姉ちゃんするい!
サクラが所属する研究機関がサイバロイドと呼ぶスーツは簡単に言ってしまえば機ぐるみだった。アニメキャラクターや擬人化した動物などの着ぐるみと似て非ざるものだった。着用させられた人間は外観が機械人形のようになるだけでなく、内部も機械の様にされてしまうシステムだった。
人間、ということが外部にばれないように、着用者を機械の部品の一部にしてしまうことで人間らしさをすべて排除してしまう。そのため着用者は四六時中機械として過ごさないといけなくなるのだ。たとえ元の姿に戻るとしても機ぐるみを着ている間は人間性を否定されてしまう。中の人はいないしましてや人間ですらないのだから。
三人の女性が機械化される恐怖と困惑に支配されている時、レオナはサクラに話しかけていた。サクラは大好物のコーヒーとスイーツに夢中になっていた。
「お姉ちゃんずるい! ブルーマーメイドのショートケーキを食べている! 私もサイバロイドになる前に食べたかったよ!」
「いいじゃない、あなたも私がサイバロイド・サクラになっている間たらふく食べていたんでしょ! 今は私が人間体だから良いじゃないの!」
「姉ちゃん、そんなに食べちゃうと太っちゃうよ!」
「いいのよ、私はサイバロイドになっている間に調整するから。ダイエットにいいのよね機械の一部になっている間は。まあ頭の中はいつも電脳制御装置を入れられているけど。これって時々頭痛が酷いのよねえ。もう一生ハズれないから仕方ないけどね」
「ところで姉ちゃん、今回の三人の素体上手く行くかしら?」
「そうだね、なんとかなるんじゃないかな?」




