表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードバトル/ダブルディティー  作者: KIRIー
絶対装甲の王 編
24/91

強さ

ジークフリートの操る分身、絶対装甲の王-

ジークフリートによって敗北した慶次は消失を覚悟し固く閉じた目を開くが

「⁉︎…消えてない…」

両手を見ても何の異変も無く確かに自分は此処に存在しているのだ。


目をパチりと開き驚いている慶次に仁王立ちのジークフリートが言った

「貴様にはまだ使い道がある」

「使い道だと⁉︎、それに負けても消えてないのは一体どうなってるんだ…」

嫌な汗が止まらない、得体の知れない力をまだ持っていると思うと恐ろしい

「この世界の権限を俺は一部使える、俺が倒したプレイヤーであれば消すも生かすも俺の手の中にあると言う事だ」


慶次は硬直する…!

「今僕の命をコイツは握ってると言うのか…⁉︎」

両手をついて下を見る白のレンガが視界に入る

「そうか、だからあの時僕に封筒を渡した彼はお前に消されたと言う事か」

「そういう事だ」

ジークフリートが真上から見下ろす

慶次はゆっくりと立ち上がる

「彼の怯えようも今なら分かる…君に負け敗北を味わい逆らう事ができない力の差を痛感させられた…」

身体が小刻みに震えつつ前を見ようとする

「そして命を握られてるとなれば従うしかない………けど僕はッ!」

慶次は正面のジークフリートを見据えまっすぐに目を見て言いきる

「君に、、お前には従わないッ‼︎」

その目には慶次の確かな強い意思が宿っていた

ジークフリートのプレッシャーや恐怖を掻き消す精神的な強さを見せる、しかしジークフリートはそんな慶次に右手を翳す

「ならば消えろッ!」

ジークフリートの威圧する眼差しと目の前でプレイヤーを消し去った力が慶次を襲おうとする

「!」

だがジークフリートは手をゆっくりと引く、

慶次が瞬きせずにジッと目を見ていたからだ。


仮面越しで慶次には見る事は出来ないがジークフリートの表情は変化していた

「生かしてやる…」

「どうした僕を消すんじゃなかったの?」

慶次はこの意外な結果を予想していなかった


「なぜ貴様は恐れなかった」

ジークフリートは慶次の姿勢を問う

「消えるのは確かに怖いよ、でもね、お前は僕を使って仲間に近付こうとしてる!

僕の仲間に近付こうとしている事の方がもっと怖いんだよ‼︎」

「…‼︎ッ」。


「やはり面白い、チャンスをやる」

「チャンス⁉︎だと…」

「インターバルの内に俺を倒せれば敗北を取り消し手を引いてやる」

「…」

「ただし負ければ、ディザスターを強制的に戦わせる!」

「強制的にだと…ハッタリだ」

慶次は真横に手を払う、ジークフリートの発言を虚言だと確信しているからだ、もし本当なら初めから果たし状など使わない、だがジークフリートは鼻で笑う


「面白い事を教えてやろう次のIIステージで一定数以上勝たなければ次のステージには上がれない、そこでIステージ同様に我々は大会を開く予定だ」


「なぜそんな事を教える…⁉︎」

慶次の中で情報が繋がってゆく

「まさか…」

「如何やら理解した様だな」

ジークフリートはIIステージの内容を知っている以上パラパラと深く関わっている、そして大会を運営するならば出来る事もある

「マッチング操作か」

ニタリとジークフリートが笑ったのを感じる。


プレイヤーとして大会に紛れ込み、且つ運営側からも大会の流れを操るとなれば容易な事だ

「クッ」

悔しさがこみ上げてくる、そんな慶次に対面するジークフリートは背を向け言った

「''次に覚悟が決まれば''いつでも来い」

…こいつはもう一度戦いを挑む覚悟すらないと思っていると言うのか

「あんまり舐めんなよ僕は今から戦う事だって迷わない!」

背を向け去って行くジークフリートに言い放った、だが振り向かずに言葉を返す

「最高のデッキで来いッ‼︎、

自暴自棄になった奴を倒しても面白くない

そして最高のプレイで挑みに来るんだな」。


こうしてインターバル1日目が終わったのだった。

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●


部屋に散らばったカードを拾い集める慶次は固く誓う

「二度目はない僕は負けるわけには行かないんだ」


頭を冷やし椅子に腰をかけようとすると扉を叩く音が聞こえてくる


「慶次ちょっといいか?」

扉越しから伊達の声が聞こえて来た

「…どうかしたの?」

「いやお前、様子変だったから…

なんかあったんじゃねーかって」


伊達君はぶっきらぼうに見えるけど本当は誰よりも優しくて人の事を心配するんだよな…


「心配性だな伊達君は、、」

震えた声で慶次は言った

「入るぞ!」

ガチャリとドアノブを捻り伊達はドアを開け部屋に入る

「えッ!?」

「「え」じゃねえーよ。お前、やっぱなんかあったろ?」

後頭部をくしゃっと描いて伊達はぶっきらぼうに言った


「疲れただけだって」

慶次は斜め下を向き目をそらす

「ふぅーんいつも元気なお前がな俺初めて見たぜ」

「…。」

「ディザスターさんも同じ事言ってんだ、

テメェ何があった?」

伊達が慶次に詰め寄り目を見ようとする

「何も無いよ…」

慶次が目をそらし答えると伊達は手を振り上げる

「オイッだったら目を見て言えよッ‼︎」

伊達は慶次の胸ぐらを力強く掴む

「痛いよ伊達君、、暴力行為に見做されたら」

「構わねえっ!俺が消えたらお前のせいだ

お前が何か抱えてんなら俺達の問題と同じ事だ」

伊達は力を緩めずギュッと胸ぐらを掴む

「そんな無茶苦茶なっ」

「…何とか言えよ…」

慶次はチラりと伊達を見ると力強い眼差しを向けていた…本気の覚悟が伝わって来る、

「僕だって、…」

慶次が伊達の胸ぐらに伸びた腕を掴み返す!

「…」


「僕だって色々あるんだよッ‼︎」

慶次は感情的に叫んだ、言うわけには行かないのだ、抱えた事を言ってしまえば伊達を巻き込んでしまう形になる。


「!」

伊達は咄嗟に掴んだ腕を離してしまう、なぜなら慶次がこんなにも感情的に叫んだ事も今まで無かったからだ。


慶次は伊達の腕をそっと離した、

君は自分の事以上に僕達の心配をする、

自分の事は投げ出す勢いで…


「伊達君はさ、少しは自分の心配した方が良いんじゃないかな?」

皮肉っぽく慶次は言った

「どういう意味だよ!」

眉間に皺を寄せ伊達は聞き返す

「そのままの意味さ、君は僕より弱いから」

「ッ‼︎お前ッ!」

その言葉の直後慶次は伊達に背を向ける

「分かったらさ…さっさと…部屋戻ってよ」

「何なんだよお前!何考えてっ」

「邪魔なんだよっ、ハッキリ言って…これから先仲間だ何だって言ってたら自分から消えるんだ!だから自分の事だけ考えろよ!」


ハァッ、ハァッ…


「分かったよっ」

「馬鹿野郎が…」

慶次の言葉を聞いた伊達は背を向け部屋を後にする。


ガチャンとドアが閉まると慶次は俯きながら心の中で呟く

「ゴメン、ゴメン伊達君…」

そして顔を上げデッキを広げる

「一枚拾ってなかったか」

デッキに入れていたカードの不足に気が付いた慶次は先程拾い忘れていたカードを手にする、

どうやら先程投げた時にドアの近くに飛んでいたらしい。


「僕は逃げないそして必ず、ジークフリート

…お前を倒す‼︎…」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ