レオナの改造(3)
サクラもレオナも体細胞クローンであるので遺伝学的に言えば同一の存在だ。だが魂という物が存在するのであれば違った存在のはずだ、サクラもレオナも異なる自我を持っているのだから。
そういった違いがあってもガイノイド姿になれば研究室の備品となり人権を否定される存在になった。レオナは自由に動けるようになったが、人間の少女レオナとしての存在は抹消されてしまった。
レオナは自由に動けるようになったが、それは研究所内だけのことだ。この研究所の機ぐるみサイバノイドを着せられた者は、研究所外部に出ると完全に機械仕掛けの人形のように行動が制御されるのだ。実際にサクラも機ぐるみの内臓に入っている間は、主任研究員でありながら外では他の研究員に隷属させられる存在に落とされていた。
「ねえレオナ。本当に良いの? それを着ていれば気持ち良いし歩けるけどモノ扱いなのよ!」
サクラはレオナの外骨格の肩にそっと頬をすりつけていた。その固い外骨格の下に生身のもう一人の自分の身体を持つ少女が存在していると思うと愛おしかった。
「いいよ、サクラ姉ちゃん。どうせ私は実験生物みたいな存在なんでしょ。だから位置づけが変わっただけで外の世界に出ていくときの扱いは同じなんだからね」
レオナが指摘するように私たち二人はそのために創造された存在だった。全てはママ、いやオリジナルのために!




