゃ無くなったため魂が解放されゲームでは認識出来ない状態になりました。その魂は戻ろうとしていますが体が無いんです、でも体があれば直ぐに使える様になると思いますよ」


「その体ってのが白紙のカードか。」

「必ずしも成功とは行かないですが試してはみませんか?…」

シフトが白紙のカードを差し出すと迷わずに総駕は受け取る

「考えるまでも無い、やらせてくれ」。


「では、白紙のカードが前になる様にアトミックバーンライガードラゴンのカードを重ねて下さい」


言われるがままに渡された白紙のカードの裏にライガードラゴンを合わせる、こうして見ると角が取れて見た目の喪失が改めてよく分かる。

「これで良いのか?」

「大丈夫です、ではそのまま真上にかざして下さい」

二枚の重ねたカードを真上に運ぶ、こうしてみると初めてディメンションサモンしたあの時を思い出す…


「来ましたね…」

シフトの言った直後、青い光がゆらりゆらりと

一つ…二つ…三つ…と周囲を舞い始める

「これがライガードラゴンの魂なのか⁉︎」

「此処は魂の吹き溜まりなので他の魂も来ています、それが復元には好条件なんですよ」


吹き溜まり…じゃあこの漂う光は他のモンスター達なのか。


「っなんだ!」

目線を上げたままいると遠くから勢いのある光が此方に向かってくるのだ

「恐らくアレが、あの光がそうなのでしょう」

「本当に…ライガードラゴンが戻るのか⁉︎」

期待と不安を手にした総駕の手に橙色の光が突き進む、橙色の光は頭上に翳し上げた白紙のカードに衝突する!

「うぉおお!」

カードを掴んだ手が震える、真後ろに持って行かれそうな勢いが伝わるからだ…

「ック…この感じ…分かるぜ」

光の衝突で目を瞑るが手から伝わる感覚と光の色は既視感を覚える

「おや大丈夫ですか」

掴んでいるカードに別の手が加わった、

シフトが掴んでいるのだろう。


光が収まり頭上に上げた手を見る…

カードを掴むその手は光の衝突の余波がまだ残っている気がする。


震える腕を徐々に下ろしながらカードを見る。

「…ッ」

手元にあるのは1枚のカード…

「白紙ッ⁉︎…」

更に握られているカードは何も描かれて無い、その上、角が焼け焦げている物だ、総駕は咄嗟にシフトに目を向ける


「いやあ上手くいきましたねえ」

口角をあげシフトがいやらしいく笑い顔の横で1枚のカードを見せながら言った。


「アトミックバーンライガードラゴン⁉︎」

シフトの人差し指と中指に挟まれていたのは正しくそれだった

「どうゆう事だ⁉︎…」

あまりの出来事の連続に頭の中で収束しない、

シフトの手にライガードラゴンが渡った事を認めたく無いからだ…。

「どうもこうも有りませんよ、ライガードラゴンのカードはご覧のとうり元に戻りました…

それを私が持っているそれだけです」


強い光の衝突の際、シフトは俺と同時にカードを掴んだその時既にライガードラゴンは復活していて元々白紙だったカードに移行が済んでいた、その移行済みのカードを奴が今持っている。そして、今手にしているこのカードは抜け殻と言うわけだ。


「騙したのか…」

総駕は震える拳を抑え力強い目でシフトを見据えた

「私はカードを復元すると言っただけで、貴方にそれを返すとは一言も」

「クソッ汚いんだよ!」

「クソの方が汚いではありませんか?

大体人はいつもそうだ都合のいい解釈をする割に期待に沿わなければ騙されたと嘆く…

困りますよ」

「それが大人のやり口かよ」

「かもしれません、それに白紙のカードは元々私の物だ」

「だがライガードラゴンは確かに俺の物だ」

「ほぅ、この場合半分と認めてあげなくも無いですよ」

「半分だと?…」

「はい、半分だけですそれ以上は認めませんよ」

「何が言いたいんだ」

「詰まり。取り返したくばコレで勝負するという事ですよ」

シフトは総駕の腰元のホルダーを指差す

「勝負…」

ホルダーに手を当て思考する、だが考えるまでも無かった

「その勝負受けて立つ」

「口の利き方がなって無いですねぇ…生意気な貴方に私は心底ムカついてるんですよ」

「やっぱり汚えよ…クソ以下にな」

「まぁいいでしょう」

(もっともライガードラゴンは私の手にある、

そして天流寺総駕…私はお前を返す気など毛頭無かったんですよ。私はお前みたいなガキが大キライなんですよ)


「ライガードラゴンは必ず取り返す!」

総駕とシフトの視線がぶつかる!

「この勝負も、もちろん負ければ貴方は消えますよ」

「そう言えば俺が引くと思ったのか?」

「せっかくの忠告を」

「見え透いた事ばっか言いやがって」

総駕はデッキホルダーのボタンを念を込めて押した

「タイムクリスタル!セットアップ!」

対面するシフトに向かってタイムクリスタルが一気に放出されシフトが吹き飛ばされそうになる

「やれやれ!タイムクリスタルセットアップ!」

後方に飛びながらシフトがホルダーのボタンを押す、放出されたクリスタルとクリスタルがぶつかり宙に展開され互いの頭上に並ぶ。


「さぁ始めましょうか」


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