森の仲間 きつね坊ときつつき少年
ごゆっくりお読みください。
たまに無性にむしゃくしゃして、さえずるだけじゃ足りなくて、喚いて飛び散らしたいような気分になるときがある。
そんな気分、みんなもなるのかな。
そんなとき、ぼくの隣にはなんでかいつも坊がいる。
ぼくが無意識に坊のところへ行くのか、坊が何かを察知して寄って来てくれるのかは分からないけど、隣には坊がいる。隣にいて、好きなことを言って、好きなことをしてる。
今日の空はどんな色だとか、昨日の夜空はどんなだったとか好き勝手に話して、何処かへ行こうと誘ってくる。
それは近くの野原だったり、山を2つ越えた先の林だったりするんだけど、困ったことに、坊はぼくが行くと言うまで誘うのをやめない。
あまりにしつこく誘うもんだから、いつも最後には根負けして坊と出かける羽目になる。
坊の強情さに負けた時は〟このやろー!坊め覚えてろ!〝ってなるんだけど、一緒に目当ての場所まで向かってると、そんなのどうでもよくなっちゃうんだよね。
だって、ね。ぼくは怒ってるのに坊ってば阿保面して呑気に笑ってるんだもん。それ見てたら怒るのなんてアホらしくなってくるよ。
きつね坊様様。
あー、ぼくって自分が思うより単純かも。
ぼくの隣には坊がいる。
みんなの隣には誰が居るかな。
みんなの心には誰が居るかな。
まぁ、居ないんだったらぼくが割って入らないこともないんだけど。
なんてね、生意気もこの辺にしとくよ。ふくろう兄さんに怒られちゃう。
むしゃくしゃを食べてくれるキツネ、案外、みんなの隣にもいるかもよ。
今日は、そんな話でおしまい。
次会う時は、色っぽいうさぎ姐さんを紹介してあげる。ちょっと変わってるから、みんなびっくりするかも。
じゃあ、また聞きにきてよ。待ってる。
お読みいただきましてありがとうございます。