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カードバトル/ダブルディティー  作者: KIRIー
インターバル編 紫宴パート
17/91

共闘 総駕&紫宴

 大田、山代、松本3人の男達の試合の真っ只中だった。


 その頃、総駕と紫宴は6階まで巡回していた。

5階より上の階は壁も無く、だだっ広い空間が広がっているだけで残す階層は7階のみとなっていた。


「クソッ!人1人いない」

6階から7階へ続く階段を上る総駕と紫宴は残された可能性に賭ける。


7階に辿り着いた2人は驚愕する

「何も…ない」

「…この状況は…」

 立ち尽くす総駕と紫宴。


 紫宴は顎に手を当てるーー

「間違いなくこの場所で何かあったはずだ…

だが隠蔽されたか…事が済んだのか…」


「一体ここで何を…負けた人達は結局何処いるんだよッ!」

 総駕はレルとの会話で負けたプレイヤーの安全の保証を確認した為、此処にいるのではないかと期待していたが結局は振り出しに戻った事で精神的に来る物があった。


…それどころか今は黒服のプレイヤー化と、立ち入り禁止のこの施設内にいる状況がマイナスになっている。


「ともかく早く脱出しないとヤバい雰囲気だ」

総駕は紫宴に頷く


2人が広い部屋を進む、そしてフロア奥の非常階段のドアが開く、、

ギギギィィ

「⁉︎…」。


 扉から現れた水色の髪の女、黒服でも此処に共にきたプレイヤーでもない、異様な雰囲気に紫宴は警戒レベルを上げた。


 総駕はその人物を知っている、この世界で出会うのは3度目になる、レルを見て目を見開く

「レル…」

総駕の出したその名を聞いて紫宴はハッとする

「へぇ、じゃああれがパラパラの仲間か」

「ああ…」


「天流寺総駕!」

レルも総駕を見ると名を呼び続けて此方に向かいつつ総駕に問う。

「なぜ貴様が此処にいる!」


「此処には負けた人達がいたハズだ!

その人達はどうしたんだ!」


「質問に質問で返すか、だがそれが目的か」


レルは二人の手前で止まり忽ち緊迫した空気に変わる、そして紫宴が前に出る。


「それだけじゃないここに来れば地球に戻れるんじゃないかと思ったのさ、まっ見当違いだったみたいだけどね」

レルが紫宴の目をジッと見る

「お前は?」

「僕は桜紫咲紫宴、ここに乗り込もうと提案したのは僕で、総駕を含め他のプレイヤーとここに来た」

「相当の行動力があるな」。


紫宴が話し終えレルに総駕は再び興奮した様子で聞き出す

「ここには負けた人達がいたハズだ!今どうしてる!」

「知らんな」

総駕の質問にレルはシラを切るが紫宴はそれを許さない目でジンワリと言った

「僕はここに負けたプレイヤーが入ったのを見たのさ、バスに乗ってたろ?何台か走ってたのを付けて来たから分かってるよ」

紫宴の実力を見抜いたのかレルは答える

「ここにはもういない」

それを聞いて総駕が食ってかかる

「どういう事だよ!お前言ったじゃないか

負けた人達の安全は保証されてるって?

今どうしてるんだよ…」

総駕は以前のレルの言葉を完全に信じきった様子でまっすぐな目をしていた

「それは…」

レルは総駕の様子を見て言葉に詰まる、総駕の言葉がレルの胸に刺さる。


「言えないような状況って事か、ここでは敗北者に何か実験的な事をさせていたんじゃないのかな?」

 紫宴がレルを詰める、総駕は真意を知るべく返答を待つ…。

ー直後だった、後ろから手を叩く音が聞こえ出す。

パチッ!パチッ!


 カツン、カツンっと鳴るハイヒール、振り向くと総駕達が来た階段から、胸元が大きく開いたドレスに金髪縦ロールの外国人で絵に描いたような人物が現れた

「ハイハイそこまで男が寄って集って女の子に質問攻めなんかしてんじゃ無いよ」。


 紫宴は振り向くと機嫌の悪い顔をしながら金髪縦ロールの女、ドゥクスに向かって憎たらしく言い放った

「邪魔なんだけど、オバさん」


 紫宴のこの発言で何かの糸が切れた音が聞こえた

「アンタ!レディに向かって口の利き方がなってないわね!」

ドゥクスは頭に怒りマークをつけながら紫宴に向かって電子デッキホルダーを投げ渡す。


パシッ!

紫宴は右手で受け取ると察する、そして鋭い目つきで返す。

「戦えって事でいいの?」


「それ以外あるかしら?レルちゃんもそれで良いわね!」

ドゥクスは此方に近付きながら言った。


「ドゥクス勝手に話を進めるな」

金髪の女ドゥクスはレルの横に並ぶ

「元々侵入者を排除する予定だったんだし良いんじゃない」。


ドゥクスの話しぶりからレルの仲間と把握した紫宴はデッキホルダーにデッキをセットする

「アンタも仲間か…色々聞かせてもらえそうだね!」


ドゥクスは自信ある表情で言い切る

「あんた達はココで負けるわよ」。


「あ、それと2対2でやればラクに終わるんじゃ無いかしら?」

レルにドゥクスはアイコンタクトをとるとレルは仕方ないと言った様子で応じる

「天流寺総駕、貴様を今度こそ倒す」。


総駕は躊躇したが覚悟を決める

「俺にはお前が悪い奴には思えない、けど戦うしかないんだな…」。


デッキホルダーを構えた総駕を紫宴はチラリと見る

「総駕やるよ聞きたい事も生き残るにも戦うしか無いみたいだ」

紫宴に総駕は頷く

(レルとは話せば分かる気がする、けど今は戦うしか無い…)。


「準備は出来たみたいだな!」

ドゥクスが確認をとる、総駕と紫宴は一度顔を見合わせる。

そしてレル&ドゥクス、総駕&紫宴はだだっ広い最上階のこの空間で広がり対峙する。


 レルと総駕が目を合わせドゥクスが紫宴を睨み紫宴は余裕すら感じさせ表情一つ変えない。

 その余裕ある表情と紫宴の実力には安心感すら感じるが、レルの実力も確かでドゥクスと言う女も同等の実力者に思える。

 更にドゥクスは自らダブルスでの試合を提案した上レルとは親しい様子だった事も驚異的かも知れない…


「行くわよ!レルちゃん」

ドゥクスがレルにウィンクをするとレルは無表情のままプイッと正面を向く、それと同時にレルとドゥクスが言い放つ

『「タイムクリスタルセットアップ」』。


「僕達も行くよ」

「ああ!」

紫宴に合わせ総駕もデッキホルダーに手を合わす、そして同時にデッキホルダーを叩く

『「タイムクリスタルセットアップ‼︎」』

4人の頭上に巨大なクリスタルが対面する相手に向かって展開される!。

--ホルダーが青く光りカードが光りに包まれ其々のプレイヤーの元へ展開される!。


勢いよくカードを取り手札を構えた紫宴が呟く

「驚いた確かに凄い演出だ」。


4人のプレイヤーが叫ぶ

「「「「サバイブ‼︎」」」」

サバイブの掛け声と共に試合が始まる‼︎…。


「先行は譲ろう」

総駕の対面に立つレルが静かに言った

「なら僕から行かせてもらうよ」

先攻は紫宴になり手札から勢い良くカードをクリスタルに投げる

「僕はタイムクリスタルゾーンにセット終了だ」

紫宴の投げたカードがクリスタルを輝かせるとターンが切り替わる。


 4人での戦いは其々の持ち点のタイムクリスタルが12ずつになっており、フィールドには計48のタイムクリスタルが展開されているのだった。


「私のターン!」

高い声が広い空間に響く、交互に敵味方とターンを繰り返す為ドゥクスにターンが回る

「一応ルールを言っておくと基本的な部分は変わらない、ただ一つ違うとすればこのダブルスでは味方以外のプレイヤーを自由にアタック出来ると言うところかしら」

ドゥクスは説明を終えると手札からカードを一枚クリスタルに投げる。


「なるほどね」

紫宴は大方理解していた為其れ程の驚きは無く、総駕はゴクリと息を飲む。


「つまりチームワークが勝敗を分けるって事よ!まぁ私達のコンビネーションは抜群!ねぇレルちゃん、おーほほほ」

高々しい笑い声を響かせドゥクスはターンを終了し、レルはやれやれと言った様子で頭に手を当てた。


「俺もタイムクリスタルにカードをセットして終わりだ」

総駕も第一ターンは特に動かずターンを終える。


4人目のレルに手番が切り替わる

「私のターン ドローカードをセットし更にタイムスペル

クロックブースト!」

手札を破棄し捨てたカードをオープンアップ

「これでターンを終了だ」


 第二ターンに回ると紫宴、ドゥクス、総駕はタイムクリスタルを一つ増やし開放値が其々2つになりターンを終了した。


 第二ターンの4人目レルにターンが移る。

レルはタイムスペルを使い、クリスタルの開放値が他のプレイヤーより優位にある事で動きに出る。


「私はこのターンクリスタルの開放値が3つ

よってコスト3モンスターを呼び出せる

来いパラダイムシフトワーム」


パラダイムシフトワームが場に現れ総駕の戦いの記憶が呼び覚まされる

「来たか、、パラダイムシフトワーム…」。


「早速モンスターを出して来たか、けどこっちも次のターンで開放値が3になる焦る事は無いよ」

総駕が警戒する中、紫宴は至って平常だったが

総駕は次のターンを想像して思考していた


「だけどパラダイムシフトワームから次のターン来るサイレントノイズとのコンボでクリスタルを一気に削られる可能性がある」。


 恐らく、次のターンレルはコスト4でサイレントノイズを呼び出して来る可能性が高い…となれば此方が呼び出したコスト3モンスターはエフェクトでトラッシュに行く。

、、前回と同じ轍を踏む事に成り得る…。


サイレントノイズ

パワー1200/コスト4

能力:登場時自分の場に他にモンスターがいないなら相手のコスト3モンスターをトラッシュに置く。


総駕の考えを汲み取った紫宴は思考を纏める

「つまりコスト3モンスターよりコスト4を出した方が良くて、あのパラダイムシフトワームも邪魔か」。


「ああ…」


「害虫駆除なら任せてよ」

 紫宴は手札のカードに手を添えた。

直後レルからのアタック宣言

「行けっパラダイムシフトワーム天流寺総駕にアタックだ!」

キィィィ

パラダイムシフトワームが口を開け体を伸縮しクリスタルに飛び掛る!。

 ちらりと総駕が紫宴を見るが、アタック先が総駕と聞いた紫宴は手札に添えていた手をそっと放した…。


身構えた総駕のクリスタルが一つ破壊される

「ック」

「すまない」

ダメージを受けた総駕に硬い表情で簡単に謝る紫宴。


「必要な盤面を見極めて使おうと思ってね」

「良いって」

総駕は気にした様子はなく'紫宴の事だこの先を見据えた采配'なのだろうと思っているが、その思いとは裏腹に、其処には紫宴の思想がありニヤリと笑う。


 ー悪いね総駕、僕の手札には確かにアタックを無効にするカードがあった、でも使わなかった…これは僕の為に使う…僕が生き残る為にね。

…結局、君は僕の役に立つつもりは無いんだ、期待ハズレの君を守る価値は無い…。


「私はパラダイムシフトワームをディメンションゾーンに移動しターンを終了だ」

レルのアタックとターンが終了する。 


 試合は第3ターンへ移る、チームで有りながらも紫宴の心が離れている事を知らない総駕。

--ダブルスでのチームワークの重要性に波紋を生む紫宴、戦いは揺れ動く…。


・・・・・


ターンは3巡目、ついに動き出す紫宴。

「僕のターンだ、タイムクリスタルを一つ開放

そしてサモン!パープルアーチャー」


「ッ⁉︎」

紫宴のサモンは総駕には意外だった、なぜならこのターン出されたモンスターのコストは3、次のターン能力で除去される可能性が高い!


 しかし、そんな事は当然踏まえた動きだ紫宴はチラリと横目で総駕を見た。

 次のターン、レルのサイレントノイズでコスト3は除去されるのかも知れない、だけどそれは君のカードだよ総駕。

 見たところレルは僕より君を警戒してる、まぁそれも当然だろう一度敗北を経験させられた相手だ、…だから僕は安心してコスト3を出せる。


「行け、パープルアーチャー

縦ロールのオバさんにアタックだ」

紫宴はドゥクスにプレイヤーアタックを宣言する、紫宴のその太々しい態度はドゥクスの神経を逆なでするようで怒りを滾らせる。


「キッ!アンタッ覚えてなっさい!」

「おー怖い怖い。フッ」

ドゥクスは紫宴に睨みを効かせるが紫宴は動じずに鼻で笑う。


紫宴にはこのダブルスでの試合の流れ、先の展開が見えていた。


 現状レルは総駕に、僕はドゥクスと戦い、恐らく今の挑発で彼女は僕に攻めに来る。

 つまり対面同士の戦いだ、そして一番最後にターンが回るレルより僕の次の手番のドゥクスを先に沈めた方が試合は有利に運ぶ。

一番最初にドゥクスが脱落し2ターン続けて僕達側のターン、となれば残るレルも倒すのも難しくはない。


紫宴のターンが終了し、ドゥクスにターンが回る。


ドゥクス タイムクリスタル12➡️残り10へ。


「私のターンだ!…現在、奴の場にはパープルアーチャーが1体。天流寺の場はガラ空き、だが、やられたままでは終われない」


パープルアーチャー

コスト3/パワー500


ドゥクスは対面する2人の場を見て最善手を選ぶ。

「カードをセットし、タイムクリスタルの開放値は3つ!出でよ!カロチノイドコブラ。」

 ドゥクスの呼び出した、カロチノイドコブラは派手な柄の蛇で口を開け、その牙からは毒液を涎の様に垂らしている。


「覚悟しろ!コブラで貴様にアタックだ!」

 ドゥクスは紫宴を指差しカロチノイドコブラにアタックを命ずる。コブラは床を滑りながらパープルアーチャーに接近…!。

「やはり来たか」

ここは紫宴の読み通りの展開、コブラがアーチャーに食らいつく!。


カロチノイドコブラ

パワー500vsパワー500

パープルアーチャー。


 パワーは同じで、パープルアーチャーが紫色の魔弾を放つがコブラに交わされ、直後にその毒牙がパープルアーチャーを引き裂く!

だが…!場に残るはカロチノイドコブラのみ。


「ん?」

 思わず首を傾げる紫宴、同じパワーで戦闘を行えば互いのモンスターは破壊されクリスタルが1つずつ削られるが今回は、紫宴のクリスタルの変動は無い上相手のモンスターは健在だ。


そこでドゥクスが満足気な表情をする

「今更気がついても遅い!カロチノイドコブラのエフェクトだ

同コストに同パワーでの戦闘では、こいつは破壊されない。その代わりその戦闘ではタイムクリスタルは破壊出来ないがな。

しかも、こいつはコスト4と戦う際、自身のタイムクリスタルを1つ砕けば破壊を免れる!」。


「へえ…」

 紫宴は然程驚きはせずにいた。

ドゥクスはターンを終了する、そして総駕にターンが移るが勢いがなかった。


 ー長考…次のターン、レルは俺がコスト3を出しても効果で除去してくる、その為にコスト4を出せば今度はカロチノイドコブラが倒せない…。


 それを横目で見る紫宴…。


 君はコスト4を出すハズだ、サイレントノイズを恐れてね。

そしてカロチノイドコブラとの戦いを避け、がら空きの場のレルにアタックする。

今の状況は一対一だし死への恐怖がある、自分を守る為それが普通だ。


 一手間違えれば一気にタイムクリスタルが削られ、命の危機に晒されるかも知れないが総駕は動く!


「タイムクリスタルの開放値を3に、更に!タイムスペル、クロックブースト。これによりカードを一枚オープンセットする!」

総駕 TC(タイムクリスタル)残り11/ 開放値4。


 これを見た紫宴は淀んだ目をする。

やっぱりそうだ、人は追い詰められ、選択を迫られれば自分を守る生き物だ。

幾ら綺麗事を並べても、結局は総駕、君も同じなんだ。


「行くぜ!サモン、スペードルフィンスリー」

「⁉︎」

表情には出さなかったが総駕の行動に驚く。


「行け!ドルフィンでカロチノイドコブラにアタックだ!」

総駕のサモンとドゥクスへのアタックは紫宴の心を確かに揺らす!

総駕はここでコスト3を出せば次のターン、エフェクトで処理をされた上ダイレクトダメージを負う可能性がある!。

だがドゥクスにアタックした…対面のレルは君は狙う、なのに

君は一度食らったコンボを恐れないのか⁉︎。



スペードルフィンスリー

パワー1000vsパワー500

カロチノイドコブラ


「チィっ」

ドゥクスのタイムクリスタルが戦闘によって減少、残り9へ

タイムクリスタルの減少とコブラを破壊を確認し総駕はバトルを終了し宣言する

「ターン終了だ!」。


「何でコスト4を出さずにドルフィンを?

君は一度食らったコンボを恐れないのか?」。

紫宴は理解できないと難しい顔をする。

総駕は清々しい表情をしながら前を見据えて言った

「恐怖心はあったけど、だって、仲間だろ。」

その言葉に一瞬、紫宴はハッとする

「‼︎」

 総駕は確かにタイムクリスタルの減少を恐れていた、コスト4を出してレルにアタックする事が最善手だった。

 それでは紫宴が次のターン順当に行けばコスト4を出す為、結局カロチノイドコブラは倒せなかった、自分の中の恐怖と思考を蹴って、総駕は気持ちで動いた!

 

 結果的に都合のいい状況になった紫宴だったが予想がハズレ、期待に沿わなかった総駕が予想外な予想以上の行動をした為、心が揺れる…それは自分は完全に総駕を裏切ったが純粋なまでに総駕は紫宴を信じているからだ、だが完全には人を信じきれない自身の心。


第3ターン、4番手レルにターンは移る。

「私のターン!」

 引いたカードを確認するレル、そこから何かを確信した表情をする。

溢れ出る、凍えるようなオーラ…対面する総駕はまさかと思った、、。

「この感じ、まさか、来るのか⁉︎」

前回レルと戦い、その際に感じた事がある…

全身がピリピリするような、この感覚ッ‼︎。


「このターンタイムクリスタルは4まで開放!

更に、このターンタイムスペルを二枚発動する!」

レルはタイムクリスタルに一枚カードを投げクリスタルを点灯させた後、手札からカードを二枚見せつける。


「タイムスペルの連続使用!」

総駕は確信する、ディメンションモンスターの鼓動を!

「まずは一枚目、タイムスペル!

クロックブースト!発動コストとしミストゲートをトラッシュへ」

レルの発動した2度目のクロックブースト、それによりミストゲートがタイムクリスタルゾーンに表向きでセットされ開放値が5。

ーークリスタルが輝きを放つ。


「そして、2枚目のタイムスペル魔法石の結晶、手札からサイレントノイズを捨てデッキからカードを手札へ…私が加えるのは当然、二枚目のゲートミストゲート‼︎」


『「‼︎」』

紫宴と総駕は手際よく集められたゲート、そして第3ターンにして最速のディメンションサモンに身構える!

「どうやらコスト4じゃ済まないようだ」。


「サモン、ミストゲート!」

 レルによってミストゲートが場に呼び出されると、タイムクリスタルゾーンと場の二枚目のミストゲートが時空の歪みを作り出す、凍える風が歪みに吸い寄せられて行く。


「くっ!」

総駕の足元を風が吹き抜ける。


心なしか凄まじいエネルギーを感じる

「スペシャルディメンションサモン!

誰にも囚われぬ神秘の蝶、ミストバタフライ」。


「サイレントノイズのコンボをやめて手札を使い切ってまでの、ディメンションサモンか」

総駕はレルの手元に目を向けるとレルは全ての札を使い切っていた。


 レルは一度攻略されたミストバタフライに信頼を預けてる訳では無さそうだが何故だかこの最速のディメンションサモンは自身すら感じる…!総駕の頬を汗が伝う。


「何故手札を使い切ったか、まだわからない様だな…フフ」

不敵に笑うレル。

 紫宴は対面する2人の意図に気がつくが内心で留め、レルとドゥクスを見る。

ー成る程、レルは攻めに徹っする前衛、もう一方のドゥクスは札を温存して後衛に回るってプランか…。


レルのアタック宣言がフィールドに響く!

「行けっ!ミストバタフライ、スペードルフィンにアタック、

そしてバトル時パラダイムシフトワームが帰還する」


プォォォ!

ミストバタフライが霧状に姿を変え、総駕のスペードルフィンスリーを襲う!


「ウァアアッ」

総駕のクリスタルが砕けタイムクリスタルが減少する

「まだだ、パラダイムシフトワーム天流寺総駕にアタック!」。


「うおッ!」

 タイムクリスタルが更に減少し、衝撃が伝わり後方へ吹き飛ぶ総駕、そのアタックは衝撃を産みエネルギーの強さが感じられる。


「っく」

倒れた総駕は立ち上がる。


総駕 TC(タイムクリスタル) 残り9。


「ミストバタフライのエフェクトでカードをドロー、ターン終了」。


第4ターン、紫宴にターンが移る。

 ミストバタフライは手札増強能力か、更にディメンションソウルを取り除き戦闘回避。

厄介だが結局やる事は一つだ、僕はドゥクスにアタックを仕掛ける。


「僕はタイムクリスタルの力を4まで開放、そしてタイムスペル、パープルチャージを使う、これにより手札のパープルカードを追加でチャージ出来る、これでタイムクリスタルの開放値は5だ」。


 紫宴の発動したパープルチャージによって公開されたパープルカードが光りエフェクトを見せる

「更に、チャージされたパープルヘムロックは効果でチャージされた時、手札のパープルカードを一枚捨てて二枚ドローする!」

紫宴はデッキホルダーに手を当てドローする。


 「さっきからずっと感じてるんだ、君を!…。」

カードを包む紫のオーラと眼光が流れる!ーー

ー揺らめく紫の眼光、引いたカードを見て瞳孔が開く!。


…やはり来たか


「サモン!HELHEIM(ヘル)δp(ドラ)άκωv(ゴン)


『「なにっ!」』

レルとドゥクスはヘルドラゴンを見据え驚きを露わにする…。


「あれが、ヘルドラゴン…」

総駕は味方でありながらもヘルドラゴンに怖さすら感じる。


 外骨格を覆う骨が剥き出しの身体、紫色の揺らめく淡い炎が竜の周りを漂い、鋭い牙を覗かせる口からは紫の陽炎が漂う…。


「まさか、貴様がそれを持つとはな!」


「レルちゃん!」


「分かっている!」


『「こいつから潰す‼︎」』

ドゥクスとレルは力強い目で紫宴を見据える。


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