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カードバトル/ダブルディティー  作者: KIRIー
絶対装甲の王 編
20/91

絶対装甲の王(ジークフリート) contact


五日間与えられたインターバルの二日目。

 プレイヤーが1人いれば1つの物語がありまた1つの物語と交差してくのが人、そうして2人2つ以上の物語が1つとなり物語が完結していくのだ。


 時刻は夕方、ホテルの広間にて食事を取る3人のプレイヤーの姿があった

「彼奴らゴツいなりした割には美味い飯作るぜ」。


 白の食器の淵にフレッシュなソースと中央に形の整った肉、それをナイフで切り大きく開けた口に入れる青年、伊達。


伊達がナイフを入れる度スッと肉が切れる、

あっという間にお洒落な盛り付けをされた肉料理を平らげる

「確かに、プロでも通用するレベルだ…」

伊達の正面に座るディザスターが言った。


 ディザスターは透き通るスープをすくい飲み込む、それからチラリと斜め後ろを見た

「…ただ、黒服にサングラスがずっといる飲食店はナンセンスだ」

「…それは、言えてるな」

伊達もディザスターが向けた視線の先を見て苦笑した、そこには無愛想にジッと立っている黒服がいたからだ。


「まぁ気にしなきゃ、って、おい?どうした」

気を取り直してスプーンに持ち替えた伊達は右に座る慶次に言った。

横に座る慶次はいつも緩い感じでヘラヘラとしているのだがさっきからボーッとして料理を前に手が止まっているのだ。


「えっ?、何でもないよ」

ピクッと伊達の声に反応してナイフとフォークを手に取る慶次

「あんま腹減ってねーのか?」

伊達の質問に対し慶次は少しやつれた表情で言った

「ちょっと疲れてる、だけかな」

「そぉか、ならこれ食えよ好きだろ?プリン」

伊達はガラスの器に入ったプリンを慶次に差し出す

「うん、ありがと伊達君」

「食える時食わねーと」

伊達からプリンを受け取った慶次は先にプリンを食し始める

「お前本当好きだな」

「まぁね」

「…。」

ニカッと笑う慶次をディザスターはそっと見た。


「ごはん美味しかったねー」

「そういや昨日の夜お前どこ行ってたんだよ?」

食事が終わり部屋に戻る最中不意に伊達が聞いた

「夜…?」

ピタッと一瞬止まった慶次は先程と変わり真剣な表情を見せる

「昨日の夜、飯誘いに部屋行ったけど居なかったから」

「散歩だよ、大会観戦の後寝すぎたから」

伊達とディザスターに背を向けながら答える

「そうか」

「じゃ、僕先に部屋戻るね」

素っ気なく言うとそそくさとその場を後にする慶次。


「今日ちょっと変だなあいつ」

伊達とディザスターは背を向けた慶次を見送る

「ああ、思えば昨日からなのかもしれない」

ディザスターが呟くと伊達が反応する

「昨日から?」

「大会観戦の後俺達は明け方に帰って来たが

彼奴は帰る最中ほとんど喋らなかった」

「眠かったんじゃないか?」

「長い付き合いだがオールでも大会後でも彼奴の疲れた姿を俺は見た事が無い」

「確かに、、でもずっと近くにいたよな」

歩きながらディザスターは続けて話した

「伊達が言ったように昨日夜に何かあったハズだ」

「でも何があったんだ?」

ディザスターが少し上を向きながら言った

「其処まではわからない、慶次が何も言わないのも彼奴が決めた事だ」

「何考えてんだかな」

「だが彼奴は強い…ゲームタクティクスは俺とタメを張れる程だ」

「俺よりは何と無く強いとは思ってたけど、掴めないトコあるから甘く見てたな」

伊達は思い出しながら少し笑う

「慶次はチームの勝敗が掛かった試合で負けた事が無いのを気づいてたか?」

伊達はディザスターが言った事を頭に浮かべると驚愕する

「本当だ…!。ディザスターさんが勝って俺が負けた時、何時も彼奴は勝っていた…」

伊達の驚いた顔を見たディザスターは少し笑う

「同じデッキでの戦いを繰り返した時、同じアベレージだった事もある」

「そんな事が、俺も負けてられないな」

「とはいえ、この世界での事もある

気にはなるな」

「後で声掛けてくるか」

「ああ」。


上階へ向かう途中、、、

「もっと言えば慶次はデザートから先に食べた事も無いな」

「それは流石に偶々だろ」

「ああ見えてやる事は常識人なタイプだぞ」

「確かに俺等の中じゃなwディザスターさんポテトにソース付けるしw」

クスッとディザスターは笑い伊達と共にそれぞれ部屋に戻るのだった。


● ● ● ● ● ● ● ● ●


一足先に自室に戻った慶次はドアをパタリと締めデッキケースを手にする

「うわぁぁぁぁあ‼︎」

慶次が叫びながら手にしていたケースを床に叩きつけるとパッシャッーっとカードがブチ撒かれる…。


「ハァッ、ハァ」

荒い息を吐き下を向き散らばったカードに目を向ける

「僕は今頃消えているハズだった…」。


−事の発端は昨日−、、、

ーーーインターバル一日目ーー。


 大会観戦を終えた慶次、伊達、ディザスターは各自部屋に戻りその日は解散する事となった。


 一睡もせずに長時間の試合観戦をしていた為、すぐに眠る予定だったが慶次には気になる事が1つあった…。

気にせずには居られないのだ、それはポケットに入った封筒、それもぶつかりざまに入れられたのがハッキリと分かっている。


 不審な封筒は正直言って気持ち悪かったが封を開ける事にした、封を開けると三つ折りにされた手紙が入っていた。


 手紙を読み終えた慶次は落ち着いて思考した、手紙の差出人はジークフリート、内容は自分では無くディザスターに対する物だった

「これはどう考えても危険だ…」。


-果たし状-

俺の名はジークフリート

強者であるディザスター貴様に決闘を申し込む。

時刻は22時、応じなければ貴様の仲間を1人ずつ倒す。


手紙の下記にはQRコードがあったのでタブレットで読み込むと場所が指定されていた。

「こいつはディザスターさんを知っている上、実力も分かって言っているのか」

「それに僕達の行動を把握している」

「僕はジークフリートなんて名のプレイヤーを聞いた事が無いぞ」

相手は此方の事を調べているのは分かる、しかし此方には一切の情報が無い、

相手はDDT世界に来る以前から知っている気配があるがディザスターと長い付き合いの自分ですら知らないのだ危険度は高い。


「これはディザスターさんにも伊達君にも行かせるわけには行かないな」

しょうがないと言った顔で慶次はそう言うとシャワーを浴びて着替えを済ませるとベッドに横になる。


この際本人に直接では無く自分に手紙が来た事は置いておく、しかし、ディザスターに知らせて本人が戦いに行くのは避けるべきと考えた、

DDT世界に来て自分達の動きを把握している相手、対戦時デッキの内容が知られていた場合対策を練られている可能性は十分にある、最低でも不利対面のデッキで挑んでくる訳がない。


「ディザスターさんのデッキは中速タイプのデッキ、僕のデッキは序盤に重きを置いた速攻タイプのデッキ」

タイプはまるで違う、。

相手は中速もしくは速攻のどちらかが予想される、そして、慶次は中速タイプのデッキも取るのは難しくない事をディザスターとの調整で手ごたえを感じている。


中速タイプを予想している理由はジークフリートの人間性から来ている、まだ見た事もない相手だがこうして果たし状を出すならば自分の実力に自信が有り真っ向勝負を望むハズだ

真っ向勝負ならば当然同じデッキタイプを使う。


デッキが速攻タイプなら十分に対策をして陰湿に挑みに来るのでこの線は薄いと考える。


こうしてデッキタイプの予想をして目を閉じ眠りについた…。

数時間後…、睡眠時間は十分なくらいでスッキリと目覚めた慶次は念の為にデッキを広げて確認をする

「真っ向勝負を挑みに来る相手なら当然ディメンションモンスター同士の戦いは視野に、むしろそれをメインにしているハズだ」

「なら戦闘時のタイムスペルによるパワーブーストと相手のディメンションモンスターのパワーが上の可能性がある」

ここでパワーを考えるのはディザスターシュバルツエビルドラゴンのパワー3750、これほどのディメンションモンスターを素で超えるモンスターならば終盤に力を発揮するデッキタイプ

「中盤以降に伸びる相手なら元々対処出来る…入れるカードは決まった」

今回はこちらの攻撃にカウンターするタイムスペルが予想出来る、そして攻撃時や永続的なパワー補助効果其れ等に対抗するものを投入して構築を纏めた。


「相手には悪いけどコレは負けたら終わりの真剣勝負なんだ、思い通りにはさせないよ」

自信の篭ったデッキを手に約束された時間まで外をぶらつく事にした。


外に出ると既に夕焼けに包まれていた、帰ってきたのが明け方だったので妥当な頃合いと思いつつ、胃に何も入れていない事をふと思った…

「ん〜やっぱパフェ美味しい」

しっかりした食事よりも久々にガッツリ糖分を摂りたい気分だったのでパフェを注文し、果物と生クリームがふんだんに使われているパフェを夢中で掘り進める

「ディザスターさんや伊達君はあんまり乗り気じゃ無いからなぁ〜、しかもコレ!大きさ的に1500円行きそうじゃん!」

ほっぺに生クリームが付いているがガラガラの店内で気にする必要もなく食いまくるのだ、

イチゴやバナナはもちろんだが鮮やかなオレンジ色のメロンが上手い!夕張メロンかコレ?

料金が無料なのとこの満足感に非情な現実を忘れられる。


 店を出た慶次はタブレットで録画していた大会映像を見る事にした。

画面に映る硬い表情のプレイヤー達と様々なディメンションモンスター、そして天流寺総駕と謎の女レルとの試合を思い出す…。

その試合でレルは設置型のタイムスペルでディメンションモンスターのパワーを上げる戦術を取っていた、僅かだかデッキの内容は変化した為改めて知識のストックの重要性を感じている、そしてこのゲームの経験が浅い事も実感している…

「限られたカードプールで何処まで通用するんだろう」

慶次達は3人で限られたカードをシェアし自分に合った其々のデッキを構築出来たその点は仲間内でDDT世界に来た幸いな所、しかし、パラパラの仲間であるレルの様な存在は選べるカードの自由度が更に違う、それだけで一般プレイヤーとの優劣がハッキリついてしまう。


「今回の相手は僕達の事を知っていた、これは一般プレイヤーじゃ無いパラパラの仲間の可能性も高い…」

士気を高めた慶次は約束の場所まで一時間は早いが向かう事にする…。



−21時過ぎ–

「ここか…」

慶次は殺風景な白のレンガが特徴的な広場に到着する、そしてこちらに気が付いたのか目の前に1人の細い男が現れる

「早かったな!」

「!、君がジークフリート?」

厳つい男でも現れると思っていたが

痩せた体つきに輝きの無い歪んだ目つき、

見た目で判断するのは危険だが拍子抜けと言った所だ、、

すると男は首を横に振る

「違う、俺じゃあない、、」

「でも知ってるみたいだね?」

「そうだ、あの時の封筒みたんだろう、?」

「まさか、君が今朝ぶつかった⁉︎」

「その通り…」

男の言動から察するに

「誰かに頼まれたって事か」

慶次がジッと男を見ると男が少しずつ背後に下がっていく

「…?!」

男は不審にゆっくりと下がり此方を伺いつつ

何かに怯えた様に目を泳がせて言ったのだ

「や、約束どうり、俺はディザスターに果たし状を渡したぞ」

「何を言ってるんだ⁉︎…」

男の不審な言動、だが、同時に背後に威圧感を感じ、瞬時にこれは自分に対するものではなく背後に居る何者かに言ったものだと分かる…。


男の視線は自分ではない、

息を飲み後ろを振り向く…

「」

言葉を失い冷や汗が出る、

一瞬心臓が止まる程だった…

そして確信する

こいつが

「…ジーク…フリート」なのだと。


背後に現れたジークフリートが口を開く

「その男は…ディザスターでは無い…」

一言一言が恐ろしい、だが驚いたのは見た目だ

甲冑に身を包み2メートルを超えた頭身、

夜の闇に包まれて尚も存在感が有る…

甲冑の仮面に篭った声は想像通りの低い声

慶次は距離をとり心の中で男の言動に頷いた。


「どう言う事だ…」

男は慶次をジッと見る、まるで生死が自分にかかってると言った眼差しだ

「…僕は花之慶次(はなのけいじ)ディザスターじゃないよ」

「でも確かに金髪の男に封筒を」

童謡し怯える男にジークフリートは近づきながら言った

「ディザスターに渡せと言ったはずだ」

「話が違う‼︎」

男は怒鳴る様に叫ぶと首を横に振る

「嫌だ、消えたく無い、嫌だ…」

ジークフリートは男の顔の前に手を翳す

「用は済んだ…消えろ」

次の瞬間男は光に包まれ砕けた様に散る!


「っ⁉︎…」

一瞬の出来事と驚きの連続に目を丸くする

するとジークフリートが言った

「どうやらあの男はディザスターでは無く貴様に果たし状を渡した様だ」

「…」

「だが!、この場に立つのならば戦う意思があるという事だな」

プレッシャーに危うく飲み込まれ掛けたが切り替えた慶次が自信ある表情で言い切る

「元からそのつもりさ!」

「良かろう」

そして2人は広場の中央DDTステージに向かい立つ

白のレンガの床にジークフリートが立つ事により殺風景なこの場所も神聖な場に感じられる。


向かい合う事で強敵だと分かる、そして

一般のプレイヤーではない事も…

さっきの男を試合もせずに消滅させた事は

普通じゃない事は確かだ

「雑魚に用はない、さっさと終わらせる」

向かい立つジークフリートが言い放つ

「そっくりそのままお返しするよ」

にたりと慶次が笑う

「さっきの力、パラパラの仲間か何か?」

「仲間ではない、だがゲインと言えばしっくりくるか」

「カードゲームでもよくあるよねライフゲインとか、で君は仲間でもなければ何を得するの」

「俺は強者と闘う為だけに存在する、

それが全てだ」


成る程、ディザスターさんへの果たし状に書いてあった通りって事か

「シンプルだね」

「元を正せば動機など全てが単純(シンプル)な世界だ」

ジークフリートが仮面越しから慶次を見据えデッキをステージ台にセットする

「確かにね、僕達は理屈だけで動く訳じゃない

理由は後付けだ」

慶次も同じくデッキをセット

ステージ全体が青く発光する!


「タイムクリスタルセットアップ」

ジークフリートが先行して発言するとステージサイドに巨大プレートが出現しクリスタルが出現する、そしてステージ台には縮小された物が現れる

「タイムクリスタル…セットアップ」

慶次が静かにセットアップを宣言する、胸の高鳴りを感じてこの緊張感すら楽しむ自分がいる、きっと表情はワクワクしている

「誰かさんが移っちゃったかな」。


辺り一帯に雰囲気ある遺跡のホログラムが出現し闘いが始る…!。


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