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begininng part3 始まりの鎮魂歌

ようやく序章が終わりました。pv数も100を超えてくれて非常にうれしいです。 すいません修正しました

「……どういうことだよ! それ!俺の幼馴染が食われるかもしれない、なんて」 俺がそうダミアに聞くと、ダミアは強張っていたその無表情をいくらか、弛緩させ、 

「……先ほど言ったとは思うけどこの地域に住む地縛霊の未練は、一般の地縛霊を50人あわせても足りないくらい。加えて長い間、ずっと留まっているから、土地に非常に愛着を持っている。……でも、五人とも所詮霊魂が実体化したものに過ぎない。いきいきと肌身を通して今を生きている生身の人間を羨ましく思い、ここが彼らの厄介なところなんだけど、その感情が段々生身の人間への妬み、殺意へと変わっていく。自分とは違って、真に生きているものである人間に対して……」

 俺はダミアにそう言われて、逆に彼女に聞き返した。 

「……そんなにいいものかね?生きることが…………」 

「……普通は。……そして、彼らは地縛霊としてある程度時間がたってくると人間を捕食し、受肉しようとする」 

「受肉?」 

「……そう、受肉。……霊魂とはいえ、ある程度、人間の肉体を食らえば、元の人間に戻れる。それを本能でわかっているから霊魂は時間がたつとだんだん、自分が本当は霊魂であるということに耐えられなくなって最後は、凶暴化し、人間の肉体を食らう」

 俺はそう言ったダミアの声の冷徹なまでの鋭さに悪寒がして、聞き返した。 

「……その地縛霊が凶暴化するのは後どれくらいか、ってわかるか?」 すると、ダミアはなにやら和服の胸の部分をあさり始めるという、目に毒、な行為をしてある一枚のものを取り出した。そして、それを見てダミアは淡々と、こう言った。 

「……今日から後、半年。」

 ………………………………は? 

「はああああああああああああああああっ!? あと半年だって?それでこの地には後、何人、地縛霊が残っているんだ!?」 

「……あと、5人」

 5人。一人当たりかけられる時間は1ヶ月強。俺はここで自殺して、幼馴染を見捨てるのか、それとも苦労して彼女を助けるのか……どうすればいい。 

「……私は天使だから、人間のことは分からない。でも、もしそのあなたの、オサナナジミというものが女の子なら、同じ立場として言わせてもらう」 

「何だよ?」 

「……もし、その子があなたに救われたとしたら、その子は絶対に喜んで、あなたに感謝する。それどころか皆、喜んであなたに感謝する。そうすれば、あなたは世界への見方が自ずから変わってくるに違いない」 

「…………!」 

 俺はそうダミアに言われて顔をあげた。見ればダミアは、わずかながら微笑んでいた。 

「……わかったよ」 

「……何?」 

 そう言って、ダミアは聞こえているはずなのに俺にきちんと言わせようと、聞こえていない振りをして俺に聞いてきた。 

「だからっ! 俺はお前と協力して、その地縛霊とやらを、『成仏』してやる、って言ったんだよ!そしてそれが終わったら俺は今度こそ死んでやる! 次こそは絶対にな! だからそのときは邪魔するなよな!」 

 俺がそう宣言すると、ダミアは俺の方を見て今日初めて、クスッと笑った。そして俺に手を差し出してきて、 

「……これから、よろしく。私の名はダミア。普通にそう、私のことを呼んでくれてかまわない」 

 そう俺はダミアに言われてその突き出された手を嫌々ながらも握った。

 こうして俺は今日もまた、自殺未遂で終わったのであった。

これから日常パートです。次書くのは少し後になるかもです

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