歪み愛
急に目の前に女の子が現れて、これ以上ないくらいに嬉しそうな顔をして、いきなり抱き着いて来たらどうする? 当然、驚くだろう。ラッキーだと思うだろうか。そういう人もいるかもしれないが、僕の今の状況を考えると慌てて半ば女の子を突き飛ばすようにして離れるように促したのも仕方がないだろう。そう、僕は今、一世一代の告白に向かう最中なのだから。あの子を呼び出した公園まで、あと少し。こんなところで他の女の子に抱き着かれているところなんて見られたらお終いだ。
口早にそう説明して、言った。君が一体何を考えているのか分からないけれど、からかうなら他の奴にしたらどうだって。そうしたら、女の子は泣きそうな顔をして、いや実際ボロボロ大粒の涙を流していたかもしれない。でも、僕はそれどころじゃないから走って公園に向かったんだ。
告白の結果。ああ、もう! 本当に、嬉しすぎて夢でも見ているみたいだ! あの子と僕は、今日恋人同士になった。これは現実じゃないんじゃないか。そんなことを思っては、頬を強くつねって確かめて、にへらにへらとだらしのない笑みを浮かべていた。
そんな僕は、次の日、あの子と待ち合わせをしている場所へ向かっていた。スキップでもしてしまいたいところだが、さすがにそんな姿をあの子に見られたくはないのでやめておいた。
すると、何やらキンキンと響く声が耳を突いた。あの子と待ち合わせをしている場所の方からだ。
走って向かうと、僕に気付いたあの子がほっとしたような表情を見せて小走りで僕に近づいてくる。いや、近づいて来ようとしたのだが、何故かあの子は地面に倒れていた。女の子が、彼女の背中を突き飛ばして転ばせたらしい。何をするんだと叫んで、あの子の手を引いて立ち上がらせながら背中に隠す。幸い、ケガは膝の所を擦りむいただけの様だ。
彼女に何をしたんだと問いただせば、女の子は訳の分からないことをわめきたてた。
僕も、彼女も怖くなって、学校へ急いだ。女の子が追いかけてくる様子はなかったからよかったけれど、一体あの子は何者なんだろう。
とにかく、女の子は何故かボクに異様に執着しているみたいだった。意味が分からないし、君が悪い。あの子に危害が及ばないように注意しないと。
◆◆◆
意味が分からない! 意味が分からない! なんなの! 何なのあの女は! 何であなたがそこに立ってるの!? そこは私の場所なのに!
やっと見つけた、あの人。前の世では一緒に長く過ごせなかった。でも、それでもあの人は私を愛してくれて、私もあの人を愛していた! だから、二人で約束したわよね? 来世にまた一緒になりましょうって。それなのに、あの人は私を忘れていた。それなら、まだいいわ。いいえ、よくはないのだけれど、記憶がなくても必ずまたあの人は私のことを愛してくれると思っていたし、私もあの人のことを愛していく自信があった。それなのに、何故、あんな女、あの人にふさわしくない。
私、酷く傷ついて、感情のままにまくしたてたのは少し大人げなかったかしら。相手はまだ女子高生。いくらこの体の年齢が同じとはいえ、私には前の世で培った偉大な知識があるんだもの。少し大人になって、しっかり説明してあげたのよ。私と彼は、前世から結ばれる運命の恋人なのだから、貴方は身を引きなさいなって。それなのに、逃げた。あの女と彼は、逃げた。
何? 何がいけなかったの?
一体私の何がいけなかったの?
でも、大丈夫。いつかあの人がすべてを思い出してくれた時、私を選んでくれるにきまってるんだから。