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カードバトル/ダブルディティー  作者: KIRIー
Iステージ編
10/91

激動と激情 turn1


 暗く広い部屋を巨大な画面の光が照らす。

その部屋で1人の男が画面全体を見守るように佇む、タキシードにシルクハットそしてピエロの仮面から怪しい眼光を覗かせるパラパラ。


 巨大な画面は幾つかに区切られていて、現在行われている大会会場の各試合を映し出していた。

パラパラが画面の前にある椅子に腰を掛け、試合風景を眺めていると部屋の奥の自動式のドアが不意に開く。


「おやおや…」


 パラパラは入って来たレルに気付くとシルクハットの唾を下げて画面に視線を戻す。

レルがパラパラの元へ進むとパラパラは怪しげに背を向けたまま総てを見ていたかの様に言うのだ

「…なにか…心境の変化があった…

そんな所でしょうか?…」


背筋がゾッとしレルはその場で停滞する。


「っ…聞きたい事があって此処に来た」

レルは恐れを押し込み打ち明ける。


「なるほど…私も聞きたい事が有るんですよ」。


レルはその疑問の心当たりを思い出し硬直する

「…天流寺総駕の事か」

「そうです。まずは今日の大会の視察、ご苦労様です…ですが」

「……」。


「貴方は此処に戻る直前に総駕様と試合をなさりました、その時彼は切り札であるハズのAtomic(アトミック)Burn(バーン)LIGER(ライガー)Dragon(ドラゴン)を使わなかった、いや…正確には使えなかった…ディメンションゾーンにも入っていなかったのですからね、」。


 貴方は昨日も彼と接触した。

そしてその直後、極道、久本なる人物と総駕様は接触。

そして、その2人に貴方は総駕様と会う前に出会っている、それは記録を見て確認済みです…。


「一体何を考えているんですか?」

パラパラは座ったままグルッと向きを変えレルを見るその視線と状況から誤魔化しも許されないだろう。


「私はライガードラゴンが我々の計画の障害になると思っていた、そして天流寺総駕のカードを変えた力も」

「ふむふむ…ですが思っていたという事は今は事情が変わった、

という事ですか?」

「それは、まだ…分からない」。


「成る程…聞きたい事が有るのはその為ですか、ならばお答えしましょう」

パラパラに隠す様子は見られず寧ろ堂々として見える。


「今消えたプレイヤーの状態はどうなっているのだ」


「無事ですよ、そしてひとつの空間に閉じ込めています…抜け殻の状態でね」


「抜け殻だと、どういう事だ…」


「まぁ、抜け殻と聞けば無理はありません。DDTで賭けられているライフ、それがタイムクリスタルで12と12のクリスタルで戦う

それが何を意味してるか分かりますか…」


「どんな関係なんだ」


「足すと24になり…これは地球の1日の時間なんですよ」

「…」。


「地球の時間を賭けて戦い、負けたプレイヤーはこの世界に囚われてしまう…その勝敗を判定出来る力を持つのが私であり私の持つこの創生龍のカード」

パラパラは一枚のカードをタキシードの胸ポケットからレルに一度見せそれを戻す。


「…創世龍」

「そして抜け殻のプレイヤーは私が完全に操る事が出来る!

そしてそれはプレイヤーだけでは終わらない!」

「⁉︎」

「このゲームが進む度に地球の時間は此方の世界にやって来る!」


地球の時間を此方に集め続ければ”もう一度”巨大な時空のゲートを開く、そして、全ての人間をこの世界に呼ぶ事ができる!

その時、地球はこの世界と融合を果たす。


 「地球から呼び寄せた全ての人々を創世龍により抜け殻の状態にしコントロールする。私の手でこの世界を創造する事が出来る。

汚れの無い世界を…!」


「それが完璧な世界を作るという事なのか…」


「そうです、貴方は一度絶望したハズだ、人間の欲深さと醜さに。ならばそれら全てを完全に動かし支配してしまえば、狂い無き完璧な世界を作れます」


「それが本当に正しいのか今は分からない」


「ほう、揺れているそれが彼、天流寺総駕の影響ですか」


「彼奴は自分を変えて周りを変えていくそんな奴だった…例えるなら彼奴が地球の真ん中だとして内側から変わっていくような」


「ハハッ成る程、ならば私は宇宙だ…宇宙は全てを包みこむ、しかし内側から広がる小さな力なら総ての人を変える事は出来ませんよ」


人は其々がバラバラだ貴方もわかるハズだ、 だからこんな世界を創り出してしまう…。例え1人が変わっても総てが変わる訳がない、だから今まで同じ誤ちを人は繰り返し世界は変わらないのです、全てを塗り替える力が在るならば、それで変えてしまうしか本当に変わる方法はありません。


(…そうだ…パラパラには創生龍があり絶対的な力がある!

例え天流寺総駕にわずかでも人を変える力があってもそれでは解決が出来ない…でも私は天流寺総駕に心の何処かで期待している。

それはパラパラのやり方からくる物だろう、

しかし、世界を変えられるとしたらこの道しか残されていない‼︎)


揺れていたレルをの意思を固めさせる様にパラパラは言った

「天流寺総駕に期待するだけ無駄ですよ」

考えを見透かした言葉にハッとする

「っ!」

「私の持つ創生龍の前では全てのディメンションモンスターは無力だ!しかしDDTはディメンションモンスターが無ければ勝てない、つまり私には誰も勝てないんですよ」。


パラパラは姿勢を変え画面のプレイ中の映像を指差し言い放つ

「そしてこの互いの24のタイムクリスタル!

これらをディメンションモンスターが壊す事が何を意味するのか彼等が知った時絶望するでしょうね」


ディメンションモンスターで時を壊せば壊すほど自分達の世界がどうなっているかを知った時、天流寺総駕も深く絶望するでしょう…成す術も無く変わらない現実に。


「何も成し得ないんですよ彼は…でも

私は出来ますよ?全てを変える事がね」


パラパラの創生龍と現実がレルの意思を固める

「…そうだったな…奴は何も成し得ない。失礼する」

「それで良いんですよ、それと施設に向って其方も見て来て下さい…」

パラパラの指示にレルは頷くと薄暗い部屋に背を向け去って行く…

「天流寺総駕ですか…彼は今後の計画を捗らせる(ジョーカー)になってもらいましょうかねぇ」


”フフフ総駕様Atomic Burn LIGER Dragonを今一度与えてあげましょう…そして強いプレイヤーが勝ち上がり、より強いプレイヤーが操るディメンションモンスター同士がぶつかる時、私の完璧な世界が完成されて行く…それを知った時、心の折れる音が聞こえる

人は変わりなどしないッ!

フッハッハッハッハッ”

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