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若き元社長の、創造能力。  作者: 大岸 みのる
第一章:零部・若き元社長の、始まり。
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プロローグ

 スキル。それは種族を超越し、世界を歩く者達が生き抜く為に力を貸してくれる存在。

 数多の技や、魔法。その全てを扱うプロセスと言っても過言ではないだろう。

 異世界に飛ばされた者達は、皆魔力を消費し、スキルを持ち、スキルを扱い、スキルを育てる。

 だが、その異世界に飛ばされた者の中には、スキルを生みだすスキルを持つ者がいた。


 その名は、九星(きゅうせい) 大地(だいち)


 彼は前世で、大人気フルダイブオンラインゲームの創始者であった。

 その彼は、ありとあらゆるスキルを扱い、異世界で恩を返す為に、生き抜く事を誓う。




 ◇◆◇




 朝日が昇ってまだ間もない、城下町の闘技場。

 そこは、かつてないほどの熱気に包まれていた。

 普段、この時間に外に出ない吸血鬼も、争いを好まない羊系亜人種も、他多くの種族が集まって、世界でも凶悪な魔物の最強決定戦が開催されていた筈だった。

 しかし、砂漠のような砂地のフィールドに立つのは、二人の戦士。

 一人は鼻にかかるくらいの黒髪に、白いスーツを着用した青年。

 一人は腰まで黒髪を垂らし、この世界では有名な七色の鎧を装備した青年。

 鎧を装着した青年は、髪を鬱陶しそうに払う。


「始めましょう、あなたを粛清するのは僕の役目です」


 青年の名は、レイ・キサラギ。

 変形自在の槍剣――ストライク・ソードを持ち、世界に存在する迷宮であるダンジョンに眠る七色の鎧を装備する男。超有名ギルド、サファリ・ラジーナの副団長としても彼は、有名である。

 青い双眸で睨む先にいる、白いスーツを綺麗に着こなす青年は鼻で笑い飛ばした。


「その意見はボツだ。俺が君を粛清するんだ。最も、粛清とは言っても、俺は君を殺しはしない」

「そうですか。でも、僕はあなたを殺すつもりで行きます」


 レイはストライク・ソードを握り、槍モードで青年に刃を向けた。


「ん、君はそうやって邪魔をする人達を斬り捨てて来たのかな」

「いえ、でも、そうでもしないと、あなたには勝てそうもないですからね」

「そうでもないかもしれないよ、もしかしたら俺は君に対して、またアレ(・・)を使わないかもしれないし、逆に他の隠し持ってるスキルで君を倒しちゃうかもしれない」

「どんな手を使ってきても、僕は負けません」

「そうか。でも、俺も負けないよ」


 青年はスーツの内ポケットから、氷の板のような端末を取り出す。


「いつまでも俺が冷静でいると思わないでね」

「あなたが冷静かどうかなんて関係ない、僕は自分の正義を貫き、勝ちます!」


 そう言いきると、走り来るレイ。

 速度は、およそこの世界に車という概念があれば、その最高速度と同等くらいだろう。

 だが、迫りくるレイを見ても、青年はスーツのポケットに片手を突っ込んだままだ。

 明らかに相手を挑発している態度を取りながら、囁いた。


「『創造能力スキル・クリエイティブ絶対防御アブソリュート・ディフェンス』」


 青年の囁きが終わり、光が青年を包む。

 全速力のレイが青年の目前に到達する。

 音速で突っ込んできたレイの槍が青年の胸を突いた。

 だが、槍は貫通しておらず、青年の胸のあたりで槍は突進を止めている。


「……さっそく、お出ましですか」

「これはご挨拶だ。最初から俺が本気を出したら皆さんが退屈する」

「白々しいッ!」


 レイはストライク・ソードを握る力を強めた。

 しかし、青年はビクともしない。


「無理だよ。いくら君の力とはいえ、スキル『絶対防御』の【物理攻撃無効アブソリュート・ネガ・ストライク】には通用しないよ」

「それはどうですかね!」


 瞬間。

 ストライク・ソードの刃は光を纏う。

 その行先は、青年だ。

 だが、青年はその攻撃すらも消してしまう。


「属性攻撃を弾いた!?」

「君は分かっていない。俺は絶対防御を使っていると言っただろ。今のは【属性攻撃無効アブソリュート・ネガ・エレメンタル】と【魔法攻撃無効アブソリュート・ネガ・ブラック・アート】で無効化したんだ。つまり、今の君には、俺にダメージを与える術はない」

「くっ」

「それでも殺すって言うのなら、手加減はしないよ」


 青年はその場から動かずに、口元だけを微動させた。


「『創造能力スキル・クリエイティブ七神魔法セブン・ブラック・アート』」

「そ、そのスキルはッ!」


 一瞬にして空を分厚い雲が覆う。

 その雲から落ちる雷鳴。

 全てが発動するのに一秒足らずだ。

 激しい雷の落ちた先にいたのはレイ。

 フィールドにはまるで爆弾系魔法でも発動したかのような跡を残す。

 煙がフィールドを覆うが、レイは生きていた。


「今ので死なないとなると、結構タフだね」

「当たり前です。僕はサファリ・ラジーナの副団長です。これしきで負けるわけにはいきません」

「そうかい、今はレイ個人として戦うんじゃなかったの」


 青年は未だにその場を動いていない。

 その姿は圧巻の一言。

 けれど、レイは諦めていなかった。

 自らが握るストライク・ソードを眺め、改めて槍を握りなおした。


「……僕も本気で行きます。『(ゼロ)』」

「一撃必殺を使うなんて、そんなに俺を殺したいのか」

「黙ってください、あなたを倒すのに、これ以上のスキルはないッ!」

「それでも、一撃必殺スキルはやりすぎなような気がするけど――――」


『零』は一撃必殺スキル。

 この世界で誰もが憧れる、渦巻きの中にある迷宮に入り、クリアした者にのみ与えられる報酬のスキル。

 この攻撃を喰らえば、青年とて無傷ではいられない。

 ニヤッと笑い、青年はついに足を一歩動かし、攻撃態勢を取った。


「サファリ・ラジーナ副団長としてではなく、レイ・キサラギとして。今からあなたを倒し、僕は更なる強さを手に入れます」


 レイは再び走り出した。

 ストライク・ソードには『零』の【絶対即死攻撃アブソリュート・ロスト・ストライク】の力が纏われている。


 ――――面白い。


 青年も叫んだ。


「それが君の答えか。だが、いくら君が俺を殺そうとしても、俺は受けた恩を忘れない。だから戦う」


 矛盾以外の何ものでもない。だが、白いスーツを着用した青年は、大真面目だ。

 ここに、今。二人の戦いが始まっていた。

 相手は≪黒髪の死神≫。主に、世界で実施されているギルドランキング第二位の暗殺ギルドの副団長。この世界では最強クラスの人間。

 こちらは未だ≪サラリーマン風無職≫。数週間前に、この世界にやってきて、恩を受けた人に対し、恩を返そうと奮闘する若き元社長。

 レイ・キサラギは、自身の人生を否定されてか、青年に対して攻撃を開始している。

 

 青年は受けた恩は必ず返す。それを人生の要にして生きているような人間である。

 その為に彼は、恩人であるレイ・キサラギと戦う。

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