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カードバトル/ダブルディティー  作者: KIRIー
Iステージ編
11/91

激動と激情 turn2

 大会会場では第二回戦の準備が進んでいた、そんな中試合を終えた紫宴を総駕は見つける

「紫宴!勝ったんだな」。


 レルとの試合で思う事は色々と有ったが今は紫宴の無事に素直に安堵している。

「ああ、でも見てたんじゃ無かったのかい?」

紫宴の質問に総駕は申し訳無さそうな顔し事情を話す

「それが…」。


 総駕はレルと戦った事、パラパラと関係している事、消えたプレイヤーとこのDDTの謎について簡潔に話したーー

ー-聞き終えた紫宴は難しい顔をした。

「なるほど、戦う度何が起きてるか目的は何か分からない…

そして消えたプレイヤーはそのレルも実際ハッキリ分かってないのか」

「ああ…」。


 不安を抱く総駕に紫宴はいつも通りの調子で話す

「まさか関係者を倒すとは流石だよ総駕」

それを聞いた総駕は何かを思い出し明るさを見せる

「紫宴から貰ったカードのお陰だありがとう」

「それは良かった」

にこやかに紫宴が笑うと、やり取りを見ていた通りすがる周囲のプレイヤーからの視線が刺さる。


「…⁇」

 総駕は数名の視線が此方に向いている事に気が付き疑問を浮かべる。

少しして、周囲のプレイヤーが此方を見ながら呟く内容は紫宴についての事だと気がつく

「紫宴…お前さっきの一回戦で何か有ったのか⁉︎」

紫宴は少し間を開け何かを考えてから話し出す

「…さっきの試合で僕の戦い方が手馴れていたから皆んな驚いているんじゃないかな?偶々昨日やったフリーで試したコンボが上手く決まったんだ」

「そうなのか…」

--紫宴は普通に戦っただけの様だが……でもそれにしては何だこの違和感は?…--。



 総駕が疑問を浮かべるのは周囲のプレイヤーの呟きの中に有った

「さっきの紫の奴…彼奴ッ経験者だ」

「あんなのと当たらなくて良かった」

試合を見ていたであろう者たちは此方を見て酷く怯えていた。


「…そう言えばこの大会は一回戦を勝てばセカンドステージには進めるらしい、皆んな次の試合からは気楽になるんじゃないかな」


「本当か!」

ーー紫宴を見て口々に呟いたプレイヤーも一回戦は初戦で特に神経質になっていたのかもしれ無い…一回戦で勝ったプレイヤーはセカンドステージの突破条件をクリアした事になるから、次の試合からは優勝賞品目当ての熾烈な戦いになるのだろう。


「お、そろそろ始まるかな」

 紫宴がタブレットのバイブレーションに気づき、画面を見ると同時に会場全域に設置されたスピーカーから放送が流れ始める。


「只今より第二回戦を開始致します、ご参加の皆様はタブレットに受信された場所に速やかにご移動して下さい。

尚、一回戦を勝ち上がった方はファーストステージの突破条件をクリアしておりますのでドロップも可能になります。。繰り返します…」   


ドロップ--

--放送を聴いたプレイヤーが一斉に流れ始める。


「じゃあ行ってくるよ」

「ああ賞品取れるといいな」

 紫宴は背を向け最後の言葉を聞くと殺気だった表情し指定された場所へ向かって歩き出す。

総駕は二階の観戦スペースへ今度こそ足を運ぶ。


 二回戦からは一回戦と違って負ける事は考えなくていい…。

その違いは、消極的に成らずに攻めに出たり本来の動きが出来て精神的に大きな余裕が生まれる…更に賞品に対する欲。

…ここからは経験者同士の対決になる。


 俺も2戦したけど正直負けた時の事を考え震えた…。

けど、今からの試合は圧倒的に違うハズだ。

総駕は紫宴の試合が見える位置から見物する事にした、実際に試合をする訳では無いが緊張感がある。


そして、先程の他プレイヤーからの視線と呟きに会場に着いてからの紫宴の違和感も僅かずつだが心に謎を生む。


 二回戦の準備が整い、会場にプレイヤーが広がっている。

DDTステージは外に配備されているステージよりも大きさは6分の1程度に抑えられている。

会場のホールは幾つかある様だがゲーム時にクリスタルが展開された後や会場に集まるプレイヤーを考慮しての物だろう。


 総駕が見守る中ついに二回戦が始まる!

全プレイヤーの掛け声が会場を揺らす! 


『「タイムクリスタルセットアップ」』


 セットアップの掛け声と同時に、全プレイヤーの左手にあるクリスタルゾーンの、カードセットゾーンのプレートの上に縮小されたクリスタルが展開される。


普段ならプレイヤーの上部には巨大なクリスタルが展開されるがステージを狭めて演出を制限している事が分かる。


 紫宴の相手は金色の短髪の男、高田、先行は高田のターンからで動きは無く終了する。


第2ターン

「俺はタイムクリスタルにカードをセットして終了だ!」

後攻の紫宴にターンが回るとゆっくりとその手を進める。

「僕のターンか…うーんどうしょうか…一枚クリスタルにセットしてタイムスペルカード、ソニックタイムを使おうか」


ソニックタイム

《タイムスペル》

能力タイムカウンター2つを取り除く

手札を二枚タイムクリスタルゾーンにセットする。

紫宴:手札7➡️4

「コレとコレを伏せようか…ソニックタイムを使うとサモンでき無いないんだったね、ターンを終了」

紫宴は手札をなぞりながらセットしターンを終了した。


第3ターン

「ッチ出すもんねーならさっさとターン終了しやがれよな!まっ良いけどなぁ」

相手の高田は苛立ちながらカードを引く

「カードセット!サモンだ

プロダクションタイプ!」

 カードの上に小さくホログラムで場に呼び出されたモンスターはメカニックなボディに着用している武器はレーザーガンのみとシンプルなデザインだった。

モンスターもクリスタル同様にこの大会では大きさも抑えられて居る様だ。


プロダクションタイプ

コスト3/パワー500

能力:無し


 紫宴は高田の出したモンスターを見るや少しバカにした態度を見せる

「へぇー雑兵か」。


高田はそれを聞いて苛立つかと思いきや笑い出す

「あぁ?雑兵だとハッ!そらテメェだろーー」

「ーーTC(タイムクリスタル)を良く見てみろ

さっきテメェがセットしたのは11と12だ」

 高田に指摘された紫宴はクリスタルゾーンを見ると口をポカンと開けて声を出す

「あっ、、」。


 上から見ていた総駕もそれに気が付く

「紫宴の奴なんで数字の大きい方からセットしたんだ…⁉︎

これじゃクリスタルが壊されたら手札を2…いやスペルを合わせて3枚分もムダだ!」


 一回戦はリスクで途轍もないプレッシャーもある、だから緊張感もあって命懸けともなければ今までにないくらい集中する

そんな試合の後の連戦で集中力と緊張の糸が解けたのか⁉︎…。


高田は紫宴を煽り返す

「バカな奴だ考え込んだ癖に手札をドブに捨てるとはな!

行けップロダクションタイプ!ーーレーザーショットガン」

 高田の指示により、プロダクションタイプは腰元からレーザーガンを抜き、クリスタルに焦点を合わせ同時に2つ射抜く!


バキンッ!バキンッ!

紫宴

タイムクリスタル12➡️残り10。


クリスタルが割れた後にも関わらず鼻で笑う紫宴

「フッやっぱり雑兵だね」。


「ハッ?何言ってんだ」

「良く見てみなよ…」

ニタァと紫宴が笑うと高田はクリスタルをみて顔を引き攣り直後プロダクションタイプが破壊される⁉︎

「ッ⁉︎…ウソだろ」。


高田 TC(タイムクリスタル)12➡️11

「どうなってる!」

訳の分から無い状況に戸惑う高田。


「僕はタイムクリスタルゾーンにセットし破壊されたモンスターのエフェクトを使ったのさ!」


「⁉︎」


「たった今ドロップへ送られたパープルスピリットはタイムクリスタルゾーンで破壊された時エフェクトが発動、相手の場のコスト3を破壊出来るんだよ!」


パープルスピリット

コスト3/パワー300

このカードはタイムクリスタルは1つしか破壊でき無い。

タイムクリスタルゾーンで破壊された時相手の場のコスト3を破壊できる。


「…そういう事か、だが!お前はそれでも手札を一枚無駄にしている!」


 観戦していた総駕も高田に頷く

あの男の言う事も最もだ…今ので相手のモンスターを破壊出来ても1:1交換にしかなって無い上もう1つ破壊されたクリスタルにもカードは伏せられていた…。


紫宴の表情は高田をまるで見下していた

「それも大丈夫だよ、考えてた雰囲気出てたろ?」

今の紫宴の発言に思わず言葉を失う

「なっ…」

「パープルスピリットと同時に破壊されたカードがもう一枚ある!コイツのエフェクトを使う。さぁ開花しろ!」

紫宴は人差し指と中指で挟んだカードを見せる

そのカードの名はパープルブルーミング


パープルブルーミング

コスト4/パワー600

能力:このカードがタイムクリスタルゾーンで破壊された時、同時に他のパープルカードが破壊されこのターン、パープルモンスターの能力を他に使っていたならそのカードをタイムクリスタルゾーンに表でセットし更に一枚カードを引く。


「これで僕はカードを一枚引いて、さっき破壊されたパープルスピリットをセットするよ」

紫宴の無駄の無いプレイングに高田は動揺を隠せ無い

「アッ…⁉︎」

こんなの…1回2回プレイした動きじゃねぇッ何なんだ⁉︎ーー

惚けた奴かと思ったら途轍もなく強い…!。


観戦スペースから見ていた総駕も今の動きで紫宴に疑念を抱く事となる

「あの動き、俺との昨日のフリーでは見なかった。それにパープルモンスターも使っていなかった、あの時使っていた紫宴のカードは一度戦った事のあるdangerousシリーズだった…」


第3ターンの紫宴のターンへ移る。

紫宴:手札6枚へ

「クリスタルにカードセット…これでクリスタルの解放値は4だ今度はちゃーんと、3番4番と順番通りだ。さぁ行くよ、パープルブレイカーをサモン‼︎」

紫の西洋の鎧の騎士のホログラムが場に現れる


パープルブレイカー

コスト4/パワー1300

能力:TCZ(タイムクリスタルゾーン)に表のパープルカードがあるなら、このカードがクリスタルを破壊した時バトル後このカードをタイムクリスタルゾーンにセットし次の相手のターンコスト5以下のモンスターはアタックでき無い。


(また!パープルモンスター⁉︎

ここまで来るとハッキリするのは昨日とデッキが違う!…デッキ調整をしたかったんじゃ無かったのか⁉︎そうなってくると、あの時他のプレイヤーが呟いた言葉通り経験者なのか⁉︎…)


 紫宴のカードの馴れた手つき 会場で見せた鋭い雰囲気、

プレイヤーの怯えた視線この試合が総駕の中で繋がって行く



「行けパープルブレイカー!」

パープルブレイカーの一戦がクリスタルを2つ破壊する!

バキンッ!バキン‼︎

高田

タイムクリスタル11➡️残り9へ

「ッく、ゥッ」

更に追い討ちを浴びせるエフェクトが発揮される!

「パープルブレイカーのエフェクト‼︎

このカードをクリスタルにセットし君は次のターンコスト5以下で攻撃はでき無い!」

「何ッ‼︎」


ここまでのプレイが総駕の中で疑念を更に膨らませる事となる。

(此処までの動きに無駄も隙も無い、

そしてそれは経験してると裏付けられる…

お前は、何を考えて俺にカードを託した…

そして紫宴…お前は一体何者なんだ⁉︎…。)


・・・・・


総駕が見守る中、高田と紫宴の戦いは第4ターンへ進むが、ここからは見ている側からしても

一方的な展開だった…


高田の第4ターン目は紫宴のパープルブレイカーによって攻撃を封じられコスト4を出し終了する。


そして後攻紫宴へターンが回る…


「コスト6のゲートカードをセットアップ!

更にサモン!同じくコスト6のゲート

パープルデーモン!さっ行くよ

スペシャルディメンションサモン‼︎」


タイムクリスタルゾーンとフィールドのパープルデーモンが重なり姿を表すのは紫の威光を纏い玉座に座る、ディメンションモンスター…


アブ・ラハム

コスト6/パワー2700


「アタックだ!アブ・ラハム…

パープルディメンションバニッシュ!」

アタック宣言をしたアブ・ラハムは相手のモンスターを破壊しディメンションゾーンに送ってしまう。


 ターンが終了し第5ターン目の高田のターンに回る、高田も負けじとディメンションモンスター、プロダクションタイプver.フルアーマーを呼び出すがパワー2500とアブ・ラハムの攻撃力には届かない…。

プロダクションタイプver.フルアーマー

コスト5/パワー2500

《ディメンションモンスター》

能力:無し


「タイムスペル発動!」

 高田はフルアーマーのパワーをタイムスペルで自ターン終了まで300上げ、アブ・ラハムを上回るが、紫宴のタイムスペルでカウンターに合い、フルアーマのディメンションソウルと自身の気力も奪われターンを終了する。


高田 TC(タイムクリスタル)現在7

紫宴 TC(タイムクリスタル)10


その後も一方的なゲームは第5ターンの紫宴のターンに回り優位は変わらず第6ターンで勝負が決まる…。


 決着した瞬間、総駕は居ても立っても居られず紫宴の元へ走り出す。

頭の中を疑念が覆い尽くし、胸の中はモヤモヤする。

気持ちが悪くなるような感覚を一刻も早く吐き出したい。


「ハァッ!ハァッ!」


勝負に敗れた高田は圧倒的な戦力差に両膝をつき戦慄していた…

「あっ…あぁ…どうなってる⁉︎

安定した構築にプレイだったハズ⁉︎」。


跪く高田を紫宴は見下ろしながら言った

「そんなんじゃ次のステージ行ったら即死だね…

ーー普通すぎるよ君は」


ーーその言葉を聞き血相を変え青ざめた顔をする高田。

 紫宴は天井を見上げるように話を続ける

「力なき者は一瞬で何もかも奪われる…

ここから先人数は多い方が良いな、どうかなこの僕に力を貸す気は無いか?」


「…どういう事だ」


「そう身構えなくて良い、タダとは言わ無いし君に新しいディメンションモンスターとカードも上げよう

その代わりに戦う時になったら僕に力を貸すと言う条件だ」。


「ッ…‼︎、ディメンションモンスターは一人のプレイヤーに一枚配布される程度なハズだ、、それに余のカードが有るなんてお前…複数人倒した上に此処に来たのか…」。


「そうだけど?…まぁ、もちろんこの先戦う機会が増えるのは君にとってリスキーだ、けどこの先の事を想定したら…?」


 奴の言う通りかも知れない、今の俺の戦力じゃ次のステージに進んだとしても俺の命は細い…なら太く生きれる選択肢を選ぶべきだ…。


決意を決めた高田は立ち上がる

「その条件飲ませてくれ」

「交渉成立だね、じゃタブレットを出して」。


 紫宴はタブレットを取り出し高田の番号を登録しようとする、そんな中勢い良く走って姿を現した人物がいた

「紫宴!」

面識のある二人を見て驚く高田

「知り合いか⁉︎」

そして紫宴は自分の名前を呼んだ人物へ顔を向け確認すると細く微笑む

「やぁ、総駕…彼は友達だ」。


「お前には聞きたい事がある…!友達かどうかもそれからだ」

 険しい表情をする総駕に答える為に紫宴は高田の番号を登録し終え言った

「後で連絡する、君はもう行って平気だ…」

「あ、ああ」

高田はタブレットをポケットに入れその場を急ぎ気味で立ち去る。


少しの間が空き紫宴はいつもの雰囲気で応じる

「…さて、何から聞きたいのかな」


その様子からか興奮していた気持ちを落ち付かせ総駕が聞き始める

「さっきの戦い見させて貰ったよ、今使っていたデッキは俺と対戦した時と違うデッキだった、まずはこれがどういう事なのかが知りたい…」


「これが本当の僕のデッキだよ」

その言葉で抑えていた感情が少し溢れる

「なにッ!…じゃあ昨日のデッキ調整って言うのは!」

紫宴は俯き静かに言った

「…嘘だよ…」

紫宴の目的、此処までの意図が分からずに困惑する総駕…

「っ…何の為に」

「君を試す為だ」

「どういう事だよ!」


「分かった、、君が僕の事を本気で友達だと思ってくれていたのもこの反応で確認出来たから…」


「本気で友達だと仲間だと思ったよ!

お前は違うのか!試すとか確認とか一体お前、何考えてるんだよッ!」


紫宴は切ない表情をした

「実は僕は君の初めて戦っていた所を偶々見ていた」

「⁉︎」

「カードを変えた力が凄いと思ったよ、ただそれだけじゃない、僕が君に目を付けたのは!

君のその真っ直ぐさ、その力が僕には必要なんだ!」

「……」

「でも本当に純粋かどうか、僕は正直疑い深い部分がある、元々じゃない…疑い深くなってしまったんだ…それで君と初めて接触した時デッキ調整と言う口実で君が初めて対戦した時と同じdangerousシリーズのカードを使ったんだ」

「‼︎」

「もし僕が対戦を隠れて見ているのを君が気付いていたなら何かしら反応があるんじゃないかと思ってね、もっと言えば部屋に入ってからカードの入ったバッグを物色もしなかった、そしてあの大量のカードを見た時の反応も一回対戦しただけだと確信出来る」


「あのカードは他のプレイヤーから奪ったのかッ‼︎黒服から集めたってのも嘘か?」


「ああ、殆どが40枚程度しか配られず上限は50枚位だったかな、同じ黒服からカードは貰えないからあんなに集まるわけ無いだろ…」


「お前一体どれだけの人をっ‼︎」


「僕には倒したい人間が居るんだよ

この世界で…如何してもね…」


恐ろしいまでに憎しみを浮かべた顔をする

紫宴、彼のやって来た行為を感じた総駕は否定的な許し難い気持ちを確信する。


「それでもお前がやった事は許されるような事じゃない!一度以上勝ってるお前はこの大会に出る必要が無かった!お前が出なければ一回戦の相手は次のステージに進めたんだ!」


「そうかもね、だけどこの大会の賞品になるカードは絶対に比べ物にならない位強力な力を持つハズだ!」


「そんな事で他の人を!」


総駕の今の言葉が紫宴を感情的にさせる!

「キミに何がわかるッ!力が無ければ全てを失うんだ…僕には!取り戻さなくちゃ行けない人が居るんだッ‼︎全てを引き換えにしても‼︎その為なら僕の命だって惜しくない!」


「取り戻さなくちゃ行けない人⁉︎…」

(紫宴は誰かと来てその人は敗れてしまった、だからその人を取り戻す為パラパラを倒そうとしているって事か⁇)

息を整えて紫宴は続ける

「ッ…少し感情的になった…この世界でその人はまだ生きている、恐らく」


「⁉︎」

(この世界、パラパラは関係ないのか⁉︎)


冷静になった紫宴は落ち着いた様子で質問をする。

「総駕、君はこの世界に来た時の事を覚えてるか?」


その質問に総駕は思考を巡らせ考える

(この世界についての謎ばかり考えていたが

こっちに来る直前…、思い出しもしなかった…)


「そう言えば…家で寝てたのが向こうでの最後だった気がする」


「そうか…僕は覚えてるよ、光に包まれてこの世界に来た事を」


総駕は重要な時に寝ていた事をこの世界に来て2度目の後悔した、その結果この世界で目覚めるまでの記憶が無く紫宴は覚えていた。


「この世界にくる直前のあの日、僕はある男の元へ向っていた…その男の名は…」

紫宴の口にした男の名を聞いた瞬間に背筋がゾッとし鳥肌が立った…それは元の世界 地球に居たら誰しもが一度は聞いた事のある名前だった

友愛団体、又は秘密結社、そして…

又ある人はカルト教団とも呼ぶ、その創設者にして頂点に立つ男

光郷院翼(こうごういんつばさ)‼︎」

この世界でその名を聴くとは信じ難く震えた

「光郷院ッ…⁉︎」

「君の知ってるあの!光郷院だ…

あいつの作った団体に入団する為僕はやっとの思いでその日奴の元へ向った…」

憎しみを目に写す紫宴に総駕は恐る恐る聞いた

「何の為に」


「奴を殺す為にね」


「殺すって…お前、、そんな事したら」


「あんなクズでも殺したら…間違いなく捕まるね… それでも僕はあの日光の教団に入団し彼に接近した、全ては光郷院の洗脳下にあるたった一人の妹を取り戻す為に…」


「紫宴の、妹と…光郷院がこの世界に来ているのか…それに洗脳って本当に⁉︎…」


「怖ろしい事だけど現に洗脳で身近な人を失った僕が言うんだ間違いない…更にこの世界にいるのも確信出来る!僕はあの日入団式で光郷院、奴の目の前まで遂に辿り着いた、そして奴を消せばマインドコントロールされた人が解放されるそう思ってね、だがそんな時、身体が不思議な光に包まれてこの世界にやって来た…

でも来る寸前に僕は見た!目の前に居た光郷院と側近の僕の妹も光に包まれたのをね」


「この世界に来た人は周囲の人間と来た可能性があるのか…」


「恐らく、そしてプレイヤーが消える実態を把握した僕は好都合だと思ったこの状況が…」


「でも本当に光郷院が勝ち上がってるなんて分からないじゃないか」


「君はあいつの恐ろしさを分かってない!

光郷院は人の心にスッと入り込みそして簡単に自分の駒として操ってしまう…その結果

表向きは愛好団体でも奴の団体に入っていた

ある男はマルチ企業のトップで光郷院に金を流していた、しかしその男の行為が露見すれば切り捨てるだから現実で奴を裁けるものは居ない

それに熱狂的な洗脳された信者や純粋な信者の数も奴を守る壁になっている…」


総駕は自分の知らない所で起きている現実を知り考え紫宴の行為は許し難い物だったが理解し始める。

「そしてこの世界でもあいつにとって勝ち上がるのは簡単だ、洗脳して切り捨てれば良い、そんな彼奴を倒す為にはより強いカードにデッキが必要だ…その為に君が言うように僕は手段は選ばなかった、だからこうして今も大会に出ている」


「……」

総駕の中では未だ納得は出来ないが事情と本気の眼をした紫宴を見て捉え方は変わる

たった一人の肉親の為に必死になり負けるリスクを背負っても光郷院に立ち向かう姿勢は否定出来ないし同情する。

「でも手段を選ばなかったお前が何で俺にカードを託した!」


「僕は2日目に君を見て3日目に君の後を付けた

理由はさっき話した通りだ、その理由こそが僕が君を選んだ理由だ、光郷院翼あいつを倒せるのは君の様な真っ直ぐな奴じゃなきゃ出来ないそう、思ったんだ」


「どういう事だよ」

「話した道り光郷院には人の心に入り込む力がある…それに打ち勝つには真っ直ぐ突き進める心を持つ者、僕はそう思った。なければ心の隙間に入り込まれ彼奴には勝てない可能性がある、勿論全てを頼る訳にも行かない、その為に僕はあいつとの戦いを備え準備をしている…

だからっ!」

話しを終えた紫宴は真っ直ぐ総駕の目を見る

然し総駕は眉間に皺を寄せ答える


「断る!」

予想外の反応をされたのか戸惑う紫宴

「何で⁉︎」

「光郷院を倒す為にお前は必死だったのかもしれない、俺に手伝って欲しいのも分かった」

「ならっ!どうして‼︎」


戸惑いを隠せない紫宴に総駕は真っ直ぐ話す

「だからと言ってお前がやった事は間違ってる!お前がプレイヤーを多く倒せばそれだけ憎しみが集まる」


思い通りにならない苛立ちを紫宴は感じる

「憎しみは憎しみしか生まない、 そんな事はわかってる!それでも僕は」


苛立ちを感じ取った総駕は悲痛な気持ちになりながらも正直に伝える

「お前はその憎しみに関係ない人を巻き込んだ、お前だって始まりはそうなのかもしれない、けどやってる事は光郷院と同じだ。

関係ない人を巻き込んで自分の道を進むのは

間違ってるよ」。


「っ!…」

(僕の手段は間違ってる、でも僕が必死なのは分かった上で言い切った、それは友達、仲間だと君はそう思っているからこそか…

その真っ直ぐさに今はムカつくけど

僕は君のその純粋さに期待しているのも事実だ

だからこそ光郷院を倒してくれると思った)



「けど、紫宴には感謝してる

お前が居なければ俺は今頃負けていたと思う」


総駕は礼を言うと思った事を互いに伝えたからか紫宴も偽りの無い表情をしている様に見えた


「そうか…協力してくれ無いのは残念だけど

君に託したカードはそのまま持っていてくれていい、後でまた会おう…」


紫宴はそう言い残すと背を向け去って行ってしまう、そんな紫宴を肯定も、否定も出来ない総駕はただそれを見送った…。


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