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鬼の目にも涙 十三
梅雨が明けた頃に、それはやって来る。今日は終業式だ。
帰る前には、テストの結果と通知表が愛嘉理達を待ち受けていた。紡はその結果に微妙な顔をしていたが、触はこの世の終わりのような顔をしていた。
そんな二人に掛ける言葉を見付けられなかった愛嘉理はそっと教室を出ると、足早に涙の元へと向かった。
「鬼目くん、見て見て!過去最高得点だよ!」
「…良かったな。」
「うん、鬼目くんのお陰だよ!ありがとう!」
「…。」
子供のように跳ねて喜ぶ愛嘉理に、涙は予想外に素っ気ない態度をとった。何やら難しい顔をした涙は、上の空と言った方が正しいかもしれない。
「どうしたの?」
「いや…。」
愛嘉理が顔を覗き込むと、涙は慌てて表情を繕った。無理をして笑う涙に、そういう日もあるのかもしれないと思った愛嘉理はその場を去ることにした。
「じゃあ、またね。」
愛嘉理が愛想良く手を振って背を向けると、「あ、人見!」とその後を涙の声が追い掛けた。
「ん?」
「あ、その…。何でもない、またな。」
愛嘉理が振り返ると涙は躊躇って、誤魔化すように手を振った。




